ミレニアム近辺にある綺麗な花が飾ってある喫茶店。そこでベアトリーチェと話せる場をマエストロが用意してくれたみたい。こんな雰囲気が良い店にベアトリーチェなんて異物が混ざるのが嫌だなぁ……
「先生がバ……マダムを嫌う理由は何となく理解してはいるが此処はマダムの娘が店長だぞ」
「"ごめんちょっと何言ってるか分からない"」
「正確にはマダムが育てたアリウス生だな。彼女達はそれぞれやりたい仕事を見つけて日々努力をしている。恐らく先生も知っている生徒だとは思うが……此処の店長はアツコだ」
「"アツコが? だからこんなに店内に花が飾ってあるんだね。折角だしベアトリーチェが来るまでにこっちで起きた事とか色々聞いてもいいかな?"」
「良いぞ」
ー偏った知識を共有中ー
「ホシノがバツイチでアリスとケイがホシノの娘? マエストロの娘の名前はアロナ? 今のシャーレは君の嫁が先生? 私を揶揄うのも大概にして欲しいんだけど"」
「後でシャーレに行けば分かるだろう。ほら、私の妻がシャーレの制服を着ている姿と娘の制服姿の写真だ」
「"君の妻……あっこの子ホシノの先輩とか言って最近アビドスに来た子だ!! ……で、このミレニアムの服を着ているプラナは何?"」
「アロナだが」
「"プラナじゃん"」
「プラナとはなんだ? 変な単語を生みだすな」
「"単語というか名前だよ。ほら、私のシッテムの箱にはアロナと元アロナの二人が居るんだから"」
「平然とシッテムの箱を他人に見せるな。もし私がシッテムの箱を悪用しようと考えていたらどうする?」
「"こっちのマエストロなら悪用しないと思ったから良いんだよ"」
「あまり私達を信用しない方がいい。私の手にかかればその二人をシッテムの箱から外に実体化させる事だって可能なんだぞ」
「"ゲマトリア怖。でもやってる事は怖くない"」
「……お、そんなくだらない話をしている間に先生が待ち望んでいた相手が来たぞ」
「"本当に来るんだ……"」
マエストロが指し示した方向には確かに見たくもないベアトリーチェの姿が確認出来た。顔は何だかおだかやそう? ではあるものの隣のヒナがとんでもない威圧感を放っているので思わず身構えてしまう。
「待ち合わせ場所にここを選ぶセンス、素晴らしいですね。貴方の芸術センスも段々と理解出来てきましたよ」
「あまり分かり合いたくはな……いや、マダムに理解して頂けるのは光栄な事だ。今後とも良い関係を築いていこう。……いいか先生よ、くれぐれもヒナの前でババアを悪く言うのはやめておけ。先生の知るヒナの数倍は強いからな。命が幾つあっても足りん」
「"何それ怖い……分かった、気をつけるよ"」
「おや、そちらの方が先程もヒナ経由のモモトークで聞いた出禁の先生ですか。初めまして、ですかね。お会いできて光栄です」
「"あっうん。こちらこそ……? 出禁って一体……"」
「そちらに居たマダムの行いがあまりにも酷く一部の生徒と接触したら殺される可能性が非常に高いので出禁という形で介入出来ないようにしていた。最近どうやったのかは不明だが出禁ではなくなっているようだ」
「裏道ですよ裏道。それでわざわざ先生が訪ねてくるとは重要な話題なのでしょうね」
「"かなり重要な事だよ"」
「……生徒に関わる問題でしょうか?」
「"うん"」
「詳しく聞きましょう」
「("この赤おばさん急に真面目っぽくなったんだけど……まあいいや")"ホシノに手を出した件についてどう思っているのか聞いてもいいかな?"」
「ホシノに? 嗚呼、あれはまさに至福の時間でした。ホシヒナを同時に味わえる事、そしてそこにホシノの先輩であるユメも加わり4人で朝まで気持ちよくなれたあの感覚は忘れ難き甘美なる……」
「"うんもういいよ。やっぱりベアトリーチェとは分かり合えそうにないや。そもそも先生でありながら生徒に手を出している時点で分かり合える気はしなかったんだけどね。一時の過ちならまだいいとしても反省すらしていないのはちょっと"」
「反省? 何を反省すれば良いのですか? 私はただホシノに要求された願いを叶える代わりにと必要な対価を払って頂いたに過ぎません。それに途中からはホシノ自ら求め始めたのであれは純愛なんですよ」
「"襲ってる時点で純愛も何もないでしょ。マエストロ、こいつをまた出禁にしておいて"」
「すまないそれは無理だ」
「"どうして?"」
「ヒナに消し炭にされるからだ」
「"ヒナがそんな事をする訳ないよ"」
「するけど」
「"えっ"」
「限度はあるけど好きな人の願いは叶えてあげたいよね。だからもう出禁なんてさせない、もし出禁にするのなら私を倒してからにして」
「仮にヒナを倒そうものならゲヘナ総出の報復もありますよ。故に先生の要求は通りません。残念でした」
「まあでもアビドスに手を出すのは辞めるようにする。あっちのホシノにも幸せになってもらいたいから。そこは安心して欲しい」
「"ありがとう。でも出来ればアビドス以外の子にも手を出さないようにして欲しいかな……"」
「それは無理ですね。まだまだ手を出したい、もとい幸福にするべき生徒は大量に居るのです。普段仕事しかしていない先生に代わって私がその役割を果たしてあげようと思います」
「"どうせなら仕事の方を代わって欲しいな"」
「それはちょっと……だってシャーレの仕事は異常な量があるではありませんか。お肌の敵です」
「"えっその歳で肌を気にしてるの?"」
…………
「ヒナ」
「うん」
「死刑執行」
「分かった」
この後決死の土下座をしてどうにか命だけは助かった。先生はこっちに来た事を後悔したそう……とりあえずベアトリーチェテラー(仮)との話も終わったので帰ろうとするも興味本位でシャーレに寄ってみる事にした。部屋の外から覗くとそこには最近よく見る大きいアホ毛の女の子とお時間頂けませんかでお馴染みのミレニアム生が居た。
その子が獲物を捉えたかのような目でこちらを見ていた。