アビドスの皆が揃っているのと昨日訓練所で大きな争いがあった事で折角ならばと戦闘訓練をする事にした。市街地、屋外、屋内を想定した陣形と戦術を考えて模擬戦闘を行ってもらう。前衛にホシノ、その後ろにシロコとセリカとノノミを並べてアヤネは隣で指揮の補助を任せる。そうして配置についてもらっている最中、肩を叩かれて振り向くと目をキラキラさせたユメが聞いてきた。
「黒服先生、私は私は?」
「貴女は…盾は持っていますが銃は何を使うのですか?」
「武器…武器? あ、拳銃なら持ってますよ!! 使った事はないけど…」
「えぇ…」
このユメ、よく知っている彼女とは違い戦闘に関する知識が殆どない。拳銃を見せてもらったが弾が入ってなく何なら砂が中に詰まっていた。とてもじゃないが戦える生徒ではないだろう。
「私の隣で皆を応援しましょう」
「りょーかいです!!」
元々戦いを好まない性格だとホシノから聞いている為彼女は戦闘ではなく他の分野で活躍してもらおう。…それはそれとしてある程度の護身術は覚えていた方がよさそうだ。
「後で自分を守る技を覚えましょうか。いつマエ…貴女の体を狙う輩が現れるか分かりませんからね」
「私の身体を? うーん、ノノミちゃん達は可愛いから分かるけどわざわざ私を狙う人っているのかなぁ…」
「ええ、沢山いますよ」
「それは…すっごく嬉しい!!」
ふわふわした回答をする彼女にこれでよく今まで生きてこれたなと頭を抱えそうになるが冷静に考えたら銃で撃たれて死にかけていた事を思い出した。…もしや身体もそこまで頑丈ではないのでは?
「そういえばホシノ以外の耐久力チェックは行った事がありませんでしたね。訓練後にでも確認してみますか」
そう考えつつ訓練開始の合図を出してそれぞれの動きを確かめる。基本はホシノが注意を引いて隙があれば銃を撃ち身動きが取れなくなる程囲まれる前にシロコとセリカが左右に分かれてある程度攻撃をする。そして相手を追い詰めた所でノノミが一網打尽にする。久し振りに連携訓練を行った割にはよく行動出来ている。アヤネの士気も的確だった。だからこそ、だろうか。ここでユメが「やっぱり私も参加したいなぁ…」と言いながら羨ましそうに見ていた。
「参加してみますか?」
「良いんですか? やりたいです!!」
多少陣形を変えてホシノとユメを並べ盾を持たせて守りを固くする作戦を行った。然し…
「ひぃん!?」
訓練用のダミーが発砲するゴム弾は全てユメが持っている盾を狙っていた。どうやらダミーに設定しているAIはユメを分析して絶対に反撃してこない事を良い事に他を無視して集団攻撃している。
「先生、これどうなってるの!? ユメ先輩しか狙われてないんだけど!?」
「仮説ですがダミーのAIがユメを無害だと認識してリンチしていそうです」
「ええっ!?」
「とりあえず壊してください」
「ん、ならアビドスゴート・トーカーの残骸で…」
「普通に破壊してくださいね」
「じゃあ私のパンチで壊しま~す☆」
私はパンチングです☆と言わんばかりに武器を捨てて拳を構えてダミーを破壊していくノノミを見て肝が冷えた。流石は『十六夜の狂気』…
「今何か変な事を考えていましたか~♧」
「い、いえ何も…」
アビドスで怒らせてはいけない存在はホシノよりもノノミなのかもしれない…そう考えつつへたり込んで座っているユメを普段ホシノを運ぶように持ち上げてベンチに休ませた。
「え、先生今なんでユメ先輩をお姫様だっこしたの?」
「普段ホシノを運んでる時と同じ動作をしただけですが…」
「うへっ///」
「ん、自爆してる」
「この感じも久しぶりね。砂糖が入ってないコーヒーを買っといて良かったわ…」
「あ、セリカちゃんそれ微糖だよ」
「おかしい、微糖なのに角砂糖20個くらい入ってる甘さなんだけど」
「お姫様抱っこ…今後彼に頼んでみましょう☆」
「相変わらずセリカは口内で砂糖を生成する事が可能なのですね」
「いつでも糖分補給できるのは羨ましいなぁ」
「あんた達二人のせいよ!?」
セリカがシャー!! と威嚇しているのを宥めつつユメの様子を見ると「沢山弾が当たって振動したから盾を持っていた手とおっぱいが痛い…」と言っている。周辺を見渡してマエストロが来ていない事を確認してからホシノにケアをしてもらう事にした。
「それにしても皆様、私とホシノが留守にしている間に随分と戦闘能力が上がっているのですね」
「見回りも兼ねて時々暴走している生徒達を押さえつけたりしてましたので☆」
「それと時々露天風呂にある扉からあっちのホシノ先輩に訓練の手伝いをしてもらってたのよ。いつも全員ぼこぼこにされるんだけどね」
「他校の生徒さん達とも話し合って指示の出し方等を学ばせてもらっていたり…」
「素晴らしいですね。日々精進しているようで何よりです」
「当然よ!! だからアビドスは私達に任せてあんたはホシノ先輩が夢を叶えられるように頑張りなさいよ!!」
「…私は別に銀行を襲えなくなるから黒服が居なくてもいい」
「シロコちゃん、銀行を襲ったら駄目だって前に言いましたよね? 罰としてアイドルになりましょう☆」
「ん、学園〇イド〇マ〇ターになる」
「…ツッコミが不足して爆発しちゃいそうになるのでたまには顔を出してくださいね」
「え、ええ…ありがとうございます」
頼れるのか頼れないのか絶妙に分かりづらいがこれならアビドスは暫く問題なさそうだ。…ユメは後で多少は鍛えておこう。
この作品のホシノさんの強さが100だとして
ヒナも100
ミカが80
ユメ先輩は2くらいだと思ってます
元テラユメはよくて65くらいの強さです。すっごく頑張って強くなったんですね