例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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また気が緩んで面白くない時期になってしまったので気を引き締めます


混沌だよ

ーー甘い甘い日常生活。純愛で紡がれた物語はいつしか捻れていき歪んだものへと変貌した。元から歪んでいたのかもしれない。そんな物語も新たな展開を迎えようとしているが何か一波乱が欲しい。然し残念な事に『敵役』が居ない。もう出し尽くしたと言っても良く仮に何かを出したとしてもアビドスの代表とゲヘナの代表が大体片付けてしまう。彼女達は協力する事も覚えている為一人で暴走して面倒な方向に話が進まず某三章の様な悲劇も起こらない。

 

「このままだとこの物語は停滞してしまう。そんなの…面白くないですよね!!」

 

一人で椅子に座りながらタブレット端末の画面に触れる。黒服のアイコンを触り何故か消されている『ピンク髪に好かれる体質』バフがない事に疑問を抱くものの気にせず恋愛耐性値をホシノと入れ替えてみた。過去に誰かが彼の脳内を弄ったからか書き換えるのは容易である。

 

「ここからどうなるか…まあ、面白くならばそれで良いですね!!」

 

冷蔵庫からいちごミルクを取り出してこの歪んだ物語の傍観を続ける。だってそれくらいしか楽しみがないんだもの。

 

 

 

 

 

 

早朝、アビドス学校内の黒服部屋にて起きたホシノは自身が着ていた巫女服が乱れている事を寝惚けながらも理解した。然し眠いので彼に抱きつき二度寝をしようとする。そこから(…え、なんで抱きつけてるの?)と気づくのに1分程かかった。そこから理由を色々と考えて「まあいいや」と納得して更に強く抱き着いて頬ずりをする。こうやって気絶せずに愛する人と触れ合えるのはいつぶりだろう、幸せだなぁと思いつつ安心感からか二度寝を始めるホシノ。その表情は心地良い眠りにつけてそうな程に穏やかだった。

 

その数分後に自身の身体を締め付ける謎の痛みによって黒服は目覚めた。昨日はホシノととても恥ずかしい事をした…と思い出しながらも自身の腹部に視線を向けるとそこには抱き着いて眠っている彼女の姿が。

 

「うおっ!?!?」

 

ホシノに抱き着かれていると理解した刹那物凄い大声を出して飛び跳ねようとするが力が強いため抜け出せず。ただ大声を発した事で彼女が起きて「先生…?」と寝ぼけ眼で彼を見つめていた。

 

「ホ、ホシノ!! こんな早朝から不埒な行為を行うなんて正気ですか!?」

 

「えっただ抱き着いてるだけなのに…」

 

「それが不埒だと言っているのです!! 誰の影響を受けたのですか!?」

 

「誰って言われても…先生が悪いんだよ? 私を夢中にさせ続けてずっと貴方の事を頭の中で考えちゃってこんなにも愛おしいと思える大人として誘惑し続ける先生が…」

 

「うっ」

 

「ほら見て先生。最近は私から触るのは恥ずかしくて出来なかったけど…こうして手を握るのも抱き着くのも…キスだって出来るよ? だから先生、もっと私を甘えさせて…先生? 聞いてくれてる? …先生?」

 

甘いホシノの誘惑に対して黒服がとった行動は『気絶する』であった。それもその筈、恋愛耐性くそ雑魚ホシノ因子を某やばい人に移行されたのでそうなってしまうのも致し方ない。

 

ここで一つ問題が生じる。ホシノが黒服に甘やかされて気絶する、というのは大きな事態にはなり得なかった。それは黒服自身に気絶したホシノをどうこうするつもりもなかったから。ではその逆はどうだろうか? 最愛の人が目の前で無防備に気絶している姿を目撃したホシノは…喉を鳴らしていた。

 

「…うへっ先生駄目だよぉ? またそうやって誘惑して…」

 

当然抑えられる筈もなく強く抱き着いて首元に嚙みついて痕をつけたりとやりたい放題してしまう。今まで恥ずかしくてこういう行為が出来なかった反動か大きな欲望と煩悩に塗れてしまいある意味テラー気質になってしまったと言っても過言ではない。そのまま深淵に染まっていく…前にホシノの頭を何かが叩いた。「いったぁ!?」と言いつつ背後を見るとそこに居たのは昨日お世話になったミモリであった。

 

「駄目ですよホシノ先生!! 気絶している人を襲おうとするなんて!! 欲望に身を任せてしまったら良い花嫁になれませんよ!!」

 

「で、でも気絶している先生が無防備すぎて我慢するのが…それに夫婦だし…」

 

「夫婦なら猶更お互いに愛を支えあってそういう行為に及んだ方が良いと思いませんか?」

 

「それは…そうだけど…」

 

「とにかく今日も煩悩を取り払う修行を行いましょう!! 欲望に塗れていては大和撫子にはなれませんよ!!」

 

「えっいや私はそのヤマトナデシコになろうとは思ってな…あっちょっと引っ張る力強!? せ、先生助け」

 

…こうしてホシノはまた修行に駆り出されてしまった。黒服の方はホシノが離れてから数分後に目を覚まし自身の身体に起きている違和感に疑問を抱いている。

 

(何故私はホシノに対してあのような感情を…? それにホシノがあんなにも攻めてくるとは…はっもしやまた別の世界線に行ってしまったのでしょうか? )

 

少しばかり疑心暗鬼になりつつも自室を出て校内を見回るも大きく変わっている様子はないので一先ずここは自分の居場所だと安堵しつつも困惑する。とりあえずゴルコンダの居る部屋に行って事情を説明すると「そういう概念を何者かに埋め込まれたのではないでしょうか? 貴方は意識を弄られたりするのは日常茶飯事らしいので」と割と酷い言い方をされた。事実だけれども…

 

一応ホシノ以外には問題がないのかを確認する為にその辺を歩いていたケイを抱きしめてみたが特に問題は起こらなかったものの大惨事にはなりかけた。

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