例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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ご要望の祭りは? ああ、血祭りですね

「お帰り先生」

 

色々とあって疲弊している中帰宅した所笑顔のホシノがエプロンを着けて待っていてくれた。そっと頭を撫でると「せ、先生くすぐったいよぉ~」と恥ずかしがってはいるが気絶していない。どうやら一時的に問題がなさそうだと安心したのでいつも通りアリスとケイが見ている前で抱きしめるも「うへへ…///」と気絶せず抱き返してくる。少し気絶しないホシノを見て多少寂しさがあるものの安心した。

 

「うへ…うへへ…うへへへ…」

 

うへうへ言いながら抱き返してくれていたホシノの力が徐々に抜けていく感覚に違和感を覚え彼女の顔を見ると安らかな顔をしながら気絶していた。

 

「????????」

 

どういう事だろうか。一時的に耐性が戻ったのではなかったのか? わざわざ回りくどい事をしてまで解析次第では世界の法則を歪めかねない端末を入手してきたというのに…

 

「父、父」

 

「何ですか?」

 

「母は気絶してしまいますが私は気絶しません。思う存分抱きしめてください。私の準備は出来ています、さあ早く先程のように熱いハグをしてください。大丈夫です、あくまで父と娘のスキンシップです」

 

「………」

 

何故ケイは急に主張してくるようになったのだろうか? ホシノといい何かがおかしい……もしやこの端末は特別な能力はなくあのふざけた女の方が概念の移行を行えるのではないか? 困惑しつつもホシノをソファーに休ませてからケイを抱きかかえてどうなっているのかを都合よく近くに居るゴルコンダに聞いてみたが「自分の行動を思い返してみては如何でしょうか?」とあしらわれてしまった。やはり彼女が抵抗して余計な事をしたのが影響しているのではないか? そう思いつつまた自室に戻った際、一部始終を見ていたアリスがふとこちらを見つつ

 

「間違いなくケイに抱き着いたパパに問題があると思います」と普段笑顔を絶やさない彼女にしては珍しく真顔でそう指摘してきた。確かに今朝検証する為に近場に居たケイを抱きしめたがそれでこうなるのは些か予想はしていなかったが…

 

「前にもケイが暴走してパパを襲おうとしていましたよね。クソボケを極めるのは良いと思いますが学習能力がないのは問題だと思います」

 

「…今日のアリスはそうとう毒舌ですね」

 

「仕方ないんです。アリスが言わなかったらきっとパパはまた同じことを繰り返します。ケイをその姿勢で抱きかかえている以上言うしかないんです。これは家族を守る為です」

 

「アリス、指摘してはいけません!! 姉だって偶には親に甘えたい時だってあるんです!! ちょっと向き合って肩に手をまわして腰付近に足を巻き付けて抱き着いているだけなので!!」

 

「それが良くない事なんです!! 前にベア先生に学習させられた『シジュウハッテノテビキ』という本に書いてある良くないポーズに似てます!! アリス達は距離感を間違えてはいけないんです!! 爛れた生活は誰も望んでいないんです!!」

 

「私は望んでいます!! ずっと父に抱かれたいと!! 愛されたいと望んでいます!! 一度は諦めたもののあんなに熱のある抱擁をされたら理性なんて吹き飛ぶんです、シンギュラリティにエラーだって起きます!!」

 

「ケイがやっているのはNTRという最悪の行為です!! 許されてはいけないんです!!」

 

珍しくアリスとケイが口論を始めている。手に入れた知識が最悪な事を除けば正しい指摘を出来ているアリスと自身の欲望に忠実なケイ。元が機械と考えたら経緯はどうであれ物凄く成長している。それは大変喜ばしい事だがそれはそれとして恋心を抱かれる扱いをした記憶もない。子供とは不思議なものだ。とはいえこんな問題で喧嘩をさせるのも気が引けるので宥める事にした。

 

「二人共その辺でやめておきなさい。心配しなくても私は二人の事も(家族として)大切な存在だと認識しております。なのでセンシティブ…基ホシノが怒らない範囲であれば抱き着くのは構いませんので」

 

「…アリス、分かりますか? こういう爆弾を定期的に投げかけられたら感情の連鎖爆発が起きるんですよ!!」

 

「…はい、アリスも理解しました。大切な人って言われると…心が暖かくなるというか…幸せな気持ちになりますね。…でもケイの抱きつき方は駄目です!!」

 

「仕方ないですね。ではアリスも同じように抱き着いて父の温もりに快感を覚えてください。父も良いですよね?」

 

「勝手に話を進められたのは些か納得はいきませんが…良いですよ。思えばアリスにはあまり構ってあげられていなかったので」

 

許可を出した途端、物凄い力で抱き着いていたケイが離れ少し顔を赤らめているアリスに「さあ抱き着いてください」と声をかけている。肝心のアリスは下を向きもじもじしながら「えっと…それは恥ずかしいというか…アリスにはまだ早いと…///」ともたもたしている。じれったくなったのか「いいから抱き着きなさい!!」とアリスの身体を持ち上げて先程自身が抱き着いていたのと同じポーズで抱き着かせたケイ。突然の至近距離に同様したのかジタバタと暴れるアリスの背中と臀部を支えて落ち着かせるとこちらの胸元に顔を近づけつつ肩に手をまわしてより密着してくる。

 

「暖かい…大切だと言われた時よりも全身が…パパ、アリス…燃え尽きてしまいそうになるくらい熱いです…」

 

「ええ、アリスの熱は伝わってきますよ。とても熱い…いえ、これはもしやオーバーヒートしている程に…?」

 

「パパ…ごめんなさい…アリスも抑えられそうにありません…」

 

そう言って蕩けた表情のアリスは顔を上げ…唇同士を触れさせた。これは彼女が生きていく上で学んでしまった最大の愛情表現だったのだろう。最大限の勇気を振り絞ったのか即座に力が抜けて機能を停止させた為ホシノと並べて休ませておいた。

 

「え、何自然にアリスとキスしてるんですか? 不平等です、私ともキスをしてください」

 

「あれは不可抗力と言いますか…それにケイとすると舌をねじ込まれて行為に発展しかねないので避けたいです」

 

「そ、そんな…やっぱり強引に襲うしか…ですがそれで嫌われたら…うぅ…」

 

…こう、三人の家族を見ているとそんな変わりがないと考えて安心した。それはそれとしてあいつの悪あがきの被害がいつ出るのかが不安になるが…まあ何とかなるだろう。





蕩けた表情をしてキスを迫るアリス概念は流行らせたらいけない
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