例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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夜に来るのは確信犯

ゴルコンダが降ってきたその日の夜、彼が張り切って研究をしているのをソファーに座って眺めている時間に『やっと大きな問題が解決したから明日にでも後輩を連れて挨拶に行くね!!』とアヤメから連絡があった。それを見てそろそろホシノにも先生研修に戻ってもらおうと体を伸ばした際、隣に誰かが座っている事に気づいた。

 

「えへへ、待ちきれなくて来ちゃった…♪」

 

アヤメだった。ホシノが近くにいない時に距離感が近くなるアヤメだ。然し今日は何やら普段よりも控えめな距離だ。

 

「ねえ黒先、この前ちらっと見たんだけど…胸ポケットに入ってるものってさ…私の写真だよね? 服がはじけ飛んだ時の…」

 

「そんなものは入っていな…」

 

そうだ…前に変態どもを捕まえに行った時、アヤメの裸が写っている写真をしまって証拠隠滅を図ろうと思っていたがつい後回しにしていた…

 

「あ、別に責めてる訳じゃないんだよ。あれは事故みたいなものだったし…」

 

「え、ええ。あれは悲惨な事故でした」

 

「でもさ…その写真をずっと大切に持ってくれてるって事は…私の事を大事に想ってくれてるんだよね?」

 

「それはもう、貴女は(生徒として)大切ですよ」

 

そう言った時、会話を聞いていたゴルコンダの作業が一瞬止まった。それもその筈、今黒服が言ってしまった発言は間違いなく誤解を招く言葉だった。そしてアヤメはそっと近寄ってきて腕に抱き着いてきた。

 

「大丈夫、分かってるよ。黒先は私を生徒として大切だって言ってくれたんだよね?」

 

「そう伝えましたが…」

 

「大丈夫。誤解してないよ。黒先にはホシノさんが居るもんね。私とは生徒と先生の関係、だもんね」

 

「はい」

 

口ではそう言っているものの身体はより密着してきている。腕から胴体へ、そして膝の上に座り向き合う形で抱きついてきた。

 

「ごめんね。少しだけでいいからこのまま居させて…」

 

「流石にこれ以上は…」

 

力を込めようにも抱き着かれている為上手く力が入らない。ゴルコンダに合図を送るが現時点で彼女をどうにかできる方法がないのか無言で 作業を続けている。そうこうしているうちに耳元で「黒先…好きだよ」と囁かれた。このまま彼女に襲われる、かと思えば膝の上から降りて宣言通り少しだけ密着してきた程度であった。これがもしハルナやナギサだったら間違いなく最後まで離される事は無かっただろう。

 

「ふぅ…ありがとね。ちょっとストレスが溜まっちゃってて…修行部の子に「好きな人とハグをすると元気になりますよ」って言われたからつい…」

 

「そうでしたか」

 

「邪魔しちゃってごめんね。それじゃあまた明日来るよ。…万が一、万が一だけどね、もし私とそういう事がしたくなったら…連絡してね」

 

頭を下げてから百鬼夜行に戻っていくアヤメを見送って一息ついた。彼女から向けられる愛が徐々に増大していっている気がするのは気のせいだろうか…?

 

「成程、そのような発言を繰り返してホシノさんを堕としたのでしょうね」

 

「そう思いますか? 私はそんなに変な発言をした記憶はありませんが」

 

「先程自身が発言した言葉を思い出してください。貴女は大切だと仰っていたではありませんか。恋心を抱いている人にそう言われたら普通は勘違いするかと」

 

「ですがアヤメは生徒として大切な存在だと私の言葉に理解を示してくれましたが」

 

「あれは彼女の解釈が偶々貴方の発言と偶然一致していただけです。もしかしたら「この人は結婚している筈なのに私を大切な人って…よし、襲おう」ってなりかねないのがキヴォトスです」

 

「…まるで経験してきたかのような物言いですね」

 

「私はその場しのぎで大切な存在だと生徒に言い続けた結果毎日プリンをぶつけられるようになりました」

 

「それは何か違うような気がしますが…無闇やたらと大切な存在だと言わない方が良いのでしょうね。ですが彼女も大切な存在であるのは事実なのでそれを伝えただけなのですが…」

 

「将来的に他生徒に襲われてホシノさんにキヴォトスが滅ぼされる未来しか見えないので気を付けてくださいね」

 

ゴルコンダは半ば呆れたように伝えてくる。マダムやマエストロではないのだからそう簡単に生徒からの好感度が上がるとは思えないが…改めて意識をするとしよう。そう考えていた時、扉がノックされて寝ぼけたホシノが訪ねてきた。

 

「先生、まだ起きてる?」

 

「え、ええ。起きてますよ」

 

「ごめんね、こんな時間に。なんか先生に付きまとう他の女の子が居た気がしたから来たんだけど…」

 

「ここには私とゴルコンダしかいませんよ」

 

「そっかぁ…ねえ先生、一緒に寝たいなぁ…」

 

「良いですよ。ではベッドに行きましょうか」

 

「わーい、先生大好き…♡」

 

短い時間でいちゃついている黒ホシを見たゴルコンダは存在しないはずの砂糖が口内に精製されている事に気づいた。本来であれば口にするのすら不可能であり絵画となった彼には味わえない味覚という概念を刺激されとても困惑したのと同時に他のアビドス生はいつもこの現象を味わっているのかと恐ろしくなっていた。

 

それはそれとしてゴルコンダは一人研究を続けて朝まで過ごして黒服とホシノは恋愛耐性を上げる特訓をしつつ一緒に寝ていた




エアプアヤメがお気に入りになってきたので深淵直下してやろうかな…と思ったもののとても人に見せる出来にはならなかったのでお蔵にします。要望あれば夜中にでも投下しています
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