「"シロコ、シロコと一緒にホシノを迎撃して!"」
「「「「「ん」」」」」
「"ああ、そっちのシロコはヒナの方!"」
「「「「「ん」」」」」
「……何あれ」
「同じシロコですからね。あの指示の出し方ではクソ翻訳のシロコを除いてあんな風に反応するのは仕方ないと思います」
実際私もホシノが6人居たら指示に困……いえ、そうでもないですね。私を好むホシノなんて今目の前に居るこの子しか居ないと思いますし。
「"うーん……やっぱり戦闘はやめよう。呼んだところ悪いけど指示しにくいし……ごめん黒服、交渉してくるからちょっと待ってて。その間はシロコ達の面倒をみておいて"」
「は、はあ……」
あれだけ意気込んでいた先生は結局戦いを諦めて別のやり方を模索しようとしたらしい。こちらとしても有難い話ではあるものの……それで元連邦生徒会長が納得するのでしょうか?
「「「「「ん」」」」」
「先生、考え事をしているところ悪いんだけど……シロコちゃん達が自由に歩き回っちゃって手がつけられないよ」
「放っておきなさい」
私にとって砂狼シロコという存在は疫病神に等しい。そんな彼女を六人? まとめて面倒を見ろだなんてとんでもない。その辺りはマダム達に任せますよ。なので此処はおとなしく椅子にでも座って待っていますよ。例え黄金のロボットを操縦していようともリオが自転車で轢かれていようとも見てみぬふりをします。
「"お待たせ、話がついてき……何この状況。よく数分でここまでカオスに出来るね"」
「それが砂狼シロコという存在ですからね。それで話はどの様に纏まったのですか?」
「"それがね……やっぱり結構ゴネてきたんだよ。ラスボスなのに銃撃戦をやらないのはインパクトがないとかたかが二人の幼児体型にビビりすぎだとか大人らしくないとか文句を言うなら青9金1にするぞーとか……"」
「……だいぶ馬鹿らしいゴネ方ですね」
「"黒服もそう思うよね? それで全然埒があかないからさ……連れてきたんだ、連邦生徒会長"」
「……はあ?」
「ど、どうも……」
確かに先生の言うとおり後ろには脇腹だけ焦茶色に染まっている連邦生徒会の服を着た生徒がいる。つまり先生は元凶を連れてきた、という事になる。
「"子供が責任を負う必要はないって考えは変わらないんだけどさ、流石に度が過ぎてるのはちょっとどうしようもないよね。それに仮想空間らしいし色々そっちにも迷惑をかけたみたいだからこの子を私の代わりにラスボスとして扱って欲しいな"」
「えっそれは困ります!? この試験のラスボスは先生なんですからシロコさん共々彼らに負けてくださいよ!?」
「"私の境遇を知った上でそれを言ってくるのは中々に酷いよ!?"」
元連邦生徒会長と先生はこちらを無視して急に言い争いを始めてしまった。呆れつつもホシノが「今連れてこられたあの人は誰?」と聞いてきたのでとりあえず「全ての元凶です」と言っておいた。
「全ての元凶? つまりこんな試験としての程をなしてないものを先生達にやらせているのもあの人なの?」
「はい」
「ベアカスが現れたのもあの子のせいですね」
「ふぅん……」
ーー空気が変わった。先程まで面倒そうに銃を構えていたホシノとヒナは倒すべき悪を見つけてしまいとても真剣な表情に変わっている。そしてゆっくりと近づいていっている。
「ホシノ、あまり手荒すぎるのは……」
「大丈夫大丈夫、ちょっと『お話』するだけだから」
「それにそう簡単にヘイローって壊れないのよ?」
「……そうですか」
まあ……この二人を止める必要もないので元連邦生徒会長には今までふざけ倒して頂いた分を苦しんでもらいましょうか。
「大体大人なんですから私の代わりに責任をとってくださいよ!? 確かに報告も連絡もしなかった私にも多少の責任はあると思いますが……ってホシノさん? ヒナさん? どうして私の元へ近づいてきているのですか? あ、そうですよね。先生がラスボスなので倒すためには近づかないといけませんよね。それでは私はこの辺りでお暇させて頂きますので後はご自由に……」
「いやぁ〜冗談キツいなぁ。……責任を取るまで帰さないよ?」
「貴女のせいで碌でもない事になったのよ? 絶対に許さない」
「ヒェ……」
この後数秒でラスボス(仮)の討伐が終わり無事に試験はクリアしたのだとか。皆様もホシノとヒナを同時に怒らせないようにしましょうね。