ーーー???
ベアトリーチェ「それでその時ヒナがですね……聞いているのですか、マエストロ」
マエストロ「貴下の崇高に対する熱量は伝わってくるが……他の話題にしてくれないか?もう1時間も空崎ヒナの話をしているんだぞ?」
ベアトリーチェ「もう1時間ですって?何を言っているのですか?あと23時間は話せますよ」
マエストロ「重症だな」
ベアトリーチェ「よくもまぁ……私にそのような態度を」
黒服「……漫才でもやっているのですか?」
ベアトリーチェ「おや黒服。正式な教師になった気分は如何ですか?」
黒服「特に変わった事はありませんよ」
マエストロ「遅れてきた黒服に伝えておく。ゴルコンダは今崇高の為行動しているので欠席するそうだ」
黒服「そうですか。では第二回ゲマトリア会議を始めるとしましょう」
ベアトリーチェ「まずは私から……崇高しているヒナが……」
黒服「申し訳ありません。その話も大変興味深くはあるのですが長くなりそうなので他の話題を話してもらえませんか?」
ベアトリーチェ「……まさかヒナの話に興味がないなんて言いませんよね?」
マエストロ「貴下が毎日『今日のヒナ』ってモモトークのグループチャットに長文メッセージを書き込んでいるので嫌でも把握してる」
ベアトリーチェ「それはそうでしょう。生徒の素晴らしさを説いていかねばなりませんからね」
黒服「それならばヒナ以外の生徒の記録も残しておくべきでは?」
ベアトリーチェ「それはそれ、これはこれです」
黒服・マエストロ「「………」」
ベアトリーチェ「……ヒナ以外となると……ゲヘナでは最近怪我をして帰ってくる生徒が増えましたね」
マエストロ「最近ティーパーティーでも話題にあがっていたな。トリニティの生徒が負傷して帰ってくると」
ベアトリーチェ「理由を問い詰めても曖昧な答えしか返してもらえず解決には至っていません。……気になる事はそれくらいでしょうか」
マエストロ「各自治区の範囲から出ないようにと警告を出しておけばいいだろう。芸術の邪魔をされたら困る」
ベアトリーチェ「黒服の方は何か目ぼしい報告はありますか?」
黒服「とっておきのものがありますよ。……ホシノに実験を行い、想定以上の結果が得られました」
マエストロ「ほう。長年の成果が出たようだな」
ベアトリーチェ「……それでホシノはどうなったのです」
黒服「普段通りに生活してますよ?……少々面倒な事にはなりましたが」
マエストロ「勿体ぶらずに話せ」
黒服「常に側にいるようになりました」
ベアトリーチェ「は?」
黒服「2人きりの時は後ろから抱きついてきたり膝の上に座ったり……」
ベアトリーチェ「は?」
黒服「他の生徒達が言うには恋愛感情を抱かれているようで」
ベアトリーチェ「は?」
マエストロ「落ち着けマダム」
ベアトリーチェ「生徒から恋愛感情?はぁ?恐怖の代わりに惚れ薬でも注入したんですか?」
黒服「そんな無駄な事はしませんよ。……そうそう、笑うことも多くなりましたね」
ベアトリーチェ「離しなさいマエストロ。この男はロリコン犯罪者です」
マエストロ「マダムは人の事を言える立場ではないだろう。……黒服は今後どうするんだ?」
黒服「特に急ぎの用もありませんしこのままアビドスに滞在しようかと」
ベアトリーチェ「ホシノとゆっくりイチャつこうって魂胆ですよね?そんな教師を舐め腐った行動は……」
マエストロ「マダム。話が進まないから少し黙っていてくれ。……手が空いてるなら頼みたいことがあってな。ミレニアムの事なんだが」
黒服「ミレニアム?ああ……そういえば貴方は二つの学園に所属していましたね」
マエストロ「ああ。……だが先程も言ったように現状トリニティから離れられない状況でな。しばらく代理を頼めないだろうか」
黒服「いささか興味はありますが……」
マエストロ「正式な先生になったのであろう?ならば『出張』という形で手続きをすれば明日にでも許可が取れる」
黒服「………」
ミレニアムサイエンススクール。科学技術に力を入れている学園ではあるが神秘があるとは限らない。最悪無駄足になる可能性も考えられるだろう。
マエストロ「安心しろ。ホシノには及ばないがミレニアムにも神秘の反応がある。無駄足にはならないと思うぞ」
黒服「ほう。それならば引き受けても構いませんよ」
マエストロ「助かる。明日にはアビドスに迎えを送るので頼むぞ。これも渡しておく」
黒服「……複製用の素材?ホシノを2人にでもすればいいのでしょうか」
マエストロ「人間に試すのは推奨しない。生体反応がないものか、あるいはアンドロイドに使うといい」
黒服「人間を複製する事自体は可能なのですよね?何故非推奨なのです?」
マエストロ「見た目は同じなのだが言動や行動が異常になる。例えば……自らを台所の盛り塩と名乗ったりする」
黒服「……存在しない記憶のはずですが何故か本能的に拒んでいるようです。ホシノの複製は断念します」
マエストロ「懸命な判断だな。……そろそろ戻らないとまた被害が出そうだ。ベアトリーチェもゲヘナに戻った方が……」
ベアトリーチェ「教師たるもの生徒の恋心には真摯に向き合うべきで……」
黒服「……長くなりそうですし私は先に失礼しますね」
マエストロ「私も戻らせてもらう。それでは次回の会議でまた逢おう」
ベアトリーチェ「生徒の幸せを叶える為ならば恋愛感情を学びホシノとの絆を……」
ーーー
黒服「マエストロの頼みとはいえ安請け合いをしてしまったかもしれませ……んぶ」
ホシノ「お帰り先生!」
部屋に入った途端いきなり抱きついてくるホシノ。最近は甘えてくるのが日常茶飯事なので慣れてしまった自分がいる。
黒服「下校時間は過ぎていますよ?」
ホシノ「……先生の身体あったかいなぁ……」
黒服「……あの……」
引き離そうとしても離れないホシノ。それどころか更に力を強めてくるので抵抗するのをやめた。
ホシノ「帰り遅かったから心配したんだよ……?」
黒服「今日は大事な会議があるので遅くなると前もって伝えていたでしょう?」
ホシノ「それはそうだけど……」
黒服「ホシノが寂しがり屋なのは理解しているつもりでしたが……まさか数時間でこうなるとは思いませんでしたよ。……本日は学校に泊まっていきますか?」
ホシノ「……うん」
黒服「(ここ数日のホシノが取る行動は不可思議な事が多い。実験を行う前まで抱きついてくる事など一度もなかった。これも恐怖を埋め込んだ事による副作用なのでしょうか)」
正直なところ困っている。ここまでホシノの好感度を上げるつもりもなかったし上げるような行動をした記憶もない。対策のしようがないのだ。だからといって好感度を下げるような行為を軽率に行うのも影響が出そうなので躊躇う。つまり八方塞がりだ。
ホシノ「先生が居ない間に色々あってねー。まずセリカちゃんが……」
もしかしたら目の前にいる少女は無意識のうちにこちら側がこうなるように追い込んでいたのかもしれない。……考え過ぎかもしれないが。
ホシノ「先生、聞いてる?」
黒服「あ、ああ。聞いていますよ」
ホシノ「ほんと?」
黒服「本当ですよ」
ホシノ「そっか……それでね……」
この後朝までホシノの話は続いた。
その為出張は次の日に延期する事になった
最後黒服さんが色々考えていますが……
ホシノはただ好きな人と数時間会えなくて寂しかっただけです。特に深い意味はありません。可愛いですね。