女子高生を誘拐しようとしたマエストロ(教師)は女子中学生を誘拐したシャーレの先生に説得されてなんとか犯罪に手を染める前に踏みとどまる事が出来たようだ(既に染めているかもしれないが)それはそれとして何やら不服そうで……
「やはり納得がいかん。何故シロコは連れて行っても問題がないのにユメは駄目なのだ」
「"それはほら……アビドスの物語の根幹部分にはユメとホシノが必要だからだよ"」
「物語もクソもあるか。私はユメサンド……もとい黒服の為にだな……」
「"やっぱり君とベア先生って似てるよね"」
「それだけは二度と言うな」
「"ごめん。……でもどうしてそこまで固執してるかは気になるよ。流石に大きい胸が好きだからとか若い頃の奥さんだからって理由だけだと少し物足りな……そうでもないかもしれない"」
「愛する人を助けたいと思うのに理由は必要なのか? 例え過去で出会った人だとしてもそれが愛する人ならば理由なんて無粋だろう?」
「"でも君の愛するユメとは厳密に言ってしまえば違うよね? 下手したら浮気になるんじゃ……"」
「それは聞き捨てならないな。先生は私が浮気をする愚かな人間だとでも言いたいのか?」
「"まさか。君が愛妻家だと言うのは耳が痛い程聞いてき……"」
ーー女子高生のユメを見ていたい
ーー私は女子高生のユメを連れて帰るぞ!!
ーー胸の揺れ具合は……ふむ、凄まじいな……
「"ごめん。今過去の発言を振り返って見たけどどう考えてもアウトだったよ"」
「………」
「"どうしたの?"」
「何故私は女子高生のユメに拘っていたのだ」
「"急に冷静にならなくても……ま、まあほら、魅力的な果実があったら齧りたくなるみたいな状態だったんだよ。だけど私達先生はそういう魅力を押し除けて接さないといけないんだ"」
「まあ……そうだな。だが先生よ、私はどうしても確認したい事がある。故にユメは連れて帰らなければならないんだ」
「"ユメサンド?"」
「それもそうだが……言ってしまえば『過去を変えた時、本当に未来に影響が出るのか』だ」
「"出てるよ"」
「何だと? 何故影響が出てると分かるのだ?」
「"さっき黒先が送ってきたモモトーク見て"」
「至って普通の文書で……ああ……」
前回の後書きに書いてあったユメ日記の一部。それを読んだマエストロは未来に影響がある事を理解してしまった。
「くそ……あのパターンではなかったのか?」
「"あのパターンって?"」
「外の世界で愛されている漫画の話だ。20年後の未来からやってきた好青年が過去の人物と接触して過去を変えた後に元の時代に戻っても未来では何も変わっていなかった、という奴だ」
「"それってドラゴ……"」
「言うな。しかし当てが外れてしまった以上迂闊に関われないな……既に手遅れかもしれないが一旦時間を空けてユメに会いに行くとするか」
「"分かった。……所でさ、さっきの漫画だと何処のシーンが一番好き?"」
「当然最後の部分だな。皆の力を集めた必殺技で強敵を倒す。単純なシナリオではあるがとても熱く滾る展開だった」
「"分かってるね。そこに至るまでの過程も含めて心にくるものがあるんだよね"」
「そうだな。やはり登場人物の背景は……」
ーー此処からの記録はユメに関わらないくだらない内容なので記録としては残らなかった。
ーーー
「顔が二つある先生。身体の所々が黒くなっている先生。……個性的だけど根は良い人達。そんな先生が居たらアビドスも……なんて欲張り過ぎかな。……うん、私は生徒会長なんだからしっかりしないと。またホシノちゃんに『そんなだらしなくて包容力があって押し倒したくなる生徒会長なんて他に居ませんよ』って怒られちゃうからね。……あ、そうだ! 確か懐かしいものがあったから……明日はホシノちゃんを大爆笑させちゃおう☆」
△月●日
ホシノちゃんに「見てみてー! 宝くじ買ったの! ユメが夢を見せてあげる☆」って一発ギャグをしたんだ。そうしたら「確かに夢は見れましたよ。さっきまで暑かったのに今は急激に涼しくなってきましたからね」と鼻で笑われちゃった……次は大爆笑させちゃうんだから!!
「……どうやら彼女には笑いのセンスが無いようですね」