例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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試し

「覚醒してもらえますか?」

 

朝起きて食事を終えたホシノにそう問いかけてみる。彼女は眠そうにしながらも「良いけど…なり方は分からないよ」と言ってくれた。

 

「大丈夫です。させ方は理解しているので」

 

「そっか、流石先生だね。ちなみにどういう風にするの?」

 

「抱きしめて口付けを交わすだけですよ」

 

「それはちょっと難易度高いから無理…え、待って先生どうしてそんな…あっ…」

 

何か言っていたホシノを強引に抱き寄せて口付けを交わすと彼女の顔はいつも以上に赤くなって「ぴぇ」と大声を出し輝き出した。ヘイローもいつも以上に暴れ回って…いや、それはホシノが頭を振っていただけだった。この状態になったホシノはとにかく恐ろしい。グルグルパンチをするだけで重装甲も特殊装甲も弾力装甲も何もかも粉砕出来る末恐ろしい威力を待ち合わせているからだ。しかしホシノの扱いには慣れているのでそこまで問題ではない。今回はそこではなくこれの効果が切れた後、耐性が下がっているのかを確認したい。昨日ゴルコンダから聞いた話はあくまで仮説なので確証ではないからだ。…そういえばこの状態のホシノとは会話が出来るのだろうか? それも試してみよう。

 

「ホシノ?」

 

「ぴゃい!?」

 

ダメそうだ。致し方ないので落ち着くまで背中をさすったりして時間を潰していると「きゅう…」と鳴いて気絶した。数分待って起きたホシノに話しかけると「せ、せせせ先生!?」と物凄くアワアワとし始めた。これは…耐性が下がっているのか?

 

「ホシノ、肩に手を置きますね」

 

「ふぇ…!? ダメだよ、そんなえっちな事!!」

 

「では抱きしめるのは?」

 

「無理、絶対無理!! 子供が出来たらどうするの!?」

 

「? 抱き合う程度では産まれませんが」

 

…何かがおかしい。耐性が下がっているというよりも何かが…まるで全てのスキンシップを性に結びつけている…むしろ耐性が下がって許容範囲が大きく下回ったのか…? だとしたら一体こんな馬鹿げた代償があって良いのだろうか…? 実質覚醒のデメリットがないようなものになってしまうが…最大の神秘だからこそ許されるのかもしれないし参考例が少ないのでたまたまデメリットが無いように見えるだけで他にもガバガバな副作用の生徒が存在しているのかもしれない。それはそれとして…

 

「何故そんなに距離をとっているのですか?」

 

「先生の匂い嗅いだら頭がクラクラしてきちゃうから…///」

 

「…その様子で今日の仕事は出来そうですか?」

 

「ちょっと無理そう…?」

 

「分かりました。とはいえアヤメ達から連絡があるまでは例の話は進展しないので暫くは休んでいてください。そうなったのは私のせいでもあるので」

 

「分かった…」

 

そう言ってホシノをソファーに座らせて休ませようとしたが座った途端に「ぴゃはぁ!?」と独特な奇声を上げてホシノは飛び上がった。

 

「な、何を?」

 

「こ、このソファー、先生の匂いが強いよ!! こんな所じゃ身体が熱くなって寝れないよ!!」

 

……想像以上に弱くなっている、というよりも敏感になっていた。このままだとどうしようもないのでケイにホシノを別の場所に連れて行ってもらって改善案を考えようとした。然し何故か目の前にホシノが居る。

 

「今ワープしたばかりでは?」

 

「先生の近くに居ないと私息出来ない…」

 

「…相当深刻ですね」

 

致し方ないので半径10メートル以上離れているホシノを気遣いながらゴルコンダに会いに行き状況を伝えた。

 

「私の仮説が合っていたのですね。…大丈夫です、その『むしろ外れて欲しかった』と思っている顔は理解してますよ」

 

「これはどうすれば改善されると思いますか? 流石に生活への支障が出まくるのですが」

 

「どうすればと訊かれましても…同等の質を持った神秘を注入して中和とかでもすれば少しずつ改善されていくのではないでしょうか? こちらも確証はなく推測でしかありませんが」

 

「ホシノと同等の神秘は居ませんよ。最大の神秘なのですから。…いえ、一人だけ知っています。それなら試す価値はありそうです」

 

ゴルコンダの推測の元少しでも可能性があるのであればと藁にも縋る思いで彼女を訪ねた。そう、まともな時間を過ごしてきたホシノに。

 

「私のホシノの為なんです、どうか貴女の神秘を分けてください」

 

「ごめん無理。おじさんの知る黒服じゃないのは分かってるけど先生以外の大人に触られるのは嫌だから…」

 

「このままですとホシノの生活に支障が出てしまうんです」

 

「黒服離れ出来るならそっちのおじさんも幸せじゃない? 悪い大人に騙されてる事にようやく気づけたのなら良かったね」

 

どれだけ頼み込んでもこっちのホシノは首を縦に振らない。理由もよく分からないまま神秘とかいうのを抜かれるなんてそれは嫌だろうしこういう反応をするのも理解出来る。なので致し方なく無理やり取ることにした。

 

「ホシノ、ホシノを抑えなさい」

 

「ぴゃい!?」

 

「うわっやっぱり無理やりそうやって何かを…って力強!? おじさんですらこんな馬鹿力じゃないよ!? え、何、何なの!? えっ…せ、先生助けてぇ!!」

 

無理やり神秘を取った後、鯨のぬいぐるみをプレゼントしてその場を収めホシノにホシノの神秘を注入した結果多少はマシになった。なったもののまた同じように爆発しかねない為その場しのぎにしかならなかった。祭の件はもう生徒達に任せてホシノの体質をどうにかしようと誓うには充分であった。




ホシノにしか効果のないホシノ用ワクチン(原材料ホシノ)
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