戦いを終えたホシノは珍しく怪我をしていた。なんでもロールケーキ型爆弾を持って突っ込んで自爆特攻してきたナギサにやられたのだとか。尚ナギサの方は爆弾を至近距離で食らった影響か服が破けていた。
「良かったよ、先生が用意してくれたワイシャツを着てて。危うくナギサみたいに脱げちゃって大変な目にいった!! 先生痛いよ!!」
「消毒する過程で痛みが生じるのは致し方ない事です。慣れてください」
「痛いのには慣れたくないよ…」
という言葉に「それもそうですね」と答えつつ体育館に並べられたホシノ以外の負傷者を眺める。ざっと見るだけでも相当な数がいる。これ程までの生徒を狂わせる能力もといデバフを付けられるとは…アヤメこの人数と光景に絶句して「ホシノさんのライバルって多かったんだね…」と軽く震えていた。
「この子達って全員黒先に恋心を抱いてる子達なの? 黒先モテモテだね…」
「殆どが数分話した程度ですし顔を合わせた事すらない生徒すら居ます。あちらにいるレッドウィンターの制服を着ている生徒やゲヘナに似た制服を着てる生徒等も」
「えっ会ったこともない人にも好かれてるの? しかも殆どの人がピンク髪だし…あ、前に見たゲヘナのテロリストとトリニティのお偉いさんまでいる…」
アヤメが見ている方には今回ホシノに傷をつけたある意味一番の貢献者であるナギサと何故か逃がしたのに捕まっているハルナがお互いの方を掴んで口論していた。催眠やら惚れ薬やら色々と聞き捨てならない発言が聞こえたがホシノの治療を優先しているので後回しにした。そうこうしているうちに各自治療をしていた他アビドス生たちが集まってきてホシノの様子を見つつ各々話を始める。
「ん、この生徒達全員をアビドス生にする」
「やめなさい」
「えっ皆アビドスに来てくれるの!? ひいんふうみい…うん、沢山いるね!!」
「やめなさい」
「でもさ、これから百鬼夜行と合同で祭をやる予定じゃない? 迷惑かけられたし人手が必要になるかもしれないから働いてもらうってのはどう?」
「案としては悪くないのですが百鬼夜行以外の生徒を参加させるのは気が引けますね。下手に規模を拡大して手が回らなくなってしまい問題が起きたら大変です」
「ですが先生方が協力してくれるのであれば問題ないのではないでしょうか? 例えばベア先生とヒナ風委委員長が見回りに協力してくれたら規模を拡大しても問題なさそうな気がしますが…」
「今回はホシノに任せる以上大規模にする必要はないかと思いますので。それにマダムを連れてきてしまったら更に面倒事が増えそうなのでね…」
「確かに…」
セリカ達の意見を聞きつつも今回の主役は自分ではないと伝え規模を拡大しようとするのは避けるように助言した。無駄に風呂敷を広げて畳むのに苦労をしている光景を現在進行形で見ている気分になる為大規模にするのは積み重ねていってからの方がいい、という意味でそう答えた。それを後方で聞いていたアヤメがふと「あっ」と声を出した。
「黒先に抱き着いてて忘れかけてたけどホシノさんと祭の詳細について話し合いたかったんだった。ホシノさん、怪我は大丈夫そう?」
「うん、大丈夫だけどアヤメちゃんもぶっ飛ばさないといけなくなっちゃったよ」
「大丈夫だって、私が黒先に選ばれないから。ちょっと抱き着くくらい許して?」
「うーん…有罪!! って言いたいけど話が進まないし寝取る気がないならいいかな…他の子達は先生を襲って既成事実を作ろうとしてたし…」※ホシノ目線ではそう見えるだけ
「そっか…」
突然バチバチに戦いを始めるかと思いきやホシノはアヤメに甘い。色々あったのもあるがハルナ達と違って害がなさそうだと認識しているのだろうか? それともただ単に疲れているだけかもしれないが。
「とりあえず祭の話をしたいけど…ホシノさん、相当疲れてそうだし資料だけ渡しておくね。後はビデオ通話とかでも話せるし」
「うん、ありがとう」
「黒先にもこれ渡しておくね。生徒さん全員分刷ってきたから」
「ありがとうございます」
データではなく紙の資料という所に昔の記憶が呼び起されそうになるが蓋をして封印した。外の世界にいた頃のつまらない自分には既に未練はない。
資料を渡して袖に顔を埋めながら帰るアヤメを見送ってから資料に目を通すとでかでかと『合同砂祭り計画書』と書かれており、ホシノよりもユメの方がテンションが上がっており飛び跳ねていた。
「ふむ、百鬼夜行との合同祭か。黒服も面白い事を考えたな」
「どこから現れたんですかマエストロ」
「崇高の揺れを感じて…うおっあれは素晴らしい崇高だな…」
「所で貴方の妻と娘が今冷たい目線を向けてきているのは理解しておりますか?」
「ああ。ゴミを見る目で見てきているのを感じている。だが見ていろ黒服、愛があればこのような不祥事も許されるんだ。その目に焼き付けておくんだな」
そう言って突然現れたマエストロはユメ先生に近づいていき物凄い勢いで土下座をしていた。…それでいいのかゲマトリアよ。
「プライドで家族を失えるわけないだろうが!!」
「全部貴方自身の問題です!!」
「グェ!!」
尚渾身の謝罪を行っても許されなかった。直前の行動があれでは許されることもないだろうに…まあ、喧嘩するほど仲が良いというので大丈夫だろう。マエストロが他の居乳生徒を家に連れ込んで如何わしい事をしていなければ。
ちなみに連れ込んでます