白い日傘と赤い肌。隣には白い華……じゃなくて花嫁……ではあるけども違くて。何が言いたいのかと言うとベア先生とヒナの二人が並んでいるという事。今日から二人きりで一ヶ月間の新婚旅行に行くのだとか。
「ヒナと二人きりで旅行。然しですね、今回の旅行はプランを何も考えておりません。そこで私はこのようなものを用意致しました。そう、『行き先ルーレット』です」
「何それ」
「その名の通り行き先を決めてくれるものですよ。本来は昨日の段階で使用する筈だったのですが連携が上手くいかなかった(というか忘れていた)ので次からですね」
「だから今回は一ヶ所しかないんだね。しかもアビドス……ゲヘナの次によく行く場所なのだけど」
「大丈夫です、視点を変えて見れば観光名所は見つかります。さ、時間は待ってくれないので行くとしましょう」
「うん」
ババア移動ちゅ……お待ちなさい!! 最近私を罵倒する言葉を使う方が増えてありませんか!? 確かにベアおばと言われる事は多々ありましたがババア呼びはあまりにも失礼だと思うのですが!!
「ババア呼びする人が居るの? 存在を抹消しに行った方がいい?」
「それはシャレになりませんよ。貴女は最強なのですからキヴォトス全土が消し炭になります」
「二人だけの世界で愛を囁くなんてロマンチックだと思わない?」
「それは言えてますね」
……ババア改めベア先生とヒナ移動中
「最初はやはりここでしょう、アビドス砂漠! トットリ砂漠よりも広いと噂されている大規模な砂漠であり今も拡大しているとか何とか」
「トットリ?」
「外の世界の砂漠がある場所ですよ。そしてですね、この砂漠の下にはロマンが眠っているのです。つまりお宝! かつて一攫千金を求めて水着姿で砂を掘った女の子がいたとかいなかったとか」
「全部憶測なのね」
「まあ私はヒナというお宝を既に手に入れているので他に欲しいものはありませんがね!」
「そういう所大好き」
「ヴッ゛」
「折角だしこのまま砂漠を歩いてみる?」
「クソ暑そうですがヒナが望むなら行くとしましょう。……そして私は奥に見えるあれが気になっているんですよね」
「奥? ああ、あそこの変なやつの事? 変なロボットみたいなものがある」
「それです。一先ずはそこを目指してみましょう」
クソ暑い砂漠を歩きつつ体力の衰えを感じているベア先生としれっとした顔で隣を歩くヒナ。年齢の差が露骨に出ている中辿り着いた建物の名前は『砂狼ランド』。……???
「何ですかこの若干狂気を感じる建物は。何故砂漠にこんなものがあるのです?」
「水に関わるレジャー施設みたい。水着の貸し出しとかもあるって書いてある」
「残念ですがヒナはスク水一択ですので……それに何故砂漠で水に関わるものを作ったのです?」
「オアシスの水を利用してとか何とか」
「絶対別の事に使った方が良いと思いますが……そしてまだ営業していないではありませんか。仕方ありません、覚えていたら今度来るとしましょう」
「そうしよう」
「……そしてそろそろ夕方ですね。今夜泊まる場所に向かい始めますか」
「泊まる場所、決まってたんだ」
「はい。豪華な温泉がある場所ですよ」
「アビドスにそんな所があったのね」
ーーー
「確かに間違ってはいないけど……ここってアビドス高校だよね?」
「一度此処の温泉に入ってみたかったのですよ。主に他のアビドスの子の叡智な姿を覗けると期待を込めて。大丈夫、黒服には許可を得ましたので」
「それならいいのかな……砂漠を歩いて結構汗をかいたし入っちゃおう」
「あ、当然ヒナの身体は私が洗いますよ」
「お願い」
洗う+行為+洗うの無駄な動作を終えて温泉にダイブ……は危ないのでちゃんと足からゆっくり入って堪能し始める年相応のおばさんと一息ついて空を眺める女子高生の図。頭にタオルを乗っけている辺り尚更おばさん臭いベア先生は唐突に酒を取り出して一杯やり始めた。
「知っていますか? 温泉+お酒は素晴らしい組み合わせなのですよ。そしてこれはこの日の為に用意した『空崎』というお酒です」
「私の苗字……」
「これで体内までヒナに染まれるという訳ですよ」
「もう染まってると思ってたけど……」
「それはそうですよ。出なければ色々な子に手を出した後にヒナの元へ帰らなくなってしまいます。ヒナに出会ったあの時からずっと染められ続けているのですよ」
「……そう言われると少し恥ずかしい」
「わ、わーお照れヒナではありませんかこれはこれは久しぶりに見てしまいましたよこの可愛らしくも照れている乙女ヒナをなんて素晴らしいのでしょうか恐らく小刻みに翼が揺れているのでしょうねくぅ見たいむしろ覗きに行きましょうそうしましょうでは早速失礼して温泉の中に顔を入れてあっっつ!?!?」
「何してるの」
締まらない感じで終わるアビドス旅行……? なんだろうこれ
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