例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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あの日と違う事

奴は何処だー!!

そっちに居るって誰かが言ってた!

暑い! 暑くて干からびそう!

動いてなくても暑い!

同志! 暑いです!

今水分を配給しておりますのでお待ちを。

 

「"凄い、あのゴルコンダが立派に指揮をとってる。

なんでああなったのかは分からないけど"」

 

「知らぬ間にああなってました」

 

「"へえ……"」

 

「奴への良い目眩しにはなるでしょう。……では

奴が居る可能性が高い研究所へ向かいましょう」

 

「黒服、もしその場所に黒服が居なかった場合

どの様に対応しますか?」

 

「"今更だけど少しの間黒服の呼び方を変えた方が

良いんじゃないかな? ややこしくなってるよ"」

 

「ではロリ婚……でも良いのですが大切な場面

ですので黒先という呼び方にしましょう」

 

「私の呼び方等どうでもいいのですが……さあ、

研究所に着きましたよ」

 

数年前に破棄した研究所。他のゲマトリア達には誰も

知られていない黒服だけの場所。錆びかけている扉を

開けた先には……見知らぬ空間。それは件の黒服が

此処にいるという証明となる。

 

「"なんで砂漠の中に研究所があるの?"」

 

「都合が良かったのですよ。砂の下に眠る価値のある

過去の遺産を解析するのにね。ですがホシノの頼みで

アビドスに場所を移したのです」

 

「"へえ、ホシノの頼みで……"」

 

「何か引っ掛かる事でも?」

 

「"黒先も染まってるんだなぁって……"」

 

「?」

 

「"まあまあ、先を急ごうよ"」

 

「はぁ」

 

何故かにやつく先生と困惑している黒先の図を

客観的に見て「何だこの光景」と冷静になっている

ベア先生の図。入り口の段階で既に混沌とした空間

になる中先を進むと小さな部屋に辿り着いた。

すると壁に設置されているモニターに黒服か映って

拍手をしている姿が見えた。

 

『まずは貴方達を褒め称えましょう。短時間でこの

研究所を特定し私を追い詰めた事を。その功績を

讃え私の傑作をご紹介致しましょう』

 

前方の扉が開く。ゆっくりと近寄ってくるのは

光の失った眼と四つの学生証を左手に持った哀しき

砂の神。

 

『どうです? 素晴らしいでしょう? シッテムの箱

に記録されていた生徒達の闇の記憶を呼び覚ました

精鋭部隊、そのうちの一人です。彼女達全員には私の

命令を聞けばいずれ望みを叶えると吹き込んでおり

従順になる様に仕込んでおります』

 

「"シロコ……それにあの眼……"」

 

『おや、そこの先生はご存知でしたね。そうです、

隣に居る砂狼が恐怖に染まる前の状態ですよ。

先生が撃たれ仲間も全て失い孤独となった、ね』

 

「"何の為にそんな事を……!!"」

 

『私はただ実験を行いたい、それだけです』

 

「気に入りませんね。私の生徒にこの様な行いを

するなんて。正直シロコには迷惑ばかり掛けられて

いたのですがそれでも大切な生徒。貴方が実験に

使っていい筈がないのです」

 

『既に交渉は決裂しております。故にその説教は

何の意味も持ちません。大人しく砂の神に処分を

されるか彼女を殺して先に進むかを選択した方が

身の為ですよ。それでは』

 

モニターに映っていた黒服は消えて暗闇だけが

映し出されている状態となった。

 

「"シロコ。黒先に着いていってあげて。君の力が

あればホシノは救える。……私はこの子を救って

いかなきゃいけないんだ"」

 

「先生……ん、分かった」

 

「いえ、私も残ります。あのシロコは私の生徒でも

ありますので」

 

「"黒先にはホシノを任せる。あの子は私一人で

向き合わないといけないんだ"」

 

「何故一人でやる必要が……」

 

「"お願い"」

 

「……分かりました。先を急ぎますね」

 

「"うん。絶対にホシノを助けるんだよ"」

 

頑なに一人で残ろうとする先生。かつて自身が経験

した出来事が脳裏によぎってしまったが故に彼女を

どうしても救いたい。

 

「"あの日と違って声帯も機能してる。目も見える。

例え世界が違っても私はもう二度と君をあんな目に

遭わせたくないんだ……"」

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