例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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複雑な心境

「ユメ先生、面会者が来ていますよ」

 

「えっ本当? 珍しいね」

 

「良ければこの場に来て頂きますが……」

 

「お願い」

 

彼女はマエストロの嫁である方のユメ。なんだかんだシャーレの先生の業務に慣れており書類整理をテキパキこなしている。ただ今回はイレギュラーな事であり……なんて事はまだなく。

 

「こんにちは」

 

「ケイちゃん? わざわざシャーレに来てまでどうしたの?」

 

「人助けの依頼を受けて貰いたいのです」

 

「え?」

 

「理由は後で話すので今はついて来てください」

 

「ケイちゃんの頼みならいいけど……」

 

「ありがとうございます。では手を」

 

「えっあっうん」

 

ケイの手を握るユメは案の定ワープしてシャーレから別の場所に移動して……小鳥遊家のリビングに。

 

「ホシノちゃんの家? どうして此処に……」

 

「……連れて来てくれましたか」

 

「黒服……? それとその人……私?」

 

そこには血だらけの自分がベッドで眠っていた。

 

「話は後です。どうか彼女に輸血を行ってくれませんか? 出血が酷く彼女の血液型を調べる時間もない。……頼みます」

 

「……分かったよ」

 

何が何だか分からない。但し助けられる人がいるのなら……

 

ーーー

 

「……助かりました」

 

「針は痛いけどいいよ。それよりもどういう状況なの? どうして私がこんなに怪我をして……」

 

「彼女は過去の……本来死んでしまうユメです」

 

「それがどうして此処に居るの?」

 

「マエストロと先生の仕業です」

 

「???」

 

ー説明中ー

 

「旦那がごめんね」

 

「いえ、結果的に阻止できたので大丈夫です。今ホシノからもマエストロ達を連れて戻って来たと報告がありました」

 

「後で叱っておくね。もう、最近家に居ないと思っていたらそういう事だったんだ……え、じゃあ中学生シロコちゃんも?」

 

「……もしや既にやらかしているのですか?」

 

「ああ、多分そっちは大丈夫……かも。早く旦那達が送り届ければの話だけどね」

 

「下手に拗れて私とホシノが破局したら困りますのでなるべくお早めにお願いします」

 

「破局は願ったり叶ったりではあるけどそれでホシノちゃんが悲しむなら避けたいね……」

 

「相変わらず私への信頼が低いようで……慣れましたけどね」

 

「私が言うのも何だけどそれ慣れていいものなの?」

 

「慣れるしかないんです。大人の運命ですよ」

 

「そっか……」

 

「……で、貴女は良いのですか?」

 

「何が?」

 

「今此処に存在しているユメの様に過去から救い出さなくて良いのかと思いまして。貴女にも居るのでしょう? 助けたい人が」

 

「それは……考えたけどさ。もし失敗して今側に居る大切な人まで失う事になったら嫌だから……私はこのままでいいの。その提案は魅力的ではあるけどね。……それに私の世界は既に滅んでるし」

 

「我慢はしなくていいのですよ。貴女も成人しているとはいえまだまだ子供なのですから。無理に背伸びをする必要はありません」

 

「……ふん、調子に乗って先生ぶっちゃって……黒服なんかに私の心境を暴かれる筋合いはないですよーだ」

 

「はあ、やはり私は貴女に嫌われているようですね。信用もなく嫌われてもいる。悲しいですがそれ以上に身に覚えのない事で拒絶されるのは納得がいきませんね」

 

「黒服だから仕方ないって諦めて。……まあ、気遣ってくれるのは嬉しい、ありがとう。それでも私は今の生活を守るだけで精一杯だからさ」

 

「……そうですか、分かりました。貴女がそう言うのであればこの話は無かった事にしましょう。もし気が変わったら私に連絡してくださいね」

 

「うん、ありがとう。……さ、輸血も終わったし『ユメ先輩』をアビドスに持って帰っちゃって」

 

「助かりました。今度礼をさせて頂きますね」

 

「礼なんて要らないよ。ただホシノちゃんが今まで以上に笑って過ごせる様になるならそれで」

 

「では今度ホシノの写真を送ります」

 

「それは欲しい」

 

ーーー

少し時間は遡ってマエストロ達の視点へ。現在鬼嫁こと小鳥遊ホシノにボコボコにされて空を眺めているマエストロと何故かホシノを応援している先生という奇妙な光景が……

 

「"頑張れ頑張れホ・シ・ノ!! そこの変態をぶっとばせー!!"」

 

「………」

 

「……何故私ではなくホシノを応援する?」

 

「"私先生だし……変態と生徒のどっちを取るかって言われたら間違いなく生徒を選ぶよ"」

 

「変態言うな」

 

「"じゃあストーカー"」

 

「あ?」

 

その後マエストロがホシノを放置して先生と争い始めたのは言うまでもない。残された彼女は黒服が上手くやっている事を信じその場に座り込んで吉報を待っていた。

 

「……あ、先生だ!」

 

1キロ程離れた位置に見慣れた黒いスーツの人影を見つけて見るからにテンションが上がっているホシノ。そんなに離れていては気づかれる筈もないのにそのまま手を振り続けている……が。彼は自らの足元に落ちている盾を拾っていた。今ホシノが身につけているものと同じ盾を。

 

「……あれ? あれあれあれ? もしかしてこの光景って……」

 

それは忘れもしない二年前の記憶。この砂漠で初めて出会った大人との邂逅。……案の定彼に接近する過去の自分。遠目からでも理解できるその光景を目撃して一人懐かしさを覚えているホシノ。

 

「……上手く行ったのかな? 特に連絡は来てないけど……まいっか。それじゃあ早く戻って……」

 

「"変態に変態って言って何が悪いのさ!!"」

 

「言葉は凶器だと知れ!! それに先生も脚を舐めた経験はあるのだろう!? 充分変態だろうが!!」

 

「"舐めましたけど!? でも私はマエストロと違って水着の生徒をストーキングしていませんが!?"」

 

「何だと貴様!!」

 

「……はあ。面倒だけどこのダメ人間達も連れて帰らないとなぁ……」

 

その後二人を気絶させてホシノは元の時間に戻って行ったとか。




くだらない話ではありますが
毎日続けているからか遂に原作ブルアカで話数多い順にしたら一番上に出るようになってしまいました
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