例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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欲望に塗れた芸術家、勝手に絶望する。そして禁忌#2

私は知っている。アリスは廃墟の奥地で眠っている事を。故にヒナとフウカに差をつけ無事にアリスの元へと近づいている。イオリと一緒に。

 

「ね、ねえマエストロ先生。脚を舐めるにしてもこんな人気のないところに来る必要はないと思うけど」

 

この子は何を言っているんだ? 何故私は脚を舐める事を前提として行動していると思われているのだろうか?

 

「別に舐めるつもりはないぞ」

 

「そ、そっか……」

 

何故寂しそうにする? 舐められたいのか? さてはマダムの影響で変な教育を受けて……いや、シャーレの先生もイオリの脚を舐めている以上誰が担当しても変わらないのかもしれない。まあいい、脚を舐める云々はともかく普段ババアの息が掛かってまともに会話すら出来ない生徒である以上仮想空間内だけでも交流を深めておこう。現実には大した影響がないだろうしな。

 

『え、当番の子はここの記憶引き継いで現実に戻しますよ? 当番ですし』

 

馬鹿か? 馬鹿だよな? 私はずっと既婚者だと言っているよな? 現実に戻ってイオリに詰め寄られている状況をユメに見られたらまた家族会議が始まってしまうだろう。

 

『マエストロ先生が望むなら記憶の引き継ぎは無しにする事も検討しておきますね』

 

そうしてくれ……

 

「マエストロ先生、急に立ち止まってどうしたの?」

 

「ん? ああ、特に何も……強いて言うならイオリの尻尾は芸術だと見惚れていた」

 

「は、はぁ!? 見るなバカ! 変態!」

 

よし、これで誤魔化せただろう。好感度が上がっている事を除けば問題はないな。とにかくアリスの親にならねばならないんだ。黒服を見ていて思ったんだ。私も娘から『パパ』と呼ばれたい。そんな欲望があっても良いじゃないか。家庭を持ちアロナからお父さんと呼ばれ始めてからずっとそういう欲を持ち始めてしまった。今こそその欲を満たす時! 

 

「さあアリスよ、父が来たぞぉ!! ……あ?」

 

マエストロがアリスの元へ辿り着いた際に変な声を出した。地味に苦労して到着したそこに眠る王女は居なかったのだから。

 

「(馬鹿な……先を越されたとでも言うのか? そんな馬鹿な……アリスにパパと呼ばれる私の計画が……)」

 

彼は絶望した。自分が一番にアリスの元へ辿り着いたと思っていたのに既に誰かの手に囚われていた事に。何より自らの欲を満たさない事に。

 

ーーー

 

黒服達がミレニアムに到着した時点で既にお通夜レベルで暗い雰囲気が漂っているヒナとマエストロが居た。何故か褐色のゲヘナ生が彼に付き添って慰めようとしているが恐らくアリスの保護に失敗したのだろう。

 

「ん、可哀想」

 

「同情するだけ無駄です。アリスは小鳥遊の名が似合う子ですので」

 

「それにまだ嫁に出す気はないよ」

 

親バカが極まる黒ホシと黄金色のロボットを探し始めるシロコ。このまま二部の再来になったら土下座してもらいますよ腹部抑えミス女。

 

「それよりも何故黒服達はそんなに落ち着いているのだ? 言ってしまえばアリスがNTRれる可能性があるのだぞ?」

 

「それはそうですが紫の封筒があるので。ホシノ、ヒナと続けば次に当番になる生徒も予想が付くというもの」

 

「つまりこの中の書類に書かれているのは『私達の娘』であるアリスちゃんの名前って事なんだ。だから最悪誰かの手に渡っちゃっても一瞬で取り返せるの」

 

「……それは中身を拝見したのか? 本当にその中にアリスと書かれていると言えるのだろうか?」

 

「法則性に基づけば容易に予想が出来ます。それならばここで開封して私とホシノが出した結論の答え合わせをお披露目しようではありませんか」

 

意気揚々と紫色の封筒にサインを行い開封し中の書類を取り出して名前を確認する。予想通り『小鳥遊』と書かれており勝利を確信するもそれに続く部分にはツキ……と書かれており隠滅の為に書類を手の中で潰して丸めた。

 

「ど、どうした黒服? まさかアリス以外の名前が書いてあったのか? それならばまだ可能性は……」

 

「いえ、一応『小鳥遊』という苗字が書かれている事は確認しました。ただ……そうですね。一度問い合わせてみますね」

 

さて、これはどういう状況なのでしょうか? これに関して私が納得する理由を仰って頂かなければ。

 

『私から言える事はただ一つ、アンケートは絶対なんです。それに娘という意味では間違っていないと思うので問題はないかと』

 

大アリですが? 問題だらけのクソ欠陥ですよ? 名前とその言い回しから推察するにさっきの書類に書かれていたのはホシノの……

 

『アンケートは絶対なのでラインナップに入れておきました。まさか引くとは思いませんでしたが! では今から彼女をそちらに送る準備をしますのでお待ちして頂ければ……』

 

交換してください。いくら仮想空間とはいえ限度があると思います。他の生徒と切り替えなさい

 

『ですが混沌とさせるなら彼女が適任かと……』

 

貴女先生試験をやるとか言っておきながら自ら壊そうとしてませんか? ホシノとヒナのタッグを組ませたりこの子の事といい……滅茶苦茶ですよ? それに今更オリジナルキャラを導入するなんて頭おかしいのですか?

 

『既にこのゲマトリアがオリキャラみたいと評価されている以上気にするだけ無駄だと思います。……ではこうしましょう、アンケートで呼ぶか呼ばないかを白黒はっきりつける。これならば文句を言われる筋合いはないと思います!』

 

少なくとも私とホシノとマエストロは貴女に不満が生まれておりますが

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