例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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謝罪

「……ユメ先生?」

 

「どうしたのユウカちゃん」

 

「その……ソファーに座ってる人は一体……」

 

「あれは私の旦那だよ」

 

「どうしてここに……それよりもかなり怪我をしている様な気がするのですが……」

 

「重罪を犯したからだよ。あ、反省するまで治療はしなくていいからね」

 

「は、はぁ……」

 

今日のユメ先生は見るからに機嫌が悪そう……普段は笑顔で接してくれるのに今は真顔で淡々と仕事をこなしている。目は据わっておりまるで殺人でも犯しそうな……

 

「あ、ユウカちゃん。今日はもう手伝わなくて大丈夫だよ。今やってる分で仕事は終わりだからさ」

 

「わ、分かりました。その……程々にしてあげてくださいね」

 

「旦那次第かな」

 

ユウカは帰る。そして二人残るシャーレの部屋にはただ黙々と仕事をこなす音しか聞こえない。

 

「……なあ」

 

「誰が喋っていいと許可したんですか?」

 

「……すまん」

 

「貴方は良いですよねーフットワークが軽くて。どうでした? 18歳の私は? やっぱり若い方が好みなんですよね? 成人済の私では貴女の欲は満たせないんですよね? ほら、黙ってないで何とか言い訳でもしたらどうですか?」

 

「それは……」

 

「だから喋って良いと許可した覚えがないんですけど? どうして貴方は自分勝手に行動して人を悲しませるんですか?」

 

「………」

 

「……信じていたのに裏切られた私の気持ちは分かりませんよね。もう帰って良いですよ。トリニティやミレニアムの子達と愛し合っていればいいんじゃないですか?」

 

「私はユメ以外に恋は……」

 

「戯言はいいので帰ってくれません?」

 

「………」

 

「所詮貴方もその辺の大人と変わらない自己中心的で人の感情を気にしない人種なんですよね。教師として頑張る云々の前に家庭の事を考えないといけない事くらい言われなくても気づいてくれません? 頭が二つあるのに詰め込まれてるのは性欲だけですかって話ですよ。大体貴方はいつも……」

 

「やあやあユメ、私が遊びに来た……何だいこの地獄の空気は? まるでそこでメンタルがやられて三角座りをしている先生が浮気をしてこっぴどく叱られているみたいな空気じゃないか」

 

「セイアちゃん……その通りなんだよ。この人が浮気をしたんだ」

 

「何だって? 頭が二つある癖に異常なほど鈍感でトリニティとミレニアムの生徒の恋心を粉砕してユメを選んだマエストロ先生が浮気を? 誰とだい?」

 

「18歳の私」

 

「ちょっとよく分からないけどそれは浮気になるのかい? 同じユメなのだから年齢に前後があってもそれはユメであるしここまで先生のメンタルを壊さなくても良い気はするけども」

 

「確かに言い過ぎたけど……それでも許せないんだ……この人は若い子の方が好きで成人した私には興味がなくなってるって事実が……」

 

「そうなんだね。……で、先生? 実際のところどうなんだい? 一時の気の迷いかそれとも本当に若い頃のユメにしか興味が沸かなくなったのか」

 

「……気の迷い」

 

「成程成程。一時の気の迷いでやってしまったと。それは仕方ない事であるんだよ。何故なら人間は自らの選択で道を決める事が出来るのだから。当然間違った道を選んでしまう事もある。……だけど考えてみて欲しい、気の迷いで痴漢をした人間が許される事はあるのか? 否。それはそれ、これはこれ、だろう? つまり先生は罪を償わなければならない。という訳でユメ、愛の鉄拳を先生に食わらせるんだ。自らの想いを込めてね」

 

「えっ、あんまり暴力はしたくないよ……」

 

「これだけボコボコにしておいてよく言うよ。それにもやもやした鬱憤を晴らすにはこれが一番手っ取り早いってミカが言っていた。さあさあ遠慮なくやるといい」

 

「そこまで言うなら……」

 

実際このもやもやを引きずって過ごすのは互いにしんどいと思うし親がこんな状況だとアロナちゃんも困るだろう。それならセイアちゃんの言う通り愛の鉄拳で解消した方がいいかな……

 

「先生、覚悟はいいですか?」

 

「……ああ」

 

「……いきますね……愛と! 憎しみの! 名の下に! 浮気をした旦那を! 成敗!!

 

ガン!!

 

「……ふう。結構スッキリした。セイアちゃん、ありがとう。お陰で家族共々また仲良くやれそうだよ」

 

「それは良かった。きっと先生もこれに懲りてもう若い頃のユメに気移りする事もなくなるだろう」

 

「そうだね。じゃあ今日は先生を連れて帰るね。今度お礼をさせてね」

 

「気にしなくていいよ。私はただ悩める友人に助言をしたに過ぎないからね。また話し相手になってくれるだけでいいよ」

 

「約束だよ。それじゃあまたね」

 

「気をつけて帰るんだよ。……それにしても18歳のユメとはどういう事なんだろうね。過去に言ったとか過去から連れて来たとかそういう馬鹿な話ではないと思うけど……まあいいか」

 

※建物の被害

シャーレの部室 全壊

人員被害 マエストロ先生

修理業者 便利屋68




喋るな

理由を言え

だから喋るな

のクソコンボは昔自称ドSの歳上にやられてメンタルが死にました。なんなら書いてる時にそれを思い出して辛くなったので軌道修正セイアちゃんを設置しました
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