例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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倫理観はキヴォトス基準

寂しくなった寝室で一人ロールケーキを頬張っているナギサは考えていた。『どうすればハルナは自分を好いてくれるのか』を。

 

ブラックマーケットで流通していたUS-異ホンに書かれていた快楽で堕とすやり方は失敗し拘束し続けて愛を伝えても意味がなかった。一体何がいけなかったのかをナギサは振り返るが理解出来なかった為ハルナが現在いる場所を特定し直接会いに行った。彼女は百鬼夜行で

三色団子と呼ばれる甘味を味わっており猛ダッシュで駆け寄ってくるナギサを見て逃げようとしたところを腰を捕まれ抱き寄せられてしまった。

 

「ハルナさん、見つけました♡ …あ、待ってください今日は別に襲いたくて会いに来たわけじゃないんです!! どうか先生には報告しないでください!!」

 

「そう言って押し倒された事は忘れていませんわ」

 

「今回は本当なんです!! 確かにハルナさんの香りは私をムラっとさせるのには充分ですが今度こそ真面目な話なんです!!」

 

「もう貴女への信用は底を尽きていますわ」

 

「後生の頼みです!! 靴もタイツも※※※※も舐めますから!!」

 

「こんな道のど真ん中で卑猥な言葉を言わないでください!! …分かりました、話だけなら伺いますから大人しく隣に座ってください」

 

「あ…ありがとうございます!!」

 

半ば諦めたようにハルナはナギサの話を聞こうとして隣に誘導し座らせる。然し話があるという割にナギサは何も言わず俯いているだけなので仕方なくハルナの方から話を振った。

 

「話、しないんですか?」

 

「その…ハルナさんは私の事をどう思ってますか…?」

 

「キヴォトスで一番嫌いな方ですわ」

 

「う゛っ゛」

 

ド直球の嫌悪をぶつけられたナギサは吐血した。然しハルナはそれを気にする事もなく団子を咀嚼している。

 

「そんなくだらない事を確認する前に来たのであればお帰りください」

 

「ち…違うんです。私はハルナさんともう一度友人関係からやり直したくて…」

 

「今更ですわね」

 

「分かってはいます!! ですが…どうしても貴女の事が忘れられないんです…貴女が居ない人生なんて私には耐えられない…」

 

「それは自己保身、ですわよね? 結局自分が安心したいから私を傍に置きたい、それだけなのでしょう? 結局貴女は私を心から愛してなどいない、自分に都合の良いように解釈して自分の心を落ち着かせたいだけなんですよ」

 

ナギサは何も言い返せなかった。この言い訳も結局ハルナの事を何一つ考えていない自分勝手なものでである。彼女の心には何も響かずただ心を折られただけであった。

 

「もういいですか? 次の美食が私を待っているので次に行きたいのですが」

 

「…待ってください。待って…」

 

「もういいでしょう? 黒服先生を取り合う恋のライバルとしてある程度認めてはいましたがもう無理です。元々トリニティとミレニアムの生徒は相性が悪いのですから私達がそうなるのは当然とも言えますわね」

 

「…じゃあトリニティ辞めます!! こんなバッジなんていりません!!」

 

突然ナギサは胸元についているティーパーティーを示すバッジをむしり取って遠くにぶん投げた。唐突な行動に唖然としてバッジの飛んで行った方向を見つめるハルナはとても困惑していた。

 

「えっちょ…何をしているんですか!? あれはトリニティの大事なバッジなのでは…?」

「知りません、もう知りません!! 退学届も出します!! トリニティとゲヘナのいざこざでハルナさんと一緒になれないなら辞めてやります!!」

 

「落ち着いてください!! 別に学園がどうとか言うのは言っただけでナギサさんが嫌いなのは貴女のせいですから!!」

 

「もうやだ!! 私の事を好きになってくれるまで離れませんから!! 絶対に離れませんからぁ!!」

 

道端で駄々をこねて暴れ回るナギサを見てその場から立ち去りたいがこれを放置しておくのも気が引けたのでハルナは大人な対応として致し方なく彼女に手を差し出した。

 

「一つ、私の邪魔をしない事。二つ、私に過度なスキンシップを要求しない事。三つ、勝手な行動で周りの人に迷惑をかけない事。それが守れるなら私と共に行動する事は許可しますわ」

 

「…良いのですか?」

 

「さっき言った事を破ったら即座に通報しますからね」

 

そう伝えられたナギサは目を輝かせて「はい!!」と元気よく頷いていた。こうして二人の言い合いは終わり多少平和が戻ったのも束の間、突然ハルナは手を縄で縛られて拘束された。

 

「…あら? もしかしてナギサさん…」

 

「い、いえ違います!! 私は何もしていません!! そこの百花繚乱の方が…!!」

 

ナギサが見ている方向には自治区内の見回りをしていたアヤメの姿が。突然の非道な行いにナギサは自らの拳銃を構えようとするも手でそれを静止させられた。

 

「どうしてトリニティのお偉いさんが居るのかは知らないけれど…この犯罪者を庇うなら面倒な事になるから止めておいた方がいいよ」

 

「え? ハルナさんが犯罪者、なのですか?」

 

「うん。百鬼夜行の飲食店に入っては『好みに合いませんでしたわ』って店を爆破して回るテロリストだよ」

 

「…ハルナさん、さっき『勝手な行動で周りの人に迷惑をかけない事』って私に言いましたよね? 貴女も人の事を言えないではありませんか!?」

 

「何を言うのですかナギサさん!? お粗末な味で食事を提供する飲食店なんて食材に対する冒涜ですわ!! むしろ爆破して差し上げた方がキヴォトスに有益ですわよ!!」

 

そう、結局良い感じに話が進んでいても忘れてはいけない。ハルナはちゃんと倫理観が終わっているキヴォトスの生徒なのだ。

 

「このまま牢に放り込む予定だけど…トリニティのお偉いさんもそれでいい?」

 

「…いえ、良ければその方を私に預けて頂けませんか? もう金輪際このような事がないように『教育』しますので」

 

「まあトリニティのお偉いさんがそういうなら…このまま渡して大丈夫?」

 

「ええ、むしろ好都合です。…そうですよ、初めから遠慮する必要はありませんでした。また私好みの可愛い可愛いハルナさんに仕立て上げてあげますからね♡」

 

「ひ、ひぃぃぃ!?」

 

どれだけ被害者ぶっていても過去は消えなかった。結局ハルナは美味しく頂かれて『桐藤ハルナ』に戻ったそう…

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