ノアを出したかったのでそれっぽいことを言わせてみました。
その結果変な展開になりました。完
混沌としている中朝を迎えてしまいヒナが起きた。寝ぼけ眼でこちらを捉えるや否や即座に抱き着いて頬ずりをしてくる。若干角が刺さって痛みが生じているがそれ以上に気になる事が多すぎてそこまで意識が回らなかった。
「ヒナ…ですよね?」
「ん…?そうだよ…」
上手く頭が回っていないのか返答は可愛らしい。…何故そのような感情を抱いているのか?それも些か疑問ではあるが一先ず現状の把握をする為にもヒナに色々と聞かなければ。
「寝起きでこんな事を聞くのはどうかと思いますが…ヒナの好きな人はどなたですか?」
「ふぁーざーだよ」
「そのファーザーというのは…」
「あーなーたー」
…?つまりそういう事らしい。ドッキリでもされているのかと思う程急展開すぎて思考が追い付かない。言葉にするのであれば『私がホシノではなくヒナと接触した世界線に来てしまった』という事だろう。…何故?ホシノの教育実習を行う筈がどうしてこんな目に…
「…大丈夫? なんだか顔色が悪そう…それはいつもか…」
「酷い言い草ですね。間違ってはいませんが」
「膝枕してあげる。こっちにおいで」
「いえ、結構です」
「…うぅ…」
「……」
謎の圧力に負けてヒナの膝に頭を載せる事になった。私の知るヒナはここまで泣き虫ではなかった筈…何故? それとも生真面目な彼女の姿しか見ていなかっただけで本来のヒナは脆弱なのか? 結局考察した所で答えは出なかった為満足するまで膝枕をされる事になった。開放された後もヒナはついてくる。
「なんか今日のファーザー、いつもと雰囲気違うね。…もしかして私に飽きちゃった…?」
「少々思考を巡らせていただけですよ」
「そう…? 私の事嫌ってない…?」
「勿論。貴女は(ホシノの友人として)大切な存在ですから」
「ファーザー好き…♡」
また頭を擦り付けてくる。先程と同様にまた角が刺さり更に傷口を抉るような動作をしてくる。もしやマダムはいつもこの悪意0%の攻撃をされていたのか? 彼女の耐久力は凄まじい…なんてくだらない考えはいいとして…今後どうするかを考えなければ。まずはホシノやアリス達がどうなっているのか、アビドスの現状について把握しなければ。その為にはこのひっつき虫と化したヒナを引き剥がさなければ。
「ヒナ、本日は用事があるので私はそろそろ…」
「今日は風紀委員の仕事の日よ? あと離れる事は許さないわ」
嗚呼、何故キヴォトス人とは拘束力が高いのか。ホシノもそうだが何故ここまで依存してしまうのか、これが理解し難い。致し方ないのでヒナの身支度を整えてから委員会の部屋に向かう事にした。途中着替えを手伝わされたり行く前のキスを要求されたりしたが割愛する。
すれ違う生徒達にファーザーと連呼されて困惑したり見知らぬ金髪の幼女に「パパ〜♪」と抱きつかれたり見知った銀髪に絡まれたりしたがどうにか到着した。他の部員は来ていないようで部屋の中はとても静かだ。
「じゃあ仕事を始めよう。ほら、椅子に座って」
「分かりました」
見るからに風紀委員長が座りそうな椅子に座るとヒナはさも当然のように膝の上に座ってきた。平然と書類整理を始めている辺りきっと突っ込んではいけないのだろう。
「いつも通り私が書類を読み上げるから承認するかしないか教えてね」
「はい」
「『ヒナ委員長を独占する権利』…これは破棄しておくわね」
「ええ」
「『先生とデートをする権利』…これも破棄するわね」
「…はい」
「『先生を美食の道に導』これは破くわね」
書類が破れる音が耳に響く中自分の存在意義について考えていた。マダム曰く『元々ヒナは仕事が出来すぎて可愛い、けど休ませたいので時々襲うんですよね。そうやって疲れさせないと頑張りすぎちゃう子ですからね。まあ、頑張る姿を見せたいって張り切るヒナの姿はとても愛おしいので構いませんがそれはそれとして徹夜とかはさせたくないですよね』とマシンガントークをされた記憶がある。このまましれっと離れていてもヒナは仕事をするだろう。然し羽と尻で拘束されている為彼女の仕事に付き合うしかない。
「『イブキ、先生とお絵描きしたい!』…これは良いんじゃないかしら」
「イブキとは?」
「さっき抱きついてきた金髪の子だけど…もしかして生徒の事を覚えてないの?」
「熱中症で記憶障害が起きているのかもしれません」
「猛暑なのに黒いスーツを着ているからよ。カッコいいから私としては歓迎なのだけど…ちょっと待っててね、今飲み物を用意するから」
心配してくれたヒナが膝から降りて教室から出ていった。…これはこの世界の事を調べる好機なのでは? 彼女の好意を無下にするのは少々心が痛むが致し方ない。立ち上がってヒナが出て行ったのとは逆の方向に向かおうとしたが突然右足に何かが抱きついてきた。先程話題になったイブキという幼女だ。
「えへへ、パパに着いてきちゃった〜♪」
…嗚呼、成程。この幼女は所謂『アリス枠』という事か。ホシノとアリス、ケイと不本意ながら家庭を築いてしまったのと同様にこの場ではヒナとイブキで家庭を築いているのだろうか? だとすれば彼女はアリス同様アンドロイドなのだろうか? 神秘はそこまで大きくはないものの別人格等があれば話は変わってくるだろう。まあ、そう仮定しても彼女に対して何かする必要はないと思いその場を立ち去ろうとした。
「パパ…いっちゃうの…?」
「…」
流石にあそこまで純粋な瞳で見られたら断りきれずヒナが戻ってくるのをイブキと遊んで待つ事にした。ゲヘナとは恐ろしい場所だ。
イブキとは? となった方もいらっしゃるかと思いますので軽く解説をします。
万魔殿、ゲヘナ学園の生徒会みたいな立ち位置の組織に所属している11歳の幼女です。誰もが甘やかしたくなる天真爛漫な女の子でとあるSNSには自身の家族構成にイブキを交えてしまう等その秘めた魔力に取り憑かれた先生も結構います