例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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だから祭の話をしろって言ってるでしょ!?

私は今椅子に腰をかけて書類に目を通している。とある人から貰った『過去に開催されたアビドス砂祭』の概要を纏めた資料だ。

 

そこには時系列が合うかはともかく幼少期のユメ先輩に似た女の子が映ってる写真や見知らぬ当時のアビドスの制服を着た少女達が楽しそうに何かをしてる写真にも目を通す。ここで私が思った事は皆分かってると思う。

 

『幼少期のユメ先輩が可愛い』

 

「話が逸れてしまうので変な事は考えないでください」

 

「あっごめん」

 

考えていた事を指摘されて恥ずかしくなりつつもこの資料を用意してくれた人…先生に謝る。とても都合の良い事に彼らゲマトリア達には過去にもいける技術を持っている。冷静に考えたらタイムパラドックスとかやり直し的なのも出来るしこの人達なんで先生やってるんだろ? って思ったりしたけどあえて触れないでおこうと思う。

 

「結局砂祭ってどんな感じだったの? 資料だと断片的にしか伝わって来ないからさ。…というかなんで私を連れて行ってくれなかったの?」

 

「疲れてそうでしたので寝かせておこうかと思いまして。昨夜はお疲れでしたし」

 

「まあ…うん」

 

「あと資料として一応録画をしておいたので確認してください」

 

そう言って先生が差し出してきたビデオカメラを覗いてみる。

 

ー以下カメラの映像ー

 

『ありがとう、真っ黒なお兄さん!! お兄さんのおかげでお父さんとお母さんに会えたよ!! ユメ、お兄さんみたいな誰にでも優しく出来る大人になりたい!!』

 

『そうですか。ええ、きっとそうなれるでしょう。応援していますよ』

 

『うん!!』

 

ー以上ー

 

「ねえ、祭の映像は?」

 

「…撮れてなさそうですね」

 

「何この映像。ただ幼女に感謝されるだけの動画じゃん」

 

「そうですね…」

 

やっぱり先生ってロリコンじゃないかな…結局砂祭について殆ど分からないしどうしよう…

 

「という冗談はさておいて…しっかりと撮ってきましたよ」

 

「流石先生、このままだとロリコンの烙印を押して襲われるんじゃないかと思ったよ」

 

「襲ってきたのはホシノからですがね。さ、再生しますよ」

 

ちゃんと撮ってきた映像には主にオアシスを取り囲む形で出店が並び客は水着を着て泳いでもよし、食べてもよし、と言った感じで普通の祭をオアシスで開催しているような印象を受けた。先程は制服を着ていた生徒も下に水着を着ていたのか更衣室で脱いで….

 

「なんでこの映像更衣室が映ってるの?」

 

「偶然映ってしまって…」

 

「なんでこの灰色髪の子だけ舐め回すように録画してるの?」

 

「物凄い神秘に惹かれてつい…」

 

「先生気をつけないと捕まるよ?」

 

「はい…」

 

様子のおかしい先生を宥めつつ映像に戻るとこの頃はゲヘナとトリニティもギスギスしていたのか水上闘技場みたいなところで腕相撲をし戦っている。…やっぱり仲は良さそう?

 

「なんていうか…アビドスでこんな賑わってるのが信じられないっていうか…」

 

「かつては三大学園に匹敵する大規模な学園でしたのでね。…ふむ、改めて映像を見ると当時よりも廃れた今の環境で同じ規模の祭を開催出来るのかわかりませんね」

 

「規模は良いんだよ。そこまで大きくしなくて。私も含めて皆が楽しめるならそれで良いんだ」

 

「…ホシノ、忘れてはいませんか? 私達は昔アビドスにサマーリゾートを作ったではありませんか」

 

「…あっ確かにあっちの私が居るアビドスは砂漠一面を海にしたんだっけ。でも今回はやめておこう。規模はそこそこでいいから軽い感じのやつにしよう」

 

「そうですか。分かりました、ホシノが言うのであればそうしましょう」

 

なんだかんだ先生はとても張り切っている。彼も男なのでこういった祭事は好きなのかもしれない。…好き、なのかな? まあいいや。

 

「規模は大体一般的な商店街くらいの大きさだとして…出店はどうしよう。『焼き鳥屋』と『麺を串に刺して炭火で焼いたもの屋』は入れて欲しいって話は聞いたんだけどさ」

 

「無難なもので良いと思いますよ。縁日と言えばやはり『焼きそば』や『チョコバナナ』、『かき氷』等が無難でしょう」

 

「アビドスは他自治区に比べて暑いからかき氷は良さそうだね。…いっその事海の家みたいに小さなお店を用意しておくのも良いか…も…!?」

 

この時、ホシノに電流が走った。数々の思い出と湧き上がるアイデアが自身の脳を活性化させて頭が冴える。

 

「先生喫茶…そうだ、『先生喫茶』をやろう」

 

「はい?」

 

「この祭を開催する目的は『アビドスの良さを知ってもらう』事だと私は考えてるの。それって即ち『先生の良さを知らしめる』って意味もあると思ったんだ」

 

「……んん?」

 

「まだ中学生の子達が祭に来て『アビドスにはこんなにもカッコよくて気遣いが出来て人格者で誰よりも素敵な大人の先生が居る』って思ってくれたら入学者も増えるんじゃないかな!?」

 

「成程、意味が分かりませんね」

 

「これは決定事項に入れるね。先生がアロハシャツを着て料理を提供し色々な子をいつも見たいに誑かせば…アビドスはもっと発展する…うへへ…」

 

「それだとハルナやナギサのような面倒臭いホシノのライバルが増えるのでは?」

 

「勿論定期的にいちゃついてる所も見せつけるよ? ライクは良いけどラブは許さないってだけだからね」

 

「…そうですか」

 

その後も楽しそうに出し物を決めるホシノを見て「まだ彼女に任せるのは早かったのかもしれない、と遠くでセリカに殴られてるフランシスの声を聞きながらそう思った。

 

 

尚先生喫茶の事をアヤメに報告したら『最高だね!!』と返事が返ってきたのでどうしようもなかった。

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