例の事件が起きた翌日は…特に何も変わらない一日だった。服が弾け飛んだアヤメちゃんもいつも通り…少しだけ気まずそうにお仕事を手伝ってくれている。他の子達も今までと何も変わってなさそう。あ、キキョウちゃんは昨日マエさんが来た時にしれっと着いていってたような…とにかく一件落着、だね。
「これなら暫くは平和に過ごせそうかなぁ…」
そう言って体を伸ばしてると何処かからピロン♪ と音が聞こえた。なんだろう、と思っていると突然色々な子達が部屋になだれ込んでくる。
「ホシノ先生、外でろーるけーきなるものを手当たり次第に口に突っ込んで回っている他校の生徒がいると情報が!」
「ホシノ先生、私がねぎまを食べつくしちゃったから材料が市場からなくなっちゃった…」
「ホシノさん、アビドスの制服を着た子が変なロボットに乗って飛び回って危ない状況に…!!」
「ホシノ、キキョウがマエストロの所へ行ったきり連絡がつきません」
「う、うへぇ…」
フラグを立ててしまったので一気にお仕事が増えた。ひいひい言いつつ対応を終えたころには既に夕方になってお仕事も終わりの時間になっていた。
「お疲れ様でした」
「先生もお疲れ様…今日はなんだか疲れたよ…」
「本日は普段よりも濃い時間でしたね。大きな問題にならずに済んだのは幸いです」
「そうだね…」
誰もいない事を確認してから先生の膝に座って休む。これだけで疲れが取れていく感じがして気分が良い。この状態で頭を撫でられて嬉しい反面恥ずかしさで爆発しそう。
「そういえば…近々ホシノを置いて出かけないといけない用事が出来まして…」
「そうなの? 遠くに行く感じ? それなら私も着いて行ったほうが…」
「気持ちはありがたいのですが…カウンセリングを行うので可能であればホシノには留守番をして頂けたら助かります」
「カウンセリングかぁ…それなら仕方ないね。私はお仕事してるよ。ちなみに誰とお話するの?」
「マエストロの婚約者の方のユメです。この前の件もありますし他の方には話しづらい悩み等があればお伺いしようかと。最近彼女も私に対して嫌悪感が減ってきているようなので」
「先輩の…それは邪魔出来ないね。先生に任せるね」
ずっと先生と先輩の間にあったわだかまりが無くなったのであれば私としては嬉しい。一つ懸念点があるとすれば…
「前も言ったけど…いくら先輩が魅力的でも絶対、絶対にえっちな事はしたらダメだからね!! 手を繋ぐのは…特別に許すけど他はダメ!!」
「そういういかがわしい事をする気はありません。時間の無駄ですし」
「先生がそう言うなら信じるよ」
結局そこが一番の問題。後輩の私が言うのもなんだけど先輩は魅力的すぎる体をしている。抱き枕としても完璧、包容力も完璧、その他諸々も良い。いくら先生が理性を抑えられる人だとしてももし目の前で先輩の胸元のボタンが弾け飛んで見えてしまったら理性が焼き切れるかもしれない。…流石にそんな漫画みたいな展開はないかな。ちらっと見えたブラジャーを見て「これが芸術か…」なんてなる筈がないもんね。
そういう会話をしつつ先生の膝の上である程度休憩をした後、お風呂に入り夕飯を食べて歯磨きして二人用の大きな布団に入って抱き合って眠りについた。…というより気絶した。悔しいけれど未だに私は先生に薄着で密着されると耐えきれない。でも気絶するおかげで毎日が快眠なの。だからこうして朝起きると気持ちの良い日差しが私の顔を照らす朝が来て…
「おやホシノ、今日はお早いですね」
「……」
「ホシノ?」
「ぴぇ」
起きて早々目の前に先生の顔があってあっさりと二度寝気絶をしてしまった。でも大丈夫、ちょくちょくこうなるけど先生が用意してくれる朝ごはんの香りで目が覚めるの。「おはよう先生」と目を擦りながらぼさぼさの紙を整えてもらいつつ用意してくれた朝ごはんを食べる。暖かいお米と醤油が掛かったお魚の切り身、私好みの味噌汁、そしてサラダ。朝にしては少し量が多いかな? と思いつつも食べ終えた時には腹八分目くらいで丁度良いくらいになるんだ。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
その後歯磨きをして先生用の服に着替えて今日もお仕事へ! これが今のルーティンなんだぁ。その後は手を繋いで散歩しつつ百花繚乱の集会所へ向かい皆に「おはよう」と挨拶をする。
「おはようございますのホシノ先生!」
「おはようホシノさん。朝のねぎま食べる?
「おはようホシノさん、黒先。今日もよろしくね!」
と挨拶を交わして今日も一日が始まる!!
「…とはいえ一旦一息つきたいな。そろそろアビドスに戻りたくなってきたかも」
「一度アビドスに戻りますか? 少々気になる事もありますので好都合ではありますが」
「黒先たちアビドスに戻っちゃうの? 寂しくなるね…」
「一時的ですのでまた戻ってきますよ。ホシノもまだまだ先生として未熟ですからね」
「うへ、先生は手厳しい…」
「そっか。じゃあ…お土産用意しておくからアビドスの人達に渡しておいて。いってらっしゃい」
「「「行ってきます」」
こうして強引ながらもアビドスへ戻る事にした。新しい波乱は…多分ない、と思う…