例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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二度と会いたくない大人

やけにふかふかなソファーに座って謎の飲み物に口を付ける。とても甘い100%果汁のジュースだった。問題の先生もイブキちゃんと遊びながらこちらを見て笑っている。ちょっと気持ち悪いと思ってしまうのはどうしてだろう…え、これ本当に素の姿? お酒を飲んでおかしくなってるとかじゃないの?

 

「そういえば…アビドスは今とても栄えていますね。今年の砂祭りも盛り上がっているようで何よりです。生徒達から楽しそうに過ごしている自撮りが送られてきているので感謝しております。特に水着で強調されたたわわの自撮りは捗るものがありますね」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「そうそう、百鬼夜行にも旅行に行っている生徒もいるようで。昨日ねぎま食べ放題に参加してきたと報告をしてくれたのです。実に面白い試みですよね。今度ゲヘナでも食べ放題イベントでもやりましょうかね」

 

「そ、それはいいと思いますよ…」

 

…やっぱり慣れない。中身ベアさんドッキリじゃないよね? だとしたら全力でぶん殴るけど。むしろそうあってほしいよ。先生からカッコよさを省いたらこうなっちゃうの?

 

「そういえば今日はヒナを見ていないのです。友人と出かけていると思っていましたが毎日モーニングコールをしてくれる彼女から昨日の時点で連絡が途絶えてしまいまして。何かご存じでしょうか?」

 

「ヒナならさっき風紀委員会室で見かけたよ」

 

「そうでしたか。無事でよかった…もう少ししたらキヴォトス中に包囲網を敷いて大捜索を開始するところでしたからね。ご協力感謝致します」

 

…ちょっとだけ慣れてきた気がする。先生じゃない何かと思えば結構スって受け入れられたかも。ごめんそれは嘘、こんなの受け入れられない。

 

ホシノさん、そろそろ戻ろう。結構時間経ってる

そうなの? ほんとだ、よく見たら2時間くらいここに居るんだ…

 

いつの間にか時間が経っていたみたい。そんなに話してない筈なのにおかしいな…まあいいや、そろそろ私の先生に会いたいし帰ろうかな。

 

「そろそろ戻ろうかな。今日はありがとう」

 

「おや、もう帰ってしまうのですか? 私としてはもう暫くお二人の身体を見ていた…ではなくどうやって手を出そうか考えていたいのですが」

 

「それは無理かな。私もう心に決めた人がいるからね」

 

「それは残念。外は暑いのでお気をつけてお帰りくださいね」

 

「うん。それじゃあね~」

 

委員会室の扉を閉めて数歩下がって一息ついた。

 

「悪夢だった…」

 

「あんまり一緒の時間は過ごしてないけど生徒に手を出すとか言い始める黒先は見たくなかったよ…」

 

「うん…でもイブキちゃんを知り合いに届けるミッションは達成したから…終わり良ければすべてよしって事にしよう」

 

「そうだね…そして黒先は浮気してなかったし疑っちゃった事にも申し訳ないな…帰ったらまた土下座するよ…」

 

「そこまでしなくても…」

 

「身勝手な正義を振りかざして暴力をふるったんだから筋は通さないと」

 

「土下座されても先生は困っちゃうんじゃないかな…」

 

どうしても土下座をしようとするアヤメちゃんを宥めて元の場所に戻ろうと黒い裂け目の場所に行くとマエさんがいた。こちらに気づくと頭を下げて会釈してくれた。

 

「マエさんもこっちに来てたんだね」

 

「その呼び方は…そうか、ホシノとアヤメも来たのか。黒服には会えたのか?」

 

「うん、会えたよ。気持ち悪い方にも」

 

「気持ち悪い方? ああ、こっちの黒服か。あいつがホシノにそう言われるなんて相当だな…」

 

「ベア先みたいな感じの黒先だったよ。マエ先も興味あったら見に行ってみて」

 

「勘弁してくれ…マダムみたいのが二人いるなんて想像したくもない」

 

そういう他愛のない話をしてからマエさんと別れてようやく百鬼夜行に戻ってこれた。数時間出かけただけなのに相当疲れたよ…

 

「お帰りなさいホシノ。アヤメもご苦労様でした」

 

クタクタになった私達を迎えてくれたのは怪我が完治していた先生。先程の悪夢を見たのもあって思わず助走をつけてから「せんせぃ!!」と抱き着いた。

 

「黒先!! 浮気野郎って罵ったり蹴り飛ばしてごめんなさい!!」

 

「二人共一体どうしたのですか? あと土下座は止めてください」

 

「良かった! この先生は気持ち悪い事を言わない!」

 

「き、気持ち悪い? 一体何を見てきたのですか?」

 

ああ、やっぱり落ち着く。ずっと先生に抱き着けてなかったからこの暖かさが身に染みるよぉ…はーもうほんと好き、大好き。このままずっと顔を埋めていたい…

 

「少し離れている間に随分と大胆になりましたね。まさか他の生徒が見ている中抱き着いてくるとは」

 

…他の生徒? ゆっくりと後ろを見るとアヤメちゃん以外の百花繚乱の子達がこっちを見て…

 

「ぴえっ」

 

あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になる。そして先生から離れた後に顔を手で隠してゴロゴロと悶える。

 

「…ふむ、やはりそちらの耐性は変わらないようですね」

 

心は成長しても恋愛耐性は相も変わらず小学生よりも低い。そんな自分はまだまだ未熟だとそう思った。

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