黒服とホシノがアビドスで過ごしている最中、理不尽にもトリニティに着払いで届けられた桐藤ナギサはとても苛立っていてね。我々はとても困っているんだ。…私かい? 謹慎中のセクシーフォックスことセイアだよ。まずは私の目の前で行われた出来事をちょっと見てもらおう。
「んん~!? この紅茶を淹れたのはどなたですか!?」
「ご、ごめんなさい!! 私です!! ナギサ様のお口に合わない紅茶を用意してしまい申し訳…」
「いえ違います。とても素晴らしい淹れ具合です。なので今夜私の部屋に来てもう一度淹れて頂けませんか?」
「は、はい!!」
…のように見境なく一般生徒を部屋に連れ込んでは精神的に落ち着かせる行為を働いているんだ。正直私とミカは見てられなくて避難してきたんだよ。彼女がああなってしまったのはずっと側近に居たハルナというゲヘナの生徒が居なくなってからだ。原因がそこにあると考えた私はゲヘナの親善大使でありながら最近ミレニアムに入り浸っているミカを連れてゲヘナを訪ねたんだ。
結論から言うと物凄い速度でお断りをされたよ。「もう毎食ロールケーキは嫌ですわ」とごもっともな意見まで言ってくれたよ。正直彼女には同情しかできないんだ。私とミカもナギサの偏食具合…特に主食の代わりにロールケーキばかり食べる習慣は如何なものかと疑問を抱いていてね。昔彼女の部屋でお泊り会をやった際はそれはもう驚いたんだ。いくらトリニティ生とはいえ朝は塩気のあるものを食したい、そういうものさ。然し出てきたのはナギサお手製のいちごたっぷりロールケーキ(一人一本)だ。ふざけていると思わないかい? 君は甘味に含まれているカロリーを知らないのかい? と問いかけても「私は太らないので…」と人によっては戦争に勃発しかねない発言をしたんだ。とても信じられないと思うが事実なんだ。
「…という訳でナギサを止める為にもハルナをまたトリニティ所属として受け入れさせてくれないだろうか?」
「申し訳ありませんがそのような理由であれば私の可愛い生徒を他の学園に属させる事は出来ません」
意外にもベアトリーチェ…『マザー』と呼ばれる彼女は許可を出してくれなかった。
「何故だい? 君が「百合てえてえ」とか「近親相姦!?」と一人自室で呟いているのは前に予知夢で見たから知っているんだよ?」
「何故それを…まあいいです。仰る通り百合は素晴らしいものです。ですがその花を咲かせるのはあくまで双方が愛を囁き合い調和を果たすことで咲き誇るのです。一方的な愛で咲く花はあっさりと枯れてしまうでしょう」
言ってることは百合についてなのに何故こうも堂々と恥ずかしい事を言えるのだろうか? 彼女の背後に隠れているハルナも頷いて文字通り母に守られてる安心感に身を預けているのだろう。然し私も引き下がる事は出来ない。このままだとトリニティが破滅するかもしれないんだ。
「…分かった。お互いに譲れないのであればここは双方が納得のいく為に議論をしようではないか」
「いいえ、その必要はありません。如何なる提案をされてもハルナを売りに出す事はありません」
「マザー…流石ですわ。その大きな愛に私は救われて…」
「もしハルナを差し出してくれるのであればトリニティ生を『交流』という名目で君の部屋に招く事を検討しよう」
「詳しく聞かせて頂けますか?」
「マザー!?」
私を甘く見ないほうがいい。こうして対談を持ち掛ける以上有利な情報は常に所持しているのさ。そうする事で切り札が常に私の下に来てくれて…おや、なんだか風が吹いてきたね。それはそれとしてベアトリーチェが生徒を食べる(意味深)事が好きなのは知っている。…ミカはこんな事を提案した私の方を振り回してぐらんぐらんと揺らしてこら待ちたまえ吐きそうになるじゃないか止めてくれ。…全く落ち着き給え。これはトリニティにおいても有益になるんだ。だから離してくれ。
「今回この提案をした理由だが…情けない話トリニティにはいじめが勃発していてね。マエストロ先生が美しくないと対処しようとしているとはいえ中にはそれすらも快く思わない生徒もいるんだ。これはその名簿リストさ。この中に書かれたトリニティ生は好きなように『教育』して構わない。これはマエストロ先生にも了承を得ている」
勿論噓だ。マエストロ先生は今居乳と芸術を追い求めてワイルドハント芸術学院に足を運んでいる。私の好んでいた凛々しいマエストロ先生はもう出会えないとなると悲しくなるがとにかく今は目先の事を考えなければならない。
「ふむ…数百人いるのですね。これは教育のし甲斐がありそうです。ですがまだ足りません。私にとって宝物と言えるほどに大切な生徒達を差し出すには些か交渉材料が不足していると思いませんか?」
「であれば全ての生徒を構成させた暁には私の身体も差し出そう」
「交渉成立、ですね」
「良い判断をしてくれて助かったよ」
「お待ちください、私の人権が踏みにじられているのですが? 私は誰を信用して生きていけばいいのですか?」
「では明日にでもハルナを連れてナギサの元へ向かいますね」
「助かるよ。じゃあそういう事で宜しく頼んだよ」
ベアトリーチェと握手(私は袖だが)を交わしてミカを連れてその場を後にした。車に乗って運転している最中ミカが「本当に大丈夫なの?」と聞いてくる。
「大丈夫さ、君だって思うところはあるのだろう?」
「それはそうだけど…」
「ならいいじゃないか。周りの学園が平和であればある程トリニティの陰湿な部分が気に入らなくなるんだ」
「それはあるけど…」
そうやってミカを言いくるめていくうちにトリニティに到着してナギサに声をかけようかと思っていたがハナコにウザ絡みしていた。
「ハナコさんはいつも水着で過ごしていますよね? そこに噴水があるではありませんか」
「え、ええ…?」
「私も丁度今水着を制服の内側に着ているんですよ。…お分かりですね? 噴水サマーバケーションの開始です!!」
…ナギサの名誉を守るためにこれ以上この話をするのは止めておこうと思ったよ。あんなのでも友人なのでね…
「
昨日しれっとノノミさんの誕生日をスルーしてました。ごめんね