あれから数日、特に何も起こらず平和な時間が流れている。ホシノも折角用意した防弾アーマーをまたしまってあくびをしながら仕事をしている程に何もない。爆破もやりかねないと思っていたものの何もしない辺り彼を美化しすぎていたのかもしれない。普通に口だけの存在だった可能性もありうる。
「平和だねぇ…」
「そうですね」
ホシノも百鬼夜行の柔らかな日差しを浴びた影響か少しばかりうたた寝しそうになっている。そっと座布団を複数敷いた畳の上に移動させると数秒で彼女は眠りについた。昨日までやけにピンク髪の生徒に対して注意と警戒を怠らなかった彼女の負担は大きかったのだろう。平和であるなら暫く休んでいても問題はない。
そうやってのんびりと日常生活を送っていると緊急速報、という名のニュースが視界に映る。奴が動いたのか…? と思い記事を開くとそこに書いていたのは
『悲報、ゲヘナの先生ガチの犯罪者になる』とまるで関係なさそうな記事で一息ついた。マダムが犯罪者なのは今に始まった事ではないので何を今更…のような思考にしかならない。一応内容を確認してみるとマダムが朝礼を行っている間に突然服が弾け飛んだとの事。朝礼に参加しているゲヘナ生は強いショックでヒナと一部生徒を除いて全員鼻血を出して倒れたらしい。数日は意識が戻らない様子で…そこまでマダムの裸体に衝撃はあるのだろうか? と思うが世の中にはあれが好きな生徒も居るのだろう。好意を向けている人間の裸体を見て倒れるのはホシノでよく見たので。まあ、ホシノは片腕の袖を捲る程度で気絶しかけるが。
(…然しこの状況、大半のゲヘナ生が暫く動けなくなるのはあまり好ましくないのでは? ヒナが居るので問題はないと思いますが)
とりあえず安易に平和を強調するのは避けようと考えた。平和だ、と考え出した途端にこのニュースが飛んできたのでフラグという概念は存在するのだと認めざるを得ない。そう思いながら寝ているホシノの頭を撫でた。
『ちょっヒナ、何か着れるものはありませんか!? え、スク水!? さっき着たら即座に破けたではありませんか!?』
何処かの施設でゲヘナで発生している状況をリアルタイムで見ている大人が二人いる。
「ヴォ゛ェ゛!? 小生には年増女を脱がす趣味はないのですが!?」
「クックック…考え方が甘いなぁ同志。ここでベアトリーチェを脱がし続ける事に意味があるんだよ」
「ストリップババアなんて小生のキャンペーンに割り込ませたくなかった…!! 貴様まさかそうやって小生の事を弱らせるのが目的か!?」
「おいおい、言ったじゃないか同志ぃ…私も奴らに恨みがあるんだってね…それにほら、よく見てみな。ちゃあんとあの子はこちらに向かって来てくれてるじゃないか」
「おお…おおお!? ウオオオオオオオオ!!! 貴様の言う通りではないか!! 良いでしょう、半信半疑ではありましたが貴方を同志として認めようではありませんか。共にこのキャンペーンを成し遂げましょう」
「こちらこそ宜しく頼むよ」
「しかしながら小生は甚だ疑問でしかありません。何故貴方程の大人が協力関係を結びに来たのですか? それこそ小生は知らないがこの脱がし続けている女の方が都合がよかったのでは?」
「クックック…分かってないなぁ。この際だ、彼女がやらかした事を教えてあげようじゃないか。自らを『マザー』呼ばせて生徒に温もりを与えゲヘナとアリウス、二つの学園の生徒に手を出した。…そう、合法的なハーレムを生成したんだよ。この意味が分かるかな?」
「まさか先生の身でありながら生徒を汚して…」
「違う、私が手を出す予定だった生徒を先に頂く(意味深)したんだ!! その日から私の頭は脳が破壊されたかのような思考しかできず何も手につかない状態…分かるか? 足を舐めようとしてもいつもは『やめろ!』みたいに照れ隠しで誤魔化しても舐めさせてくれた生徒がある日突然『ごめん先生、迷惑だから本当にやめて』と真顔で言ってきたあの出来事を…はっきり言って辛すぎた。それからはもうなりふり構って居られなくなったんだ。そりゃあゲマトリア達に汚染されてない子達も居た。でもね、圧倒的に数が少ないんだ。そんなの許せないじゃないか。私は物凄い権力を持っていた筈なんだよ。それなのになんでこんな仕打ちを喰らわないといけないんだ!!」
「そ、それは何というか…小生の求めているエンディングとは遠くかけ離れている気が…小生別にハーレム築きたくてキャンペーン始めてないし…暁のホルスとかアヌビスとかの真理を追求したくて…」
「まあまあまあ。私が権力を取り戻したら多少の事は多めに見るよ。だからとりあえずそこのベアトリーチェとかいうNTR女の服をひたすら破いておいてね」
「は、はぁ…」
こんな事に意味はあるのか? そう考えても答えは出ない。ただ一つ言えるのは『無敵の人』と化した元シャーレの先生がなんか余計な事をしようとしてる、という事だけ。