『いえ〜い、黒服みってるぅ〜? 今からぁ、この可愛いホシノとヒナを同時に頂きたいと思いま〜す☆』
……それは何気ない日常に突然現れた光景。見知った赤いおばさんとそのおばさんを溺愛しているヒナ、そして髪の長い初々しいホシノが中心に……駄目だこんなもの見ていられない。それよりも何故マダムがあのホシノとこのような行為を行なっているのか? まさか温泉に設置してある扉の存在がバレてしまった? だから立ち入り禁止にしていたというのに……あの日新婚旅行とかバカな事を言っている時に無理にでも止めておくべきだった……その代償がこれですよ、何ですかこのNTR動画みたいな後味の悪い動画は。あまりにも趣味が悪い。反吐が出ますよ。
「という訳でマエストロ、アビドスと協力してマダムに制裁を与えませんか?」
「一度冷静になった方が良い。確かに自身の愛する人に似た生徒に手を出されてしまえば脳が破壊されて思考停止してしまう気持ちも分からなくもない。然し黒服よ、そのホシノは似ているだけであって別の人間なんだ。あまり気にする必要はないと思うぞ」
マエストロの言っている事は正しい。確かに私の妻であるホシノが抱かれた訳ではないので気にしなくても問題はない筈。ただしそれは脳が破壊されていないから言える綺麗事なのですよ。同じ見た目である時点で愛する人がそういう行為に及んでいると錯覚してしまうのは必然。この動画を再生した時点で脳の損傷は測り知れないものとなっているのだから。
「そういう貴方用にもマダムは動画を送ってきてますよ。再生してみてください」
「別に私がダメージを負う内容ではないと思うが一応見させて貰おうか」
『マエストロ見ってるぅ〜? 今からは18歳のユメも混ぜて4人で朝まで楽しみますよぉ〜☆』
「………」
「………」
「殺処分確定だな」
「その言葉を待っていました」
「とりあえずモモトークはブロックしよう。それと接近禁止令を出しておいて……ああ、ミカの教育にも悪いからゲヘナ親善大使はもうやらなくていいと伝えておくか」
「ゲヘナ自体には罪がないと思いますが」
「ゲヘナに行く事自体あのババアの毒牙にかかるリスクがあるからな。世間一般では脳筋呼ばわりされているミカだが中身は純情乙女なのだぞ? ババア如きに汚されてたまるか」
「既に手遅れな気もしますがね」
「言うな」
「その点アビドスは安心ですよ。殆どマダムと接触する事はないので。仮に手を出そうものならホシノの鉄拳制裁が飛んできますし」
「そうだな。せめて黒服のアビドスだけはマダムの毒牙に罹らぬよう死守しなくては。18歳女子高生ユメの為にもな」
「貴方もマダム同様変な発言をしている事を自覚した方が宜しいかと思われます」
それは否定出来ないな、と笑うマエストロ。そんなくだらない会話をしている二人を後方から眺めつつ仕事をこなしているユメ先生とその当番のホシノ。とはいえ「また変な事言ってる」程度にしか考えてはいない。
「ホシノちゃん、男って若い女の子にしか興味がないんだね。あれだけ私が好きだって花束をくれた旦那も若い子に夢中になってるみたい」
「あれはユメ先輩依存症なので仕方がないですよ。それはそれとして浮気な気もしますが」
「黒服はどうなの? 一年生ホシノちゃんの方が良い、とか変な事を言ってない?」
「そんな事は言ってませんがロリコンではなくホシコン! と酔っ払っていた時は言ってました」
「ロリコンなのは事実だし受け入れて貰うしかないね。だって良い大人が女子高生、未成年に手を出したんだから。結婚式までやってるんだし……」
「変なプライドがあるんでしょう。……まあ、原因を作ったのは私なんですけど」
「どうしても振り向いてくれないから潜在意識に潜り込んでホシノちゃんLOVEのロリコンに仕立て上げたんだっけ……凄い事をやるよね。恋する乙女の力は計り知れないね」
「そうなんですかね……あ、先生達がこちらに近づいてきますよ」
「本当だ」
「ホシノ、そしてマエストロの妻であるユメ。お二人に頼みたい事があるのです」
「何?」
「ババアを駆除してくれ」
「ごめん、ヒナを相手にするの嫌だから断るね」
「私も。シャーレの仕事で手一杯だからごめんね」
「そうですか。仕方ありませんね……」
「我々二人だけでババアを処分しに行くか」
「戦争の火種を作らないで?」
「「先に仕掛けてきたのはあっちなので」」
「後でヒナに説教してもらうからそれで落ち着いて? それにどうして急にそんな物騒な事を言い始めたの?」
「この動画を」
「え? ……あー……」
「これは死刑かなぁ……」
結構この後シャーレの権限を利用してババアにNTR風の動画を送りつけた事に対する処罰を下したとか。
説教へのカウントダウン