例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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どうしてこんな目に…

久し振りにホシノに抱き着かれず朝を迎えた。シロコを追いかけて行った後、色々あってまたお泊り会を皆でしたとの事。こうして誰にも縛られず外の景色を見ながらコーヒーを嗜むのは朝の行動として最適な…

 

「…ん?」

 

遠くから何かが飛んできている。黄色い平面の…絵画? 違う、あれは『ゴルコンダ』だ。状況は不明であるものの一先ず飛んできた彼を上手くキャッチして話かけてみる。

 

「大丈夫ですか?」

 

「プ…プリン…もうプリンは勘弁してください…」

 

ふむ、いつも通りのゴルコンダで安心した。それはそれとして落ち着かせる為にも彼を連れて自室へ…何かべちゃっとした黄色い液体が手についたが洗い流せばいいか…ついでに絵画にこべりついていた黄色い液体もふき取っておいた。

 

「…はっ! 私の付近からプリンの気配が消えた…ここはレッドウィンターではないのですか?」

 

「おや、正気に戻ったのですね」

 

「黒服…? まさかここはアビドスですか? 嗚呼、漸く解放されましたか…感謝いたします」

 

「私は飛んできた貴方を救出しただけですので。一体何があって飛んできたのですか?」

 

「『大砲を作りたいけど実弾はすぐに用意できないのでプリンを弾にしよう』と言った大馬鹿生徒がいましてね。不幸にもその子が私を大砲に詰めて点火してしまったので理不尽にも吹き飛ばされてきました」

 

…注目されてはいなかったものの彼は彼で苦労をしていたのだと言葉の節々から伝わってきた。まさかプリン大砲を作らされるとは夢にも思っていなかっただろう。

 

「『虚像』と『日実在』、どちらも存在し得る環境であるからこそ接触したと言うのに…デカルコマニーは楽しそうにしているのでもう何も言う事はありませんが私はもう限界です。崇高を追い求めたいのにプリンプリンプリン…なんなんですかあの学園は!?

事あるごとに『レッドウィンターで常識が通用すると思うな』と言われる私の身にもなってください!!」

 

「…今までお疲れ様です」

 

珍しく声を荒げる彼を見て本当に苦労したのだと労わる。崇高を追い求められない日常は彼にとっては苦痛以外の何物でもないのだろう。

 

「一先ずはアビドスに滞在して心労を癒すのは如何でしょう? どちらにせよデカルコマニーが居ないと貴方は身動きが取れないでしょうし」

 

「そうですね…暫くは大人しく波乱のない日々を過ごしたいです」

 

「ええ、歓迎しますよ。ですがそろそろホシノ達の朝食を用意する時間なので一旦はこの部屋でゆっくり過ごしてください」

 

「ありがとうございます」

 

黒服は彼を置いて自室から出て行った。やっと訪れた平穏にリラックスして考え事をしている彼の身体は突然宙に浮かんだ。背後からは色彩とは違う何かに魅入られた異質な存在の気配がする。

 

「ん、喋る絵画をテイムした。早速転売する」

 

「なんですか貴女!?」

 

「? この作品のメインヒロインを知らないなんて終わってる。仕方ないから特別に教えてあげるね。私は砂狼シロコ。史上最強のメインヒロインだよ」

 

「貴女からはメインヒロインの『概念』は感じませんが…」

 

「そんなことを言うなら転売じゃなくてぶっ壊して素材にする」

 

ゴルコンダはシロコに翻弄されており。まるでレッドウィンターにもいるレベルの狂気じみたものを感じていた。結局セリカに救出されるまで振り回され続けたので彼はかなり精神的に疲弊した。

 

「あんた黒服の知り合いよね。シロコ先輩が迷惑かけてごめんね」

 

「いえ、慣れていますのでお気になさらず」

 

「…もしかしてあんたも苦労してるの? 実は私も黒服とホシノ先輩が…」

 

「…嗚呼、定期的に公衆の面前でそういう行為を行っているとは耳にしておりましたがまさか口内に砂糖を精製するレベルであるとは…爛れていますね」

 

「あんたの方はどんな苦労をしたの?」

 

「私は…色々あってプリンに染められました。暖炉の火種にされそうになったりメガホンで大声を出す生徒の隣でデモを聞かされ続けたり誰も来ない部屋で数週間放置されたり…でしょうか」

 

「あんた…相当苦労したのね…」

 

「嗚呼…理解者が居るのは有難いですね…」

 

 

…少し目を離しているうちにゴルコンダはセリカと意気投合していた。お互い何か惹かれるものがあったのかもしれない。とりあえずセリカに食堂に行くように促してから再び彼と話をする事にした。

 

「セリカと話が盛り上がっているようですね」

 

「はい。彼女とは対等な立場で話せていたのでお互いの苦労話で興が乗ってしまいました」

 

「そうでしたか。良い事ですね」

 

「ええ。話の通じる常識人というだけで将来有望ですよ」

 

まさかそこまでセリカを高評価するとは…まあ、自分の担当している生徒を好んでいただけるのは悪い気分ではないので良いか…

 

「もう暫くここに残って崇高を追い求めるのではなく彼女達と交流するのも悪くないかもしれませんね」

 

「貴方まで生徒堕ちしそうなので推奨したくはないのですが…」

 

「プリン堕ちよりはマシでしょう?」

 

「まあ、そうですね」

 

こうしてよく分からないままゴルコンダは暫くアビドスに居座ってついでに何かを発明しながら過ごす事にしたとか。

 

 

 

この後過去にヘイローを破壊する爆弾を開発してたことがユメ先生にばれて殺されかけたがアビドスは平和です

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