例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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アビドスのメインストーリーを見て私はこう思いました

どうしてホシノを好んでしまったのかと


私のミスはアンケートの選択欄にふざけて娘と入れてしまった事

くしゃくしゃにした封筒が自我を持ったかのように動き始める。中身を見ろと言わんばかりに黒服の手元で奇妙なアピールをしているそれに対して躊躇った後、渋々中身を取り出して記載されている名前を直視する。

 

『小鳥遊ツキノ』

 

確かにそう書かれてしまっているそれを見てため息をついた。これについては明らかにふざけている。『二部の再来』と言わんばかりに気が狂った人選だ。調月フウカは前座だと言わんばかりの存在感を放つ名前。そもそもツキノとは誰ですか? 別の可能性の中で生まれたアナザーホシノ的な存在なのでしょうか?

 

『いえ黒服先生とホシノさんの娘です』

 

あり得ない起こりえない。ゲマトリアとキヴォトス人で子供を授かれる筈がない。仮に可能だったとしてもそんな最悪のネタバレをくらうなんて最悪でしかない。子供の成長した姿を見てしまうのは人生における楽しみの大半を奪われてしまうのと同義なのですよ?

 

『ふざけて娘なんて項目を追加した私のミスでした』

 

貴女はずっとミスしかしていないのですよ? ドジっ子属性だとしてもすべての行動が裏目に出るとかただの嫌がらせでしかないのですが?

 

『五月蠅いですねハルナさんぶつけますよ?』

 

生徒を脅しに使わないでください。ハルナが来るのは困りますがそういう風に使われるのは可哀そうです。

 

「先生先生」

 

「どうしました?」

 

「あの子……こっち見てるよ?」

 

「………」

 

ハルナ云々の話をしている間に呼び出されている……? いえ、まだそうと決まったわけではありません。確かに雰囲気はホシノに似ていますが髪色が灰色。桃色の美しい神秘的な髪を靡かせられるホシノとはかかわりがない可能性が僅かにあり……

 

「お父さん?」

 

ませんでした。残念な事に彼女の口から発せられた四文字の言葉は私の現実逃避への道を完全に断ちました。こちらを父だと言い近寄ってくる彼女に対してどの様な対応をすれば良いのか思考を巡らせている最中に片腕に抱き着かれた。不思議と心が落ち着いてくる感覚に陥るが殺意1000%のホシノが視界の端に見えたのでとりあえず離れてもらいましたよ。

 

「それで何で私は呼ばれたの?」

 

こちらが聞きたいです。出会う筈のない、出会ってはいけない存在との邂逅だなんて興味深くはあるのですが……どうしろと? いきなり16歳程度の娘と会って何をしろと? 向こうは記憶がありそうですがこちらはないのですよ? 彼女が普段何をして何を思って行動しているのかが何も理解出来ていないのです。いくら更新されたアビドスのメインストーリーを読んで多少やるせない感情になったとしても『じゃあ娘出すかぁ……』とはならないと思うのですが? 色々な意味で心を打ち砕かれたとか下手な言い訳は許しませんよ?

 

「あ、お母さんも居る。なんで制服着てるの? もしかして外でそういうプレイとかしてる感じ? いつも言ってるけど変な目で見られるのは私なんだから控えてよ」

 

「プレイって何?」

 

「……なんで私に向けて銃を構えてるの? 昨日勝手にお母さんのプリン食べた事怒ってるの?」

 

「えっ何その存在しない記憶……」

 

ホシノが混乱するのも仕方がない。目の前に居るのはテラーとかそういう概念では言い表せない異常の存在なのだから。『unknown』という響きが似合う。

 

「然し良いのでしょうか? 仮想空間だからとはいえこんな混沌としてしまうと広げた風呂敷を畳むのが困難を極めてしまうと思いますが」

 

『これが昨日風を引いて呼吸困難になってる中アビドスのメインストーリーを読んでしまった青空白髪先生の限界でしょうね』

 

またメタ発言を……まあいいです。これ以上話が進行しないのも困りますのでここは私が先導しなければなりませんね……冷静になるのです黒服。

 

「皆様それぞれ思うところもあるとは思いますが……一度冷静になって今やるべきことを見定めましょう。現時点で私たちが抱えている問題……それが何か分かりますか、マエストロ」

 

「私の嫁であるユメがこの場に居ない事」

 

「違うとも言い切れないのですが正しくは『アリスが失踪している』事が問題です」

 

混沌とした雰囲気のせいで現在『第二章』のミレニアム編という事実を蔑ろにしてしまっている。それにアリスの失踪はクリア条件としても小鳥遊家としても困る。リオは……まあ、マエストロに任せましょう。

 

「アリス義理姉さんが失踪? 大変じゃん! これはアオハル部部長として見逃せないね! さあお母さん、探しにいくよ!」

 

「えっいや私は先生と一緒にさが……」

 

ホシノの言葉は彼女には届かず手を勝手に握られそのまま暴走機関車のように小鳥遊親子? はミレニアムを爆走し始めた。あの性格は私とホシノ、どちらとも似付かない振る舞いですね。やはりこの仮想空間限定の存在故に解像度が低いのでしょう。

 

「……で、私とヒナは何をすれば良いんだ?」

 

「……とりあえずリオに挨拶でもしましょう」

 

もうなるようになればいい。これ以上の責任は負えない……




ちなみに別の禁忌を選んだ場合

アビドスに留まらなかった世界線のユメ(テラー)さんを呼ぶつもりでした。当然マエストロと面識がないので彼は体育座りで絶望します
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