例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

469 / 500
愛の試練に違いないんです

百鬼夜行のとある場所。縁側に座り風鈴の音を聞きながら空を眺めてのんびりと過ごしている少女が居た。彼女の名前は『水羽ミモリ』。大和撫子を目指し日々花嫁修業で自身を成長させていっている普通の生徒。通称『珍しいく無害な桃髪』である。

 

冷たいお茶を飲みゆったりとした時間を満喫している彼女の視界に突然空飛ぶ人が映る。その人影は徐々に近づいていき…

 

「たのもぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「えっあっ…ど、どうぞ!!」

 

物凄い勢いで衝突してきた人を彼女がよく用いる技『オキシトシン・ハグ』で抑え込んで幸福感を相手に与え落ち着かせる。大体の人間はこれで冷静になり平常心を取り戻す。それは今飛んできた人間…『小鳥遊ホシノ』にも当てはまった。

 

「ホシノ先生!? なぜ空から…いえ、それよりもお怪我はありませんか!?」

 

「う、うーん…大丈夫だよ…相変わらずミモリちゃんはすごい包容力だね」

 

この二人、実はホシノが百鬼夜行の先生代理として訪れた時、各委員会や部活を巡っていた際に挨拶を交わして面識がある。そして偶々外回りをしているホシノを見つけ彼女に膝枕をした事でホシノからは『ユメ先輩に匹敵する母性を持っている危険な子』と認識されていた。それもその筈、彼女にとってミモリとは言ってしまえば自分にはないものを全て兼ね備えている存在、という認識である。もしミモリが先生に近づいたら自分は切り捨てられてしまうかもと焦る程に…(そもそも黒服はホシノの神秘に惹かれた存在なので心が移り変わる事はないが)

 

そんな彼女にホシノは抱き着かれながらこう告げる。「修行をつけて欲しい」と。

 

「修行、ですか?」

 

「うん。今自分の弱さを理解してどうしても直したい癖があるんだ。それが心を鍛えなきゃいけないようなもので…」

 

「…事情はよく分かりませんが私が力になれるなら協力します」

 

「ありがとう!!」

 

ミモリに感謝しつつ修行でどうにかなるかはともかく自身の耐性のなさを改善しようとするホシノはやる気に満ち溢れていた。

 

 

 

 

「…で、なんで私も巫女服みたいなのを着せられているの!?」

 

「これはれっきとした修行を行う際に着用する正式な装いで…とかそういうものはありませんが形から入るのも大切だと思います」

 

「一理ありそうなないような…」

 

納得しかけたもののやっぱりおかしいと思いつつ巫女ホシノは座ってミモリの指示を待つ。

 

「…ところで何故修行をご希望されたのですか?」

 

「それはね…先生と色々あって…具体的にはかくかくしかじかなんだけど…」

 

「成程…『大好きな人と愛し合いたいけど甘えるのが恥ずかしくて距離をとってしまうのを改善したいから心の修行をしたい』と…」

 

「そうそう。とにかくやれる事はやりたくて。そもそも何でこうなっちゃったのかも分からないんだけど心を鍛えればいいのかなって」

 

「好きな人に甘えると恥ずかしくて気を失うといった症状は聞いた事がないので心を鍛えてどうにかなるかは怪しいところですが…やってみましょう!」

 

そういう事なので最初は坐禅を行い煩悩を払う所から始める。ミモリか坐禅中に叩く棒を持ってホシノの周りをうろつき得意の読心術で煩悩に塗れているか確認したところ煩悩塗れだった。

 

『先生とイチャイチャしたい』

『先生と死ぬまで一緒に居たい』

『先生には私だけを見ててもらいたい』

『先生には…』

とまあ、軽く引くくらいの欲望に飲まれていて叩けばいいのか分からなくなる程に色々と抱えていたらしい。とりあえず108回くらい叩いて「うへうへ」と言ってもらったがこれが修行になるのか…と不安になる。

 

「ホシノ先生、その…言いにくいのですが…煩悩を抑える努力をして欲しいと言いますか…」

 

「うぇ? そんな煩悩なんて考えてないよ? ただ先生の事を考えているだけで…」

 

「それが煩悩なんです!」ビシッ!

 

「うへぇ!!」

 

結局その日は煩悩を消す事すら出来ずただホシノは叩かれ続けただった。そもそもの話ホシノにとっては黒服の存在が全てなのでそれ以外の事を考えられないのは仕方がないものではあるのだがそれはそれとして考え過ぎなのは否めない。

 

「ホシノ先生はまず煩悩を抑える練習をしましょう。また明日来てください、私が付きっきりで教えますから!」

 

「う、うん。ありがとう…」

 

やる気スイッチが入ったミモリに見送られながらホシノは帰宅した。そして帰って早々、黒服に出会いぴえりそうになるがどうにか抑えて「ただいま先生」と笑顔で伝えた。

 

「お帰りなさいホシ…? 何故巫女服を着ているのですか?」

 

「うぇ? …あっ///」

 

「ふむ、こう見るとホシノも着物が似合いそうですね。今度白無垢でも着てみますか? 」

 

「えっと…/// ごめん先生、私誰かの家に泊まってく「ダメです逃しません。大人しく私と過ごしてもらいます」

 

「そ、そんなぁ…恥ずかしいよぉ…」

 

「元より夫婦の契約を交わしたのですから今更そういう事を言われても困ります。それに毎回避けられるこちらの身にもなってください」

 

「うぅ…///」

 

修行の結果は微妙に分かりづらいもののその日は数秒だけ抱きしめられても耐えられたとか。耐性クソ雑魚過ぎて笑えませんね




巫女ホシノ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。