窓越しに吹雪を見つめている……?
デカルコマニーに近づく生徒が一人。
彼女は名もなき一般生徒だ。
「同志デカルコマニー……あの……えっと……
隣に座ってもいいですか?」
「………」親指を立てる
「! ありがとうございます! 失礼しますね」
「………」
「私……最近生きている意味が分からないんです。
毎日のように仕事ばかり……」
「………」
「些細なミスもずっと引きずってしまって……
私なんかがこの学園に居ても迷惑じゃないかって
考えてしまうんです」
「!」生徒の手を握る
「同志……? もしかして私を慰めようと……」
「そういうこった!」
「! 同志……ありがとうございます……貴方の
言葉のおかげでまた今日も頑張れます……!」
「………」ファイトと書いてあるプリンを二個渡す
「えっ……プリンを二つ食べても良いのですか?
そんな贅沢が許されても……」
「そういうこった!」
「ど、同志……一生ついていきます!」
ーーー
「……またやったのですかデカルコマニー」
「そういうこった!」
「まあいいでしょう。貴方がメンタルケアを担当
してくださるのでこちらは比較的楽ですよ。
トリニティの高級店程度のプリンなら量産出来る
ように工場も改造しました。ですがまだ問題が
山積みなので片付けていかねばなりません。
この場所が本拠地になる以上今まで以上に気を
つけなければなりませんので」
「そういうこった!」
「まずクーデター問題ですが……これは貴方が
会長に任命されれば解決しますので後回しです。
今優先するべきはプリン以前に給食が不味い、
という事実。そもそも全体的に食の水準が他と
比較して低すぎるのです。材料も調理法も全てが
適当。そのような状況では士気を上げようにも
上げられません。なのでこの問題は早急に解決
しなければならないのです」
「………」
「デカルコマニー? 何か案があるのですか?」
「そういうこった!」
「是非ともお聞かせ願います」
「!」エプロンを身につけてフライパンを持つ
「……まさか貴方が料理をすると?」
「そういうこった!」
「流石に無謀です。レッドウィンターの生徒数を
ご存知ですか? 四桁以上は存在しています。
貴方一人では精々数百人が限度ですよ」
「………」心なしか悲しそうな動作
「そう落ち込まないでください。既に解決策は
思い浮かんでおります」
「!?」
「なにぶん時間が出来てしまったので……
この際この場所を私が生活しやすいように魔改造
してやろうと思いましてね。その為にはより多くの
信頼を得る必要があります。最低限必要なタスクを
見積もっても時間が足りない程です。当然貴方の
協力は必要不可欠。なので今後も頼みますよ」
「!」親指を立てる
「……今更ですがキャラ変でもしたのですか?」
ーーー
「さあ出来ましたよ」
「「「わーい!」」」
無事ゴルコンダの件が解決? したので帰宅中に
食材を買って鍋パーティーを始めた。先程まで
極寒の地に居たからかホシノ達はモリモリと
食べており箸のペースが止まらない。片方の鍋の
具材を空にしたらもう片方の鍋の具材を……の
無限ループに陥っているので材料が足りるのかと
不安に駆られてしまう。育ち盛りが三人居ると
食卓というのは戦場に変わるのだと痛感した。
「ケイ! それはアリスが食べようとしていた豆腐
ですよ! 取らないでください!」
「さっき豆腐を空にしておいてよくもそんな事が
言えますね。私だって豆腐が食べたいんです」
「小競り合いはやめてください。豆腐ならまた
用意しますので火が通るまでお待ちください」
「ねえ先生、うどん入れていい?」
「締めには早いですがうどんなら構いませんよ」
「父、白米のおかわりをよそってください」
「あと数分で炊けますので少々お待ちを」
なんて手の掛かる妻と娘達なのだろうか。
アリス達は将来自立出来るのかが不安に……
「(何故私は当然のように血の繋がりがないただの
アンドロイドを娘と呼んでいるのでしょうか?)」
時々冷静になって考えようとするも何処からが
間違いなのかを考えたらキリがないため今は彼女
達の配膳係として行動する事に勤しんだ。その後
30分は戦場を維持し、三人が腹八分目になった頃
に中華麺を投入。頃合いを見て雑炊を用意して
提供し、ようやく一息ついた。
「締めのラーメンと雑炊です!」
「さっきうどんを食べたから雑炊一択だよね〜」
「当然ラーメンに決まっています」
「両方食べます!」
「(おかしいですね。10人分の食材を用意した
つもりだったのですが……完食されるとは。
もしやキヴォトス人は食欲がホシノ基準なの
でしょうか? 甘く見ていたようですね)」
今まで当然のように朝から山盛りのラーメンを
提供してくるセリカやさも当然のようにそれを
完食する他アビドスメンバー並の食欲が基本だと
すれば育ち盛りの一言では済まされないレベル。
……念の為に確認しておこう。
『マエストロ。ユメの事について質問が』
『スリーサイズは教えん』
『違います。よく食べるのかどうかを聞きたい
だけです。スリーサイズに興味は……』
『そうか。だが何故それを知りたがる?』
『私の娘達が尋常ではない食欲でして。
もしや私の常識が間違っていると疑問に
思いましてね……』
『アリスとケイの食欲については私達が
甘やかした結果だな。ユメの手料理は
最後の晩餐に相応しい出来栄えで……』
『3人前を平気で平らげるようになった理由は
貴方達の仕業だったのですか……』
『そういう事だ。ちなみにユメは少食だ』
『分かりました。ありがとうございます』
………
「まあ、いいでしょう」
「えっ何が?」
「沢山食べるホシノが可愛いって事ですよ」
「も、もう……いきなり何なのさ……///」
もうそれでいい。