例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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第九部(仮)キヴォトスは現在平和な状態です
君は大切な


「………」

 

目が覚めた時、私はベッドの上で眠っていた。

何故か身体が重く感じるもののいつも通り彼女を

アシストするAIとしての役割を果たそう。

そう決めて部屋の扉を開けたものの……

 

「起きたか」

 

……困惑。目の前にはマエストロ先生が居た。

隣にはエプロンを着けたユメも居る。

 

「おはよう。もう少しで出来るから椅子に座って

待っててねー♪」

 

どうやらいつの間にか彼女達はシッテムの箱に

アクセスして此処を過ごしやすい様に改築した

らしい。そうと決まれば遠慮は要らない。

 

「肯定。お待ちしています」

 

優秀なAIにも食事は必要なものだ。椅子に座って

周囲を見渡しているとソファーにシッテムの箱が

置いてあった。全く、もう少し丁寧に扱って

くれてもいいだろうに……

 

「……? 何故シッテムの箱がソファーに?」

 

「ん? ああ、まだ言ってなかったな。昨夜に

ユメの要望でアロナの身体を実体化させた」

 

「………」

 

理解できませんでした。

そもそもどの様な技術を……いえ、ゲマトリアなら

恐らく可能なのでしょう。だとしても何故……?

 

「どうせ一緒に過ごすんだから箱の中じゃなくて

こうした方が楽しいと思って。あ、先生曰く

アリスちゃんの身体を参考にして作った超高性能

アンドロイドだからお風呂にも入れるよ!」

 

「そこは別に構いませんが……」

 

「一応中学生という設定にしておいたぞ。

これが制服と名札で所属はミレニアムだ」

 

「『梔子アロナ』ですか……これではまるで

私が貴方とユメの娘みたいになってしまいます」

 

「娘……そっか! じゃあアロナちゃんは今日から

私の娘になってもらうね!」

 

「えっいやその」

 

「そうと決まればほら、遠慮せずに食べて!

ちゃんと食べないと成長しないよ!」

 

「アンドロイドなら別に成長は……」

 

「時間経過で成長するようにしてあるぞ」

 

「無駄な技術を使わないでください」

 

なんて傍迷惑な大人なのだろう。最近目覚めた

ばかりなのにこんな面倒な事に巻き込まれて

色々と困ってしまう。……けれど食卓を囲んで

食べる行為には不思議と高揚感が得られた。

 

「一先ずはその身体での生活に慣れた方がいい。

私は被害を受けた生徒達のケアに向かうのでユメは

アロナと遊んでいてくれ」

 

「はーい。じゃあ出掛ける前のあれを……」

 

「待てまだ食事中だぞ。それにデザートにはまだ

早いと思うが」

 

「問答無用☆」

 

突如始まった地獄絵図(個人の主観)が始まりそれを

間近で見ていたアロナは一人こう思った。

理解不能だと。

 

ーーー

 

「ユメ、シッテムの箱を起動し……」

 

「私の事はお母さんって呼ばないとダメだよ!」

 

「……理解できません。血の繋がりがない他人を

母親だと呼ぶ理由が。それに私は……」

 

「いいからほら、口に出して言ってみて」

 

「……お母さん?」

 

「ミ゛ッ゛ 思っていたよりも破壊力が……」

 

「……話を進めます。シッテムの箱を起動して写真

アプリを起動してください」

 

「りょーかい。ってパスワードが掛かってるよ」

 

「『大切な記録』と入力すれば開きます」

 

「へえ……あっ開いた。……うわっ先生ってこんな

奇行ばかりしてたんだ。ゲヘナの子の足舐めてる」

 

「はい。基本的に足は舐めます」

 

「私は舐められなかったなぁ……」

 

スワイプする度に奇行や土下座やら色々な写真が

表示される。自分が知らないだけで先生は沢山

の生徒と出会い、そして過ごしていたようだ。

 

「あっ私が写ってる。懐かしい、後輩達に無理やり

ビキニを着せられたんだよね。ほら見て、傷痕とか

目立って全然可愛くない」

 

「ですが先生は可愛いと言ってましたよ」

 

「あの人は誰にだって言ってるって。優しさの権化

みたいな人だったんだから」

 

「……否定は出来ませんね」

 

「あの時は青春って感じだったなぁ……」

 

「もし戻れるのならどうしますか?」

 

「……私は戻らないよ。罪を背負って生きるって

皆に誓ったから。それに私の後輩達はそんな事を

望んでないと思う。だって会いに行っても雲の上

から落とされて『まだ早いです』って……」

 

「雲の上?」

 

「私一回死にかけてさ。楽になりたくて、孤独から

解放されたくて。でも空から追い出されちゃった。

多分あそこが天国なんだろうね」

 

「支離滅裂な発言ではありますが……確かに箱から

傷ついた貴女を観測していますので嘘ではないと

判断します」

 

「そっか。……ねえアロナちゃん。今の私達をさ、

先生が見たらどんな言葉をかけてくれるのかな」

 

「……分かりません。ですが前を向いているユメに

感動して涙を流すかもしれませんね」

 

「ふふっ、そうかもね」

 

 

 

 

 

 

「"んな訳ないでしょうが!?"」

 

「やかましいぞ」

 

「"おめえのせいだよ!唯一私に残った生徒達を

嫁と娘にしただぁ!? 殺すぞてめぇ!?"」

 

「ユメをよろしくと言ったのは先生だろう」

 

「"うるさい! こんなのはただのNTRだよ!

汚い、これがゲマトリアのやり方か!!"」

 

「だが二人とも幸せにするぞ」

 

「"それは当然でしょうが!! あーもう!!

二人共泣かせたら許さないからね!!"」

 

「任せておけ」

 

「"はよ帰れ寝取り野郎!! 二度と来るな!!"」

 

誰だって 大事な人が寝取られたら 壊れる




お母さんって呼んでね。大事な事だから何度も言うよ。
ユメお母さんって呼んでね? アロナちゃん♪
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