黒服先生のミレニアム出張編#1
黒服「迎えが来ると聞いてはいましたが……これは何です?」
ウタハ「これかい?『カイテンロボver'M』だよ。私達の先生と共同開発した芸術作品さ」
ホシノ「でっかいロボットだねぇ…」
ウタハ「ミレニアムプライスにも出品出来る自信作だよ。……中はハリボテだけど」
黒服「……そんな適当でいいのですか?」
ウタハ「浪漫を追求するのも科学だからね」
黒服「ところでこの大きさですと信号にぶつかってしまうのでは?」
ウタハ「勿論壊してきたよ。科学に犠牲はつきものさ」
黒服「(どうしてこの世界の生徒大半は問題児しかいないのですか?)」
ウタハ「細かい事を気にしていたら何処かの先生みたいに禿げるよ。だからノリでいくんだ」
黒服「生憎こういった趣向品には興味がありませんので……」
ホシノ「そうそう。先生が興味あるのは……うへぇ///」
黒服「何故照れているのです」
ウタハ「これは爆発させた方がいいやつかな?こんな事もあろうかと爆薬は積んであるよ」
黒服「他のところに力を入れなさい。……話が進まないのでそろそろ向かってくれませんか?」
ウタハ「おっと。それは失礼したね。じゃあ飛ぶからシートベルトを……そういえば取りつけ忘れたね」
黒服「はい?」
ホシノ「えっ」
ウタハ「まあ……空の旅も出来て一石二鳥という事で勘弁してくれないか?」
黒服「私達に死ねと?」
ホシノ「ミレニアムって怖い人達だらけなんだねぇ。……とりあえず撃っとく?」
ウタハ「……冗談だよ。だからそのショットガンをしまっておくれ。私は後方支援専門だから打たれ弱いんだ」
黒服「ホシノ、落ち着きなさい。まだシロコよりはマシな部類ですので」
ホシノ「先生がそう言うなら今回は許してあげようかな」
ウタハ「感謝するよ。……おっと、セミナーから早くミレニアムに連れてこいと催促されてしまったよ。話の続きは学園に着いてからかな」
黒服「そうしてください。……ホシノは本当に付いてくるのですか?しばらくアビドスには帰れないと思いますが」
ホシノ「心配ではあるけど私より優秀な後輩ちゃん達がいるからねぇ。……それに先生に会えない方が辛いし……」
黒服「それもそうですね。現に一昨日の貴女は……」
ホシノ「掘り返さないでよ〜……思い返すと結構恥ずかしいんだからね」
ウタハ「……発進させていいかな?」
黒服「失礼。いつでも大丈夫ですよ」
ウタハ「よし。……カイテンロボ、大地に立て!」
黒服「既に立ってますよ」
ウタハ「ウタハ少尉、吶喊します!」
ホシノ「物騒な台詞だねぇ……」
黒服「動き出したのはいいのですが……誰に伝わるんです?」
ホシノ「さあ……」
想像よりも速度が出るロボットに乗って向かう場所。そこは科学が発展した大規模の……
黒服「……あの。さっきから周りの車を踏み潰しているように見えるのですが」
ウタハ「大丈夫だよ。キヴォトス人は耐久力もあるし科学に犠牲はつきものさ」
黒服「倫理観が狂ってますね」
ホシノ「ミレニアムは敵に回したくないねぇ……」
ウタハ「問題ないよ。大半の事はシャーレが解決してくれる」
黒服「(もしかしなくてもエンジニア部というのはシロコと同レベルでやばい集団なのでは?)」
ホシノ「もう突っ込んだら負けな気がして来たよー」
ウタハ「つまりこういう事だよ。……考えるな、感じろ!」
黒服「……はぁ」
このような集団と数年関わってきたマエストロはどうなっているのだろうか。胃薬を常備しているとでもいうのか?むしろテロを起こす側なのだろうか。
ウタハ「尊い犠牲を出しつつも見えてきたね。あれが私達の学園であるミレニアムだよ」
黒服「やっと着きましたか……この短期間でかなり疲労が溜まりましたよ」
ホシノ「なんだか近代的だねー。活気もあるし良い雰囲気だねぇ」
ウタハ「客人を迎える事も出来たし私はこれで失礼するよ。後の事は……あそこから走ってくる人に任せるよ」
黒服「やり方はともかく感謝しますよ」
ホシノ「ありがとー」
ウタハ「興味があればエンジニア部を訪ねてほしい。それじゃあ」
そう言い終えたウタハはロボを操作して部室があるであろう方向へ去っていった。それと入れ替わるように走ってくる1人の生徒。
「アビドスからお越しいただいた臨時の先生と付き添いの方……ですよね?エンジニア部がご迷惑をお掛けしました……ご挨拶が遅れましたね。私は……」
黒服「早瀬ユウカ。ミレニアムの数少ない常識人であり苦労人。少し前まで求婚されていたという噂も……」
ユウカ「何故私の名前を……って求婚の事なんてどうやって知ったんです!?」
黒服「貴女達の先生から情報を得ましてね。大半は必要ない事でしたが」
ユウカ「……一応聞いておきたいんですけど、他の情報って……?」
黒服「貴女がシャーレの先生に恋心を抱いているだとか教えてもらいましたね」
ユウカ「……それに関しては内密でお願いします……別に恋なんてしてませんけど誤解されたら面倒ですし」
ホシノ「……ユウカちゃんは乙女なんだねぇ」
ユウカ「ありがとうございます……?って私の事はいいんです。とにかく……お二人ともミレニアムへようこそお越しくださいました!短期間ではありますがよろしくお願いします」
黒服「こちらこそ宜しくお願いしますね。……とはいえ具体的にどういった業務を行えば良いのでしょうか」
ユウカ「基本的には各部活の生徒達が暴走しないように監視してもらおうと思っております。というのも近いうちに『ミレニアムプライス』と呼ばれるそれぞれの部活が成果物を出し合って競う品評会のようなものがありまして……」
ホシノ「良い評価を得ようとしてやりすぎちゃう生徒が出てくるかもしれない……って事なのかな」
ユウカ「その通りです。去年は月まで届くレールガンこと『ルナアタック電磁砲』なんてものを秘密裏に開発していた部活がありましたし……」
黒服「……なるほど。監視と言えど結構重要な役割なのですね」
ユウカ「それ以外は自由に過ごしていただいて構いません。……時々手伝って欲しいとご連絡をする事があると思いますが……」
黒服「その程度なら構いませんよ。アビドスに居るより楽そうです」
ユウカ「……黒服先生も苦労をされているのですね」
黒服「ええ。ですが苦労して得られたものもありました。もしやり方が違っていたのであればここまでの成果はなかったでしょう」
ホシノ「成果って何のこと?」
黒服「……その話はまた後ほどしましょう。ユウカ、続きをお願いします」
ユウカ「あっはい。では早速お仕事……ではなく、本日は軽く学園の案内をしますね。本格的な業務は明日からお願いします」
黒服「承知致しました。では案内の方を頼みますね」
ユウカ「お任せください。最適なルートで案内しますね。まず最初に……黒服先生達が乗ってきたロボットが置いてあるあの場所が『エンジニア部』です。あそこが一番厄介なので要観察でお願いします」
黒服「第一印象があれでしたのであまり関わりたくはありませんが……仕方ありませんね」
ユウカ「その付近にあるのが野球部と新素材開発部です。この二つは比較的まともですので助かってます」
黒服「科学が発展したこの学園に野球部があるとは……」
ユウカ「次は少し移動しますね。……今のうちにお二人の端末に詳細が載っている地図情報も送信しておきます」
ホシノ「ありがとー……見やすいけどなんていうか……」
黒服「ロボの主張が激しいですね」
ユウカ「後でエンジニア部に問い詰めにいきます。……気を取り直してここがトレーニング部の部室です。ミレニアムの技術力が詰まった機材ですのでより効率的に身体を鍛える事が出来ますよ」
黒服「適度な運動は大切ですが……所属している生徒は1人だけのようですね」
ユウカ「基本ミレニアムに所属している人はインドアな方が多いので……身体を動かす人は少ないんですよね」
ホシノ「ねえ先生、あれに触れなくていいの?」
黒服「あれはもう好きにさせておきましょう。何か事件を起こしてからで構いません」
ユウカ「あの人は時々来てる不法侵入の方です。……もしかしてお知り合いですか?」
黒服「まあ……そうですね。迷惑をかけていなければ放置してあげてください」
ユウカ「今の所いきなりあっち向いてホイを要求してくると報告があるくらいですので……」
ホシノ「相変わらずだねぇ……」
ユウカ「……そしてここの小さくて汚い部屋がゲーム開発部です。今は誰も居ないみたいですが」
黒服「なんてだらしない部屋なのでしょうか……」
ホシノ「うわっ……あの黒いのって……」
ユウカ「早く部屋を閉めて次に行きましょう」
黒服「何と言いますか……変わった学園ですね」
ユウカ「……そこは否定出来ませんね」
その後もいくつか部活を紹介しつつ学園内を案内してもらった。メイド服を着た部活やハッカーが集まっている部活など興味はあるが神秘を感じるものは何一つなかった。
ユウカ「最後は私が所属しているセミナーです。リオ会長、アビドスから来て頂いた臨時の先生をお連れしました」
リオ「ご苦労様。……遠方からの来訪感謝するわ。私は……」
黒服「その前に一つお伺いしても?」
リオ「何かしら」
黒服「何故そこまでスカートの丈が短いのです?恥じらいはないのですか?」
リオ「……あまり触れないでほしいわね」
ホシノ「大人の事情ってやつだねぇ……」
リオ「……とにかく歓迎するわ」
ユウカ「これで学園の案内は終了です。最後にお二人が滞在している間に使用していただく部屋ですが……その……」
黒服「何か問題でも?」
ユウカ「……とにかく行けば分かります。場所は先程送信しましたので。それでは明日からお願いしますね!」
黒服「は、はぁ……」
半ば強引に話を終えてリオとユウカは去っていった。ホシノと数秒見つめ合った後記載された場所に向かう事にした。
黒服「部屋自体にあまり問題はあるように見え……」
ホシノ「………」
2人用とは思えないほど広く立派な部屋ではあるものの重大な欠陥がある。それは寝室にダブルベッドが置いてある事。そもそも別々の部屋にしないのもおかしいのだが一体何を考えているのだろうか?ホシノと同じベッドで寝ろと?
ホシノ「……どうしよう」
黒服「私はソファーでいいのでホシノはベッドを使ってください」
ホシノ「そ、そうだね。うん、それが良いよ」
黒服「ちょっとしたトラブルもありましたが……とりあえず」
ホシノ「盗聴器を壊そうね」
見るからに怪しい装置がそこら中に仕掛けてあったので手当たり次第破壊した。ベッドの下に配置されている辺り悪意を感じる。
黒服「盗聴器だけで108個も見つかるとは……一周回って頭が悪いのでは?」
ホシノ「数打てば当たる戦法とはいうけどちょっとやりすぎだよね」
黒服「明日ユウカに通報しておきますか」
ホシノ「だねー」
ある程度落ち着いた所で各自明日に備えて寝る準備をした。ところまではよかったのだが何故か今ホシノに抱き枕代わりにされている。
ホシノ「いつも使ってる鯨のぬいぐるみを忘れて来ちゃってさ。先生が居てくれて助かったよぉ」
そう言っているホシノだが顔は真っ赤で心臓の鼓動が聞こえてくる程緊張しているようだ。そんな状態で寝れるのだろうか?添い寝自体はベアトリーチェも毎日ヒナと添い寝しているとモモトークで語っているのでこの程度は許容範囲だろう。
黒服「……本当にこれでホシノの目覚めが良くなるのですか?」
ホシノ「そ、そうだよ。何かに抱きついてるとリラックスして寝れるんだぁ」
黒服「それは興味深い。試してみるとしましょう」
思えば試した事がなかった。睡眠中に最大の神秘であるホシノが側にいたらどうなるのだろうか?試しに片腕に抱きついているホシノを引き寄せてみた。
ホシノ「?!」
ホシノがいきなり手足をバタつかせ始めたが気にせずそのままの姿勢でいると大人しくなった。
黒服「なるほど。確かにこれは睡眠導入としては良いもので……ホシノ?」
ホシノ「………」
ホシノの頭からヘイローが消えている。いつの間にか眠りに落ちていたようだ。
黒服「ホシノも寝た事ですしベッドから出ますかね。夜のうちに調べておきたい事もありますし」
明日からは業務を行いつつマエストロが言っていた神秘の場所を探らねばならない。しばらく暇を持て余す事はないだろう。
この後何故かベアトリーチェから『恨めしい』とモモトークが送信されてきたが未読無視をした。
ホシノをどう可愛く表現しようかで数時間悩みました。
それと粘りましたが水着ホシノは引けませんでした