有罪判決を受けたゴルコンダの取り扱いについて
人の妻を罵倒した大罪人として雪の下に埋まり
反省を促したところ小鳥遊ホシノの慈悲により
30分の拘束で許された。この一件により懲りた
彼はレッドウィンターで教師として活動する旨を
伝え胴体であるデカルコマニーと踵を返し……
「待ってください、何故私がレッドウィンターで
教師をするという話になっているのですか?」
「ゴルコンダ、貴方が許しを乞う際に発した言葉
を覚えていますか?」
「いえ……あの時は必死だったものであまり……」
「では録音していたものを再生しますね」
ーー
『助けてください。絵画が濡れてしまうといくら
非実在である私でも厳しいものがあります』
『ですが貴方はホシノを化け物呼ばわりした愚かな
存在ですので。フランシスのようにサンドバッグに
ならないだけでも御の字だと思ってください』
『フランシスがサンドバッグに……? 貴方は何を
言っているのですか? まるで私のような非実在の
存在がもう一人居るかのような言い回しですが
まさかマルチバース理論を唱えるつもりなので?』
『唱えるというか経験したと言うべきか……まあ
今は関係ありませんね。では私達はこれで』
『待ってください。私に出来る事なら何でもします
私の発明は貴方の役立ちます。確実に、です。
ですのでどうかお慈悲を……私一人では動く事すら
困難なのです。お願い致します』
『拒絶します』
ーー
「以上が記録された内容です。確認した際に
貴方は何でもすると発言していますね。ですので
デカルコマニーの望みであるレッドウィンターの
教師として過ごして頂きたいと思いまして」
「本末転倒ではありませんか? 私はこの場から
立ち去って平穏を望みたいのですが」
「絵画風情に人権はないんですよ」
「私が悪いとはいえ当たりが強すぎませんか?」
「仕方ないでしょう。ホシノを馬鹿にしたのです。
いくら同志の貴方とはいえそう簡単に許せる筈が
ありません」
「そういうこった」
「本当にデカルコマニーがそちら側について……
いえ、それよりも何故レッドウィンターの教師に
なりたいのですか? 貴方もこのような常識が
何一つ通用しない学園から立ち去りたいと思って
いたのでは……?」
「どうやらデカルコマニーは生徒との交流を得て
教師という存在に興味が湧いたようです」
「そういうこった!」
「しかしデカルコマニーは相槌しか打てません。
肯定大臣という意味不明な称号も頂ける程です。
まともなコミュニケーションが出来ない以上教師
としてはあまりにも破綻しています」
「そこでゴルコンダ、貴方の出番という訳です。
本来貴方達は二人で一人の存在。片方が欠けては
ならない一心同体。ならば思考もどちらかに統一
するべきではないでしょうか? 幸いにも貴方には
好みの生徒が居るのでしょう? 彼女と離れる事に
なってしまうのですよ?」
「それは……そうですが……それ以上にマイナス
要素が多すぎるのです。いくら好みの生徒がいる
としても常識が通用しない学園に咲いた高嶺の花
だとしてもです」
「教師になれば当番というものを決められて隣に
居させる事も可能になりますよ」
「そこまで魅力的には感じませんね。既に殆どの
生徒の信頼は得ております。……プリンを渡した
だけで大半が懐きましたが」
「……まあ、純粋な生徒達なのでしょう。それに
話が通じないのであればゴルコンダ自身が学園の
トップとなり根本を変えていく、というやり方も
ありなのではないでしょうか?」
「ですから私は生徒と交流する事に興味は……」
「アリス、今度は100m程深くに埋め……」
「とても興味があります」
「良い返事ですね。これでレッドウィンターの件は
ひと段落つきました。では私達は帰りますね」
「あの、結局私の扱いが雑になった程度で何も変化
がないのですが」
「一先ずシャーレに行くのはマダムの手によって
あちらの騒動が片付いた後にしますので今は待機
という形にしておいてください」
「あの」
「ホシノ、アリス、ケイ。本日は鍋にしましょう。
当然デザートはプリンです」
「鍋……!?」
「プリン!!」
「早く帰りましょう。プリンと鍋と締めのラーメン
が私達を待っています」
ラーメンもいいけど卵雑炊も食べたいなー
二つ用意して同時に堪能出来るように計らいます
貴方が父で良かったです。その賢明な判断に何度
救われてきたか分かりません
豆腐も食べたいです!
「……彼らは何をしたかったのでしょうか。
私を救出してくれるのではなかったのですか?」
ーーー
結局何も進展はなくレッドウィンターの自治区に
戻ってきた二人。そこに居るのは賢明に何かを
探しているレッドウィンターの生徒達。
「何を探しているのですか?」
「!! 皆集合! 同志ゴルコンダ、並びに
同志デカルコマニーの無事を確認!」
「?」
その言葉を聞いた生徒達が群がるように近寄って
きたは安心したような声を漏らしている。何故
そのような反応を示しているのか……
「同志の姿が匿っていた牢から消えていたので
動ける人員全てを貴方達の捜索に回していました!
ご無事で何よりです!」
同志ゴルコンダ万歳!
同志デカルコマニー万歳!
無事で良かったです!
我々には貴方達が必要なのです!
また肯定してください!
「………」
この生徒達は何を考えているのだろうか。今でも
それは分からない。意味不明であり理解不能。
なので理解出来るまではここに滞在してみよう。
それに常識が通用しない生活というのも刺激的で
あり己の崇高を満たせ……るかは不明だが先駆者
達が生徒と交流して満たせている以上例外はない
筈だ。そう言い聞かせてみよう。案外この方が
近道なのかもしれない。
豆腐
白菜
豚肉
人参
中華麺
卵
白米
鍋の素
小鳥遊家鍋