例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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タイムマシンはロマンの塊

家の地下にある一室。『趣味部屋』と名付けられているその場所に足を踏み入れると大層な機械が置いてあった。

 

「"絶対これだよね!! タイムマシン!!"」

 

「……やけにテンションが高いな」

 

「"それはもう! タイムマシンの存在を小さな頃に読んだ漫画の中で知った時からずっと乗ってみたいって思ってたんだよ!? テンションが上がるのは必然だよ!!"」

 

「気持ちは理解出来るが……まあいい。さっさと乗り込んでくれ」

 

「"了解。……中は思ったよりも広いんだね。座席の数から推察するに三人用なのかな"」

 

「ああ。本来は一人用で作成していたのだがユメとアロナの事を考えていたら三人用になっていた」

 

「"アロナを娘扱いするのはちょっと引く"」

 

「ほっとけ。……では早速行くとするぞ」

 

「"あれ、座標とか時間とか設定しなくていいの?"」

 

「………」

 

忘れていた、そう伝える前にタイムマシンは起動してしまった。こうなってしまえば止める事は出来ない為揺れる感覚に身を任せて転移が終わるのを待つ事にした。

 

 

1分程経過した頃に揺れが治り転移が成功したようだ。吐きそうになっている先生を持ち上げて外を眺めると地下室から多少技術が発展している様にも見えなくもないミレニアムの街が視界に広がっていた。

 

「動作自体は問題なく稼働している。座標のミスは……致し方ない。人というのはミスをする生き物だからな」

 

「"それよりも吐いていいかな……"」

 

「そこの公園のトイレで吐いてくるといい」

 

「"そうする……"」

 

先生が吐いている間に調べてみるとどうやら過去ではなく未来に飛んでしまっているようだ。つまり此処は二年後の世界、という事になる。二年程度ならばあまり変わる事もないだろう。

 

「だが多少は興味がある。先生が戻ってきたら少しだけ探索してみるとするか……」

 

「あの」

 

「うおっ!?」

 

不意に背後から声をかけられて咄嗟に仰け反ってしまった。声がした方を見るとそこに居たのは……

 

「……アロナか?」

 

「はい、アロナですよお父さん」

 

アンドロイドである為身体的な成長は見受けられないものの自分の知る彼女よりも表情筋が緩く自然な笑みを浮かべていた。

 

「偶然お父さんを見かけたので声を掛けてしまいました。……そんなに見つめてどうしたのですか?」

 

「……いや、何でもない」

 

「? とにかく帰りましょう。お母さんが家で待っていますよ」

 

「すまない、私は少し用事があるから先に帰っていてくれ」

 

「夜の用事ってまさか……」

 

「想像しているような事ではないぞ?」

 

「冗談です。お父さんが浮気をする人間ではない事は娘である私がよく知っていますので。ですが用事を終わらせたら早く帰ってきてくださいね。ホワイトチョコケーキを買って帰って来てくれると私の好感度も上がりますよ」

 

「任せておけ。ホールで買っておこう」

 

「ふふ、楽しみにしていますね」

 

「……行ったか」

 

「"ようやく落ち着いてきた……ごめんマエストロ、待たせたね"」

 

「問題ない」

 

「"あんな揺れるんだったら酔い止めの薬を飲んでおくべきだったよ……待っている間に何かあった?"」

 

「二年後のアロナと話した」

 

「"二年後? やっぱり座標とか色々決めてなかったから過去じゃなくて未来に来ちゃったんだ"」

 

「そのようだ。これ以上滞在する必要もないだろうし早く戻るぞ」

 

「"……あ、ちょっと待って。もし未来なら知りたい事が一つあるんだ。ほら、私とシロコがどうなったのかを確認だけ……"」

 

「やめておけ。未来を知るのはあまり良い事ではないぞ。楽しみが減ってしまう可能性があるからな」

 

「"それはずるいよ。君はアロナと会話したって言うのに……"」

 

「その分過去を堪能しようじゃないか。まあ、一度戻る必要はあるがな」

 

「"今度は揺らさないでね"」

 

「保証は出来ないがな」

 

正直二年後のユメも見てみたいと名残惜しさを覚えつつマエストロ達は元の時間に戻っていった。




「そうか、公園に私が居たのか」

「案の定用事があると家に帰る事を拒みました」

「そうだろうな。当時は事故のようなものだったからな。……さて、約束を果たすとするか。ほら、ホワイトチョコケーキだ」

「ちゃんとホールですね。もしかして手作りですか?」

「私とて多少調理技術は進歩しているのだ。ユメが帰宅したら切り分けるとしよう」

「はい、楽しみにしていますね」
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