例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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お久しぶりのアビドス

砂が混じった道路を踏む感覚。思わず懐かしさを覚えて少しばかりはしゃぐホシノ。まだ百鬼夜行で仕事を行うようになってから一か月程度しか経過していないものの慣れ親しんだ場所が恋しくなるのだろう。

 

「どうしたの先生? 急に立ち止まって」

 

「いえ、ホシノの生き生きした姿を見ていただけですよ」

 

「うへへ…やっぱりこの感じが落ち着くなあって。あ、後で柴関ラーメン食べに行こうよ!!大将元気かなぁ…」

 

「そんな劇的に進化している訳ではないと思いますが…見に行くのは良いと思います」

 

子供っぽくはしゃぐホシノに着いて行くと見慣れた大通りにでた。アホ毛をぴょこぴょことさせつつ腕に絡みついてくる彼女の頭を撫でつつ歩いていくと遠目に大きい犬の散歩をしているノノミのような人影を見つけた。

 

「あっノノミちゃーん!! 久ぶ…」

 

笑顔で手を振りながら駆け寄っていったホシノが突然固まった。彼女と同じ位置に近寄ると頭を抱えそうな光景にため息をついてしまう。

 

「ホシノ先輩、黒服先生、お久しぶりです☆」

 

犬だと思っていたのは黒服であり首輪をつけて平気な顔で散歩のような事をしている彼女を見て少しばかり冷や汗をかいた。もはや触れるのすら怖い。

 

「あっ、ごめんなさい。散歩の途中でした~♪ また学校で会いましょう☆」

 

「そ、そうだね…」

 

気分よく鼻歌を歌いながらノノミは大通りを歩いて行った。…大通りであれを?

 

「人が少ないから出来る事…なのかもしれませんね」

 

「うん…」

 

軽く引きながらも学校へ向かう。大通りを抜けて狭い通りを渡り見えてくるのは校舎の正面入り口。…それと中々に際どい丈のミニスカメイド服を着たセリカ。こちらに気づくや否やぎょっとした表情に変わっていく。

 

「あんた達…どうして最悪のタイミングで帰ってくるのよ!!」

 

「? 似合っていますよ?」

 

「うんうん、可愛いよ」

 

「あ、あらそう? それなら良いわ。…って見るなバカぁ!!」

 

…ホシノに釣られてこちらも懐かしさを感じた。セリカとのこういう会話は久しいのでそれ程時間が経っていないにも関わらずしみじみとしていた。

 

「何故メイド服を着ているのですか?」

 

「昨日のババ抜きでビリになったから罰ゲームで…そういうのはいいから早く入りなさいよ!!」

 

ツンツンした彼女に促されるまま学校内に入ると実家のような安心感を覚える懐かしい構造につい感慨にふけってしまう。若干床に残る砂と他学園と比較して幅の小さい廊下も空き教室を改良して用意した自室もすべてが懐かしい。他よりも少しばかり広めの教室には7組の布団が敷かれておりトランプが散らばっているのを見るに定期的にお泊りをしているのだと判断できた。

 

「ここは変わらないねぇ…」

 

「ええ。安心感を覚えますよ」

 

「訓練場とかも久しぶりにやろうかなぁ…でも歳とっちゃったから動けないかも…」

 

「まだ18歳でしょう?」

 

適当な事を言っているホシノに突っ込みをしつつ委員会の部室前に到着した。

 

「みんなおっはよう~」

 

そう元気よく挨拶をしながら扉を開けたホシノは縄で縛られて『反省中』と書かれたプレートを首からぶら下げてこちらを見てくるシロコと目が合いそっと扉を閉めた。

 

「なにあれ…」

 

「失踪していたシロコが見つかったようですね。それで心配をかけた罰として反省させているとかその辺りでしょう」

 

「そっかぁ…」

 

シロコが色々と面倒な事をしでかしたので最近の事件が起きた気もするもののホシノが怒ってしまう可能性があるので触れないでおこう。もう一度扉を開けるとこちらをじっと見てくるシロコとまた目があった。

 

「ん、メインヒロインの登場。今こそ私を解き放ってあっちむいてホイをやるべき」

 

「やりません」

 

「それなら私も抵抗する。『アビドス・ゴート・トーカー』を使ってこの縄を解いてもらう」

 

「反省しないとホシノにお仕置きをしてもらう事になりそうです」

 

「……ん、大人しくしてる」

 

シロコを大人しくさせつついつもの椅子にホシノを座らせた。落ち着きすぎて座った途端に居眠りし始めたがリラックス出来ているのなら何よりだろう。

 

「他のメンバーはどちらに?」

 

「ノノミは犬と散歩、セリカは校門で皆が戻ってくるまでメイド服で待機、アヤネとユメ先輩はどっか行った」

 

「そうですか。何か変わった事はありましたか?」

 

「トリニティの権力者を脅して手に入れたお金で作った『砂狼ランド』を間違えて爆破しちゃった」

 

「…他には?」

 

「捕まってる先生を襲いに行ったら他の学園の子達も同じ事を考えていたみたいで戦争が勃発した。『大惨事先生争奪戦』って誰かが呼んだその戦いは一人のガチ勢が強すぎて殆ど試合にならなかった。ちなみに他の二匹には誰も興味がなくて放置してた」

 

何処から情報が漏れたのか変態…もとい先生の取り合いをしていたらしい。まだ処置を決めていない為勝手にそういう事をされるのは非常に困るものの先程首輪に繋がれたあれを見たので束縛するレベルで愛されるのはハーレムを形成したがっていた彼にはまだまだ甘いものの罰にはなっているだろう。

 

「ん、とりあえず解いて」

 

「その辺りは皆が揃って会議をして決めれば良いでしょう」

 

この後皆が揃って話し合いが始まったものの最近会議ばかりしてて変わり映えがしないので省略すると結局シロコは心配かけたのであと三日は拘束されたままにすると方針が決まった。ついでに変なロボットはまた壊しておいた。

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