例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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たの死いね

狂気的に笑う友人に似た姿の存在に対して思うところはある。何故憎しみに満ちているのか、何故無理にでも笑っているのか。ただもうそういう事は関係ない。

 

「これはただの殺し合いだ」

 

自分にそう言い聞かせて目の前の外敵を排除する為に武器を構える。こいつは生かしておいたらいけない。

 

『ううん、良い表情ね。その目、その殺気…実に素晴らしいわ!!』

 

愉悦に浸った表情で拍手をくれるヒナもどきに対して容赦なくショットガンを打ち込む。全弾を顔に打ち込んでみるもやはりというべきか全く効いていない。

 

「無駄に硬いのはヒナと一緒だね」

 

『私も空崎ヒナだもの。銃弾なんて効かないわ』

 

そう得意げに笑うヒナもどきの顔を思いっきり力を込めて殴った。…想定よりもダメージは入っていなさそう。

 

『良いのかしら? キヴォトスなのに肉弾戦メインにして。貴女のショットガンが泣いてるわよ?』なんて余裕を見せつけてくる始末。それに対しホシノは無表情で「最終的に殺せるならそれでいい」と答える。

 

『良い答えね、気に入ったわ!!』

 

より狂気的に笑いながら自ら武器を投げ捨てて回し蹴りを放つヒナもどき。それを避けたホシノが拳を放つも受け止められ、今度はヒナが拳を…と攻防一体を繰り広げている。その余波で地面にヒビが入っているのを察したホシノはヒナの腕を掴み回りだしてジャイアントスイングをし始めて危険がない方角へ吹き飛ばした。

 

『ふふ、そうよね。貴女はそのちっぽけな学校を大切に思っているのだものね!! じゃあ壊してあげるわ!!』

 

上空に飛ばされたヒナもどきは翼を巧みに使い体勢を変えて上空に隕石を呼び出して校舎に向かって投げてくる。

 

「これは…骨が折れそうだね」

 

どのように対処をしようか近づいてくる隕石を眺めていると謎のロボットが校舎を守るように仁王立ちして隕石を受け止め始めた。

 

「ん、間に合った」

 

ロボットの正体は初めてまともな活躍をしたであろうアビドス・ゴートー・トーカーであった。いつもは狂っているシロコも非常事態にはまともになる。

 

「シロコちゃん、そのロボットは?」

 

「もう壊されないように直して保管してた。大丈夫、状況が状況だから許可をもらってる」

 

『ふぅん、これもアビドスに眠っていた遺産なのね…まさか隕石にも対応出来るとは思わなかったけれど』

 

腕を組んで余裕そうにしているヒナもどきに向けてシロコはロボットを操作して隕石を投げ返した。流石のヒナもどきも堪えたのか少しばかり不機嫌そうに舌打ちをして隕石の破片をロボットに向けて投げ始める。そこまで耐久は高くないのかあっさりとロボットの頭部が爆発するもその隙にホシノがヒナもどきを蹴り飛ばして引き離す事に成功した。

 

「ホシノ先輩、こっちは任せて」

 

「うん。皆の治療とかもお願いね」

 

「…あと、殺すとか野蛮な事はやめよう。見ぐるみ剥いで金品全部奪うくらいにして」

 

「それも結構野蛮なような…まあ、うん。ちょっと冷静になれたから話し合ってみるよ。ありがとう」

 

「ん」

 

非常に頼もしく見える後輩に学校の事を託してホシノは走る。…丁度砂漠の変な建物がある位置付近に吹き飛ばせていたようで大笑いをするヒナもどきを見つけた。

 

『やはり流石ね小鳥遊ホシノ。…いえ、アビドス高等学校。私をこうも簡単に追い詰めるなんてね」

 

「…ねえ、もうやめにしようよ。ずっと無理してるの分かってるからさ」

 

『あ?』

 

「さっきは殺し合い、とか言っちゃったけどさ…何か事情があるんでしょ? 私これでも先生を目指してるからさ、あんまりそういう…命を奪うような事はしたくないんだ。話し合って分かり合える人だっているし…ね?」

 

そう言ってヒナもどきに手を差し出す。怒りを抑え和解しようとして。

 

『…そうね。私もその意見には同意するわ。…でもね、持たざる者の私の気持ちは理解できない。一度同じ立ち位置に来なさい!!』

 

ヒナもどきはポケットからスイッチを取り出し、それを押した。…瞬間学校を中心に大規模な轟音が響くが建物は破壊されていない。ただその音はとても不快で…嫌な音だった。

 

「何を…したの?」

 

『何って、たださっき踏みつぶした絵画が持っていた技術を用いて貴女にも全てを失った思いをして分かってもらおうと思っただけよ。確か…『ヘイローを破壊する爆弾』だったかしら? 範囲は広くしてあげたからホシノ以外のアビドス生は死ぬか廃人になるでしょうね』

 

「…なんだ、そんな事か」

 

『そんな…事?』

 

ヒナもどきは困惑していた。『あの小鳥遊ホシノが』大切な後輩達を殺害されてそんな事で済ませる事に。少なくとも自分の知るホシノならば怒りに染まって本気で殺しに来るだろうと予想していたから。現に戦い始めた時は殺意を出していた事も理解している。それなのに何故?

 

「私には信用出来る後輩と大人が居るからさ。こういう時にはそう簡単に感情的にならないんだよ」

 

『…そうみたいね。憎たらしい事に』

 

「うへへ、ごめんね。じゃあ改めて…先生代理として君を止めてみせるよ」

 

徐々にホシノのペースになりつつもヒナもどきはその一言に反応しより深淵に染まっていく。目の前の障壁を潰す為に。

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