「"黒服が言ってた住所に来てみたけど……ここどう見てもヒナの家なんだけど。表札に空崎って書いてあるし。……もしヒナがベアトリーチェに懐いていたら最悪だなぁ……この世で一番見たくない光景かもしれない……"」
然しこういう時の嫌な予感とは的中してしまうもの。インターホンを押して出てきたヒナの後ろにはクソでか赤おばさんが嫌でも視界に入ってきた。
「……何の用?」
「"あっヒナ。こんな時間にごめんね。その……ベアトリーチェ居る? ちょっと話したい事があって……"」
「………」
視界に入っているから居るのは分かっている。それでも聞いておかなければいけなかった。
「居るけど」
「"そっか。じゃあ……"」
「でも駄目。これから私と※※※※して※※※※※※するからあなたと話させる必要はないの」
「"あー……そっか、ありがとう。失礼するね"」
ーーー
一旦近くにあった小洒落たバーに入って炭酸水を注文して口に含んで一息ついた後に先生は現状を店長にぶちまけていた。
「"ここのゲマトリアは何なの!? 黒服もベアトリーチェもどうして生徒にベタベタなの!? まるでロリコンだよ!! 絶対に洗脳みたいな事をして懐かせているに違いないね!! ほんと悪い大人だよね!!"」
「ああ……」
「"私はただ生徒に手を出して平然と過ごしている赤いおばさんと話そうとしただけなのにこっちの方がおかしいみたいな反応しか返って来ないんだよ!? 理不尽にも程があるよね!!"」
「その通りだな」
「"あーなんだかむしゃくしゃしてきた!! マスターお酒ちょうだい!!"」
「やめておけ。先生なら明日も仕事があるんだろう? ほら、クラフトコーラで我慢しておけ。久しぶりに出会った記念にサービスしてやるから」
「"……? 久しぶりに会った……うわぁ頭が二つある!? マエストロまで平然と街に溶け込んでるんじゃないよ!?"」
「趣味の一つだ、文句は言わせんぞ。然し何故此処に来ているんだ? 先程赤いおばさん云々言っていたので予想はついているが」
「"あのおばさんが私の生徒に手を出したんだよ……酷いよね、NTR行為だよ? ……あ、NTRと言えば最近百鬼夜行の生徒が「あんたの知り合いにマエストロ先生が居るんだよね? 紹介してくれる?」ってずっとシャーレに居座ってくるんだよ。君何かした? したよね?"」
「それは知らん、本当に知らん。確かに助けた記憶はある。だがそれだけであんなに好感度が上がるだなんて誰が想像出来る? むしろ迷惑なレベルなんだ、そっちでどうにかしてくれ。先生の生徒なんだろう?」
「"何度か説得は試みてるんだけど話が噛み合わなくてさ……もし君に被害が遭ったらごめんね"」
「ごめんで済まない問題なのだが? まさかとは思うがその不安因子を連れてきていないだろうな?」
「"ま、まあ……多分大丈夫。……ねえマエストロ、ベアトリーチェと話がしたいんだけど……"」
「今日は無理だろう、ヒナと※※※※するとヒナ越しに伝えてきたからな。明日の朝には話せる場を用意してやるから仕事に支障がないなら泊まっていくといい」
「"嬉しいけど優しいゲマトリアってだけで怖くなってる……泊めてくれるのはありがたいんだけどね"」
「本来優しいゲマトリアなんて存在しないからな。その反応が普通なんだろう。……まあ、色々精神的に疲れているだろうし早めに休むといい」
「"ありがとう"」
ーーー
「"今思ったけどこうやって優しくされていく内に生徒達が懐柔されて行ったんじゃないかなって考え始めたよ。それなら洗脳された訳ではないんじゃ……いやゲマトリアだしベアトリーチェの事だから洗脳してる筈。明日真偽を確かめないと……あとホシノに対してやった事を謝罪してもらわないとね"」
そういえばこっちにもシャーレはあるよね。ベアトリーチェに謝罪して貰ったら寄ってみようかな。
時に人は分かり合えない存在と出会います
シャーレの先生とベアトリーチェのように