時系列としては少し前、ベア先生の服が弾け飛んだ辺りの時。生徒の介護に飽き…疲れたヒナはデッサンの練習をしていた。普段書類を記入する程度にしか筆を持っていないが気まぐれで鉛筆を手に取り赴くままに筆を走らせるのも偶には良いだろう。彼女自身もそこまで絵が得意という訳ではないが何事にも全力を出して良いものを仕上げる事に手を抜かないのは流石の一言で済ませられるものではない。
というのは全て建前でただベア先生の裸をじっくり観察したいだけだった。所謂ヌードデッサン、というものをやらせている。「ヒ、ヒナ? そろそろ服を着たいのですが」と言われても「デッサンのモデルが動いちゃダメよ」と注意して動かせなくしていた。普段見慣れている裸だとはいえ敢えてじっくりと舐め回すように見て多少なりとも恥ずかしがらせるのは不思議と高揚感を得る。
「そろそろ部屋の外から覗いて倒れてしまった生徒を助けたいのですが」
「大丈夫よ、救護班のセナを呼んであるから集中して」
「既にセナすらも倒れているのですが」
「じゃあチナツを呼んでおくわ。これで大丈夫でしょ」
「チナツは今何処かに出張しているではありませんか」
「それでと私の為に動かないで欲しい」
「分かりました。ただ少し…いえ、かなり恥ずかしいのでそろそろ完成させて頂いても…」
「ダメよ、まだ上半身しか描けてないわ。下半身も描かないと」
そう伝え鉛筆を尖らせてからまた下半身に注目してデッサンを描き上げていく。ずっと眺めていくうちに卑猥な目で見るのではなく芸術作品のような美しい存在であると理解を深めていっている事にヒナ自身は気づいていた。愛する者の裸体を見てその様な感情を抱くのはヒナにとって『まあマザーだし』で終わる内容ではあるものの気付きを得たのは大きい。邪な感情から始めたものではあるけれど最終的には透き通るように清々しい想いで描き上げる事が出来た。
「描けたわよ」
「どれどれ…ふむ、愛は感じますね。ただ…胸を盛りすぎなのでは? 足もかなり太くされているような…」
「私目線ならこれくらい大きいし太いのよ」
「ですがここまで盛るとボンキュッボンじゃなくてボン!! キュッボゴーン!! みたいになるのですが」
「私のマザーはホシノの先輩よりも胸が大きくてミレニアムにいるという太ももが大きい子よりも太くなきゃいけないの」
「可愛さや魅力、はたまたヌードデッサンならその子達をモデルにした方が絵面が良くなると思いますよ。ヒナも理解しているとは思いますが私は○○歳なのでおばさんなんですよ? ゲヘナやアリウスの子達ならともかく他の学園にとって赤いおばさんのヌードデッサンは劇物でしかないんですよ?」
「大丈夫よ、むしろキヴォトスではマザーの方が需要あるもの。仮に今需要がなくても近いうちに皆が喉から手が出るほどマザーのデッサンを欲しがるようになるから」
「そんな世界になったら狂っていると言いますか…」
「五月蠅いわね、このまま押し倒してもいいのよ?」
「それは構いませんがそんなはしたない事を言うのは解釈不一致なのでやめましょうね:
「うん」
「あとそろそろ服を着たいのですが」
「だめ」
結局デッサンを描き終わっても暫く服を着る事は許されずそのまま過ごしていた為某先生曰く「ゲヘナは恐ろしい、見たら即死するレベルの恐ろしい化け物がいる」と話題になったとか。
尚ヒナが描いたベア先生のヌードデッサンはアビドスの借金の20倍くらいの値段が付いたとか。ただその絵は複雑そうな表情をしつつベア先生の自室に飾ってあるのだとか。