例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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彼女は奮闘し、拉致をする

少し時間が遡り舞台はゲヘナ学園の方に移る。

そこにはいつもの様に見回りをして尊さを見つけて

爆発し、雑に治療されるベア先生の隣に居座る

白い秩序こと風紀委員長のヒナが居て彼女が治療を

施す。そんないつも通りの日々を過ごしていた。

 

「今回は何で爆発したの?」

 

「手を繋いで恥ずかしそうに俯く一般生徒を見て

思わず勢いで爆発しました。100点中10000点

の尊さでしたよ」

 

「いつもオーバーフローするよね」

 

「尊さからでしか得られない栄養があるんです。

ヒナの栄養ばかり摂取していたら依存してしまい

廃人になる危険性がありますので……」

 

「依存していいよ。むしろして欲しい」

 

「ちょっと重いヒナも可愛いですね」

 

何も変わらないいつもの会話。その刹那に訪れる

のは耳鳴り。甲高い音が気分を悪くし……

 

「……私も歳でしょうか。ヒナがハスキーボイスで

私にASMRをしてくれているように聞こえます」

 

「違うよ。これはただの耳鳴り」

 

「あら、そうでしたか。通りでキーンとしか

聞こえない訳ですよ」

 

……思っているよりも余裕がありそうだった。

数秒続いた耳鳴りにものともせずに話を続けて

いるベアヒナ。

 

「はい、これで治療は終わり」

 

「ありがとうございます。身体が軽くなったように

感じますよ。流石ヒナの治療ですね」

 

「慣れたからね。……気づいてる?」

 

「はい。医務室を取り囲む生徒達の熱い眼差しを

肌で感じていますよ」

 

「これは殺意だよ。何か恨まれる事でもした?」

 

「うーん……あるにはありますがこんな大勢には

ないと思いますね」

 

「そう。久しぶりに風紀委員としての活動をする

必要がありそうね」

 

「気絶程度にしてあげてくださいね」

 

「その保証は出来ない。私の大事な人に殺意を

向けた以上責任は取ってもらう」

 

ヒナが銃を構えたと同時に窓ガラスを割って侵入

してくるゲヘナ生達。「空崎ヒナを許すな!」

「ベアトリーチェに死を!」という酷い言葉を

叫ながら突撃してくる生徒達にそこまで嫌われる

ような事をしてしまったのかと内心焦るベア先生

……だが一般生徒がヒナに敵うはずもなく、襲い

かかっては蹴り飛ばされ、羽で叩かれ、銃で撃たれ

たり殴られたり多種多様にやられていく生徒達。

 

「やはりヒナはゲヘナ、いえキヴォトスで一番強い

生徒ですね。ただ見ているだけなのは性に合わない

ので負傷した生徒の治療でも……」

 

そう言いつつ倒れた生徒に手を伸ばした途端、

もの凄い力で振り払われて手を弾かれてしまった。

 

「っ!! 近寄るなベアトリーチェ!!」

 

「……何故そこまで急に私を嫌うのですか?

私は何をしてしまったのですか……?」

 

「お前が居なければ風紀委員長があの時怪我を負う

必要もなかった! お前が居なければ……!!」

 

「何を言って……」

 

ヒナが怪我を負った? 確かに無理をした時には

怪我をしていたが基本軽傷程度である為ここまで

鬼気迫る態度で拒絶されるのは違和感がある……

詳細について聞こうにも「お前が……!」を

繰り返してしまうようになったのでこれ以上の情報

を得る事は出来なかった。これだけでは確実とは

言えないがこの生徒は何かを吹き込まれてしまい

このような暴挙に加担してしまったのではないか?

それこそ悪い大人に利用されているような……

 

「(……考えるのは後にしましょう。それよりも気配

の数が倍以上に増えていますね。流石にこの数は

ヒナと言えど消耗されて……いえヒナなら大丈夫

でしょう。ですが無闇に生徒を傷つけてこの事件が

収まった際に大変になりますので一度ゲヘナから

離れた方が良さそうですね)ヒナ、一度ゲヘナを出て

この状況の対策を練りましょう」

 

「分かった」

 

いつの間にか怪我人の山を作っていたヒナを軽く

撫でた後に強行突破をしようと目論んだ。

 

「今から扉を開けます。その直後にヒナは周辺の

生徒を気絶させてください。とても危険ですので

充分に注意を払って……」

 

「大丈夫、私に任せて」

 

「……頼もしいですね。では合図をしますね。

3、2、1……愛してます!」

 

「……私も」

 

変な掛け声にもしっかりと対応しつつゲヘナ生の

包囲網をあっという間に制圧するヒナ。流石に

強すぎるような気もするがこれも覚醒の影響を

受けているのかもしれない。その後ヒナの合図と

共に走り出して正門へ向かい始めた。当然周辺に

居るゲヘナ生の追尾があるもののヒナがある程度

カバーしてくれている。……とはいえ弾幕が激しく

多少は怪我を負ってしまうが治療は後回しでいい。

 

「危ない!!」

 

「えっあっ……ひょえ!?」

 

ヒナの叫びで立ち止まれたが目と鼻の先には

急ブレーキをかけた車が停車していた。黄色い

車……恐らく給食部の車だろう。まさかフウカにも

嫌われて……? もしそうなったら立ち直れないな

と考えていたが運転席に座っていたのは別人だ。

 

「ようやく見つけたわ」

 

「……リオ? 何故貴女が車の運転を?」

 

「話は後にして。今はゲヘナから離れる事を優先

するべきよ」

 

「待ってください。リオは私に恨みがあったりは

しないのですか?」

 

「恨みなんてないわよ。恩はあるけど。

……早く乗って頂戴、風紀委員長も一緒に」

 

「は、はい。ヒナ、車に乗り込みましょう」

 

「分かっ……た?」

 

ベアは助手席、ヒナは後部座席に乗り込んだ。

そしてヒナが見たものは異常な程に怯えている

縄に縛られたフウカが座らされていた。

 

「……どういう状況なの?」

 

「続きはゲヘナを抜け出してからにするわ。

シートベルトを着けておきなさい」

 

「分かりました」

 

しかしシートベルトを着ける前にリオはアクセル

を踏んだので昔の様にあばばばばばと声を漏らす

ベア先生の姿が……流石にゲヘナ生といえども

自ら車に轢かれようとする者はおらずそのまま

ゲヘナ学園、並びに自治区からの脱出が出来た。

 

「一先ず脱出は出来たわね」

 

「助かりましたよリオ。……念の為に人の居ない

場所に向かった方が良いですね。このまま車を

走らせてアリウス自治区に向かってください。

私はその間に他学園に連絡をしておきます」

 

「分かったわ」

 

「調月リオ。何故貴女はマザーに殺意を持って

ないの? フウカが此処まで怯える理由って?」

 

「それは分からないわ。急に耳鳴りがしたかと

思えば急に部長が私の事を忘れていて……

また何かベア先生がやらかしたのかと思って

問い詰めようとしていたのだけど……周りに居た

ゲヘナ生の行動から察するにそういう訳では無い

のよね?」

 

「そうね。耳鳴りの直後に殺意を向けられた。

ほぼ全てのゲヘナ生からね」

 

「ほぼ全ての……それなら救援は見込めない可能性

が高いわね。私としては部長が元に戻ってくれれば

構わないのだけど……」

 

「残念ながらゲヘナだけの問題ではないようです。

アビドスもミレニアムもトリニティも……私達

ゲマトリアが関わった学園で似た様な事件が起きて

いるみたいです。既に一人とは連絡が付かないので

被害が出ている可能性も……何故急にこのような

悪夢が訪れてしまったのでしょうか……まあ、

ヒナが居るので何とかなりますね。何故ならヒナは

私が愛する神ですから!」

 

「こ、こんな時に何を言って……でも嬉しい///」

 

「……そうね。貴女達二人を見ていたらなんだか

安心したわ」

 

「私達の日常を取り戻す為に頑張りましょう!」

 

おーという三人の掛け声とフウカの冷たい視線の

二つを乗せた車はアリウス自治区に向かう。

大切なパートナーが居る。それだけで精神は安定

して前向きになる事ができる。星の光を失った彼

とは違って前に……




ーー空崎ヒナの記録は取れませんでしたか。
結構です。既にホシノさんの記録から端末情報の
復元が出来ましたので。多少戦力が落ちようとも
魔女を従えられたので充分すぎる程ですので。
ええ、全てを制した後にでも神秘を取り出せば
いいだけの話です。全ては崇高の為に。
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