例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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ん、私が全部やった。メインヒロインだもの

「ん、それで皆と話が噛み合わなかったんだ。砂狼ランドは作れたからいいけど」

 

「それは何よりで…とにかく私を元の場所に戻して頂けませんか?」

 

正直シロコに頼らずとも理論さえ理解してしまえば元の場所に戻るのは可能だろう。但し時間がかかる為ホシノに余計な心配をかけてしまう。ただでさえ寂しがり屋のホシノを放置し続けてまたテラー化やら暴走やらしたら悲惨になる。また一から積み上げるのも面倒だ。ならば苦肉の策にはなるもののシロコに頼る他内ない。

 

「ん、無理」

 

「???」

 

「銀行に突っ込んだら爆発して壊れた」

 

「であれば私が修理してまた使えるように…」

 

「どうせ壊れたものだし使えそうな部品はブラックマーケットに売った」

 

「????????????」

 

なんだこの生物は。これでメインヒロインを名乗っているのはイカれているのでは? …よし、一度冷静になろう。落ち着いて思考を巡らせたら容易に答えが見つかる筈。そう、最終決戦のような装置はもう一つある。言葉にするとややこしくはなるものの

 

シロコが壊して部品を売り払ったのが『私が本来いる筈の世界線にあった装置』であり

未だ発掘されずまだ壊れていない『この世界線にある装置』はある。

 

そうと決まればこんな砂祭りを勝手に名乗っている馬鹿げたレジャー施設に居る必要はない。踵を返して砂漠を探索しホシノの元へ向かわなければ。

 

「ところでさ」

 

「はい」

 

「…あ、そうだ。この砂狼ランドに今他学園の生徒がちょくちょく来てるから気を付けてね」

 

「何をどう気を付けろと?」

 

「貞操」

 

…一刻も早く戻らなければ。

 

「…あ、黒服にもう一台あったやつも既に分解して別のものにしたの伝え忘れた。まあいいや黒服だし」

 

 

 

 

「あっファーザー! こんにちは!」

 

「ファーザー! 今日もスーツが似合ってますね!」

 

「ファーザー! 頭を撫でてください!」

 

…歩いているだけでゲヘナ生に声を掛けられる。その度に軽く挨拶をして先に進もうとするが…数が多すぎる。アビドスの比ではない程の生徒数なので見知らぬ顔の生徒にすら声を掛けられる始末だ。こんなにも大量にいる生徒の顔と名前を憶えられているマダムは正気ではないのかもしれない。…むしろ先生たるもの全学園の生徒の名前と顔は覚えているのが基本中の基本なのか? 仮にそうだとしても私はアビドスと今後世話になるであろう百鬼夜行の生徒さえ認識していれば良いだろう。

 

「パパだの何の言われてて先生も大変だね~」

 

「ええ、本当に困ります」

 

「ね~」

 

……?

 

「…ホシノ?」

 

「うん、ホシノだよ」

 

あまりにも急展開過ぎて色々と思考が追い付かない。そうだ、このホシノがまだ私の知るホシノとは限らない。元々この世界線に存在するホシノかもしれない。ここは冷静に対処をしなければ。

 

「本当にホシノなのですか?」

 

「うん、そうだよ」

 

「アリスとケイは元気でしたか?」

 

「うん、二人とも元気に過ごしてるよ」

 

間違いない、どういう理由かホシノもこの世界線に来てしまったようだ。それでもホシノに出会えたのは幸運と言ってもいいで…?

 

「ホシノ? 急に震えてどうしました?」

 

「先生、いや黒服」

 

突然の呼び捨てに多少身構えてしまう。目の前にいるホシノ? は奇妙な笑顔を浮かべながら顔の右側付近、もみあげ部分を掴んでそのまま顔の皮を引き剥がした。

 

「ホシノかと思いましたか~www 残念私でーすwww」

 

「…」

 

「…黒服? 何でしょうかその見るからに命の危険がありそうなが入ってそうな拳銃は? ほんの軽いジョークのつもりだったんですよ? ほら、ここは私の母性に免じてその拳銃をしまってもらイタァイ!!」

 

 

私がホシノだと認識しかけたそれは趣味の悪いおばさんが若作りしていただけであった。思わず解釈不一致の舌打ちをしてしまいそうになる程怒りに支配されかけた。ただでさえトラブルが起きているのにトラブルメーカーが現れるのはどういう嫌がらせなのだろうか。

 

「全く…いきなり発砲するだなんて非常識にもHODがありますよ! 色々あって身体が強くなっていなければ出血多量で貧血に陥って死にかけている所でしたよ!」

 

「余計なドッキリさえ仕掛けなければ発砲する必要はなかったのですがね」

 

「仕方ないじゃないですか、からかいたくなってしまったのですから」

 

今日は悉くついていない日になりそうだ。おばさん《これ》やシロコ(こんなの)にしか知り合いに出会えていないのだから。マエストロや他の知り合いならともかくよりにもよってこの二人…私が何をしたというんだ。

 

「そうそう私がここに来た理由はホシノに貴方を探すよう頼まれたんですよ」

 

「ホシノが?」

 

「ええ。『私が探しに行く!』って暴れそうにはなっていたものの数時間説得して渋々了承させました。進路の話をしてどうにか納得させましたよ」

 

そういう事なら話は変わってくる。ホシノの為に行動してくれたのであれば毛嫌いする理由もない。

 

「そうですか。…ホシノに気を遣って頂けて感謝しますよ」

 

「黒服ちょろすぎておハーブ生えますね。とりあえずホシノの元へ帰れるように今から私が…!? あ、あれはヒナとイブキ!? うっひょう!!」

 

…見直した途端にまた幻滅する。マダムとはそういう人だ。一周回って癖になる性格ではあるのかもしれない(適当)

 

「ヒナは可愛いですねぇ。おや、おやおやおやおや。なんとプリティーなお面をつけているのでしょうか。それに普段の制服とは違う天使と見間違える程に輝いた夏の装い…実に素晴らしいですね!」

 

「ねーヒナ委員長、この人知ってる?」

 

「知らないおばさんね」

 

「」

 

突然のおばさん発言によりベア先生は60回転くらいしながら地面に突き刺さった。後日彼女は「昔至近距離でミカに半殺しされかけた時よりも痛かった」と語る

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