半日後の戦いに備えて各自自由行動を。という話で
あったが黒服は何故かベッドに寝かされて左右を
アリスとケイが挟んでいる。もしこのまま起き上が
ろうとした場合、とんでもない握力を持つ二人の手
によって腕の骨が粉々に砕かれるだろう。
「(……否、そうしなくても強く抱きつかれている
以上腕の骨はいずれ悲鳴をあげるでしょうね)」
故に悟り耐え忍ぶ事を強いられている。これが
黒服の大人としての責任……
「いえ流石に違いますね」
「何がですか?」
「何でもありませんよ。それよりも二人共何故
こんなにも密着して寝る必要があるのですか?」
「家族だからです!」
「家族だからです」
「……随分と息があっているようで何よりです」
アリスとケイは姉妹という事にはなっているものの
実際は同じ身体を持っているだけであり姉妹では
ない。……しかしいつしか彼女達が姉妹である事が
当然であるかの様に認識していていた。前までの
自分なら家族というものに微塵も興味がなくアリス
達の存在も殆ど気にかけていなかったが今になって
この二人の存在が自分にとって大きいものへと変化
している。
「(家族とは良いものですね……だからこそ私は
ホシノを絶対に……)」
いつしか彼は二人の娘の温もりに包まれて眠りに
ついた。……数時間後に強烈な痛みに襲われて
意識が覚醒する事を露知らず。
ーーー
「………」
「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「空崎ヒナ。ひ……いや、アツコに何か用が
あるのか? 何やら圧を感じるが」
「……ただひとこと言いたいだけ。私はマザーと
結婚している。もう貴女達の
『お母さんは最初に私達と出会った』マウントは
効かない。……それだけ」
「そ、そうか……それは……すまなかった。
前にアツコがその様な内容をそちらに送ったと
言っていた……気にしていたのなら謝る。ほら
アツコも空崎ヒナに謝るんだ」
「ごめんなさい、お義父さん」
「……え?」
「だって私達のお母さんと結婚したのなら貴女は
私達の義理のお父さん、だよね?」
「なに、そうなるのか?」
「そんな筈ない。私が義理のお父さんなんて嫌よ」
「さあサッちゃん、ヒナお義父さんを皆に紹介する
必要があるから連れて行こう」
「分かった」
「ちょ……私は父親じゃないから!! 性別だって
女なの!! 正気に戻りなさい!!」
人知れずアリウスメンバーの父親(仮)になったヒナ。
……なんで?
ーーー
「シ、ロ、コ、ちゃ〜ん♪ 隣座るね!」
「ん、良いよ」
「それじゃあ失礼してっと……で、どうなの?」
「どうって何が……?」
「先生との関係だよ! 何処まで進展したの?」
「……それがアタックしても全然。反応はして
くれるけど鈍すぎて……」
「あー分かる。私も先生と距離を縮めるのに苦労
したんだ。……まあ、結局はおっぱいで解決した
様なものだけど……」
「やっぱり男の人って胸が好きなのかな……
胸を先生にアピールしたら振り向いて貰える?」
「どうだろう……シロコちゃんの先生って凄く硬い
人だから生徒に欲情しないんじゃないかな」
「……ん、詰み。でも諦めない」
「そうそう、その意気だよ! ……また青春を満喫
出来るようになって良かったね。今のシロコちゃん
すっごく活き活きしてる」
「それはユメ先輩とマエストロ先生達のおかげ。
本当に感謝してもしきれないよ」
「いいのいいの。後輩達が幸せならそれでね。
きっと私の先生もシロコちゃんの笑顔が見れれば
それだけで充分だと思ってるよ」
「ん、分かった。後で会いに行くね。それと……
ユメ先輩、結婚おめでとう」
「うん、ありがとう。……あれ、シロコちゃんに
結婚した事言ったっけ?」
「指輪」
「あっ……なるほどね」
ーーー
「マエストロ先生!私言いたい事がありますの」
「どうしたハルナ」
「ナギサ様をどうにかしてください」
「ああ、そうだな。ナギサに限らずトリニティの
生徒達は助けるつもりで……」
「そうではありませんわ!! その後の話です!!
このままだと私はまたナギサ様に監禁されて籍を
入れる事になってしまうのです!! それに毎日
ロールケーキを口内に詰め込まれて……限界なの
ですわ!! ですのでどうかナギサ様を改心させて
ください!!」
「……何故そうなったんだ。だが強要されているの
ならば一度ナギサと話し合って検討しよう」
「本当ですの!? ありがとうございますわ!!」
ーーー
「"どうしてベア先生はそんなに欲望が抑えられ
なくなっちゃったの? 確かに生徒達には魅力が
詰まっているけれど私達はあくまで先生と生徒の
関係。手を出すのはもってのほかだよね"」
「その通りです。ですが私の知り合いは
『生徒がエッ! なのが悪い! 反省させる意味も
込めて手を出さないといけないんだ。だから私達が
性教育をするのは間違っていない』と言っており
私もそれに共感したのです」
「"えっそんなヤバい先生がいるの? それに共感
してる時点でベア先生もヤバいけど……ちなみに
その先生は誰の事? 黒服?"」
「この世界に属しているシャーレの先生です」
「"シャーレの権限をそういう使い方するのは
人として終わってるね。この一件が片付いたら
そいつも説教しないと……"」
それぞれ自由? に過ごして時間が経過していった。