例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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積み上げてきたものをフル稼働

ホシノの活躍? によって列車は大破していた。綺麗な砂浜に大きなスクラップが出来てしまった事は悲しむべきなのかもしれない。

 

「いやいや何してくれちゃってるんですか!? この電車が無かったらもうやり直し出来ませんよ!?」

 

「それで良いんだよ。ベアさんから聞いたけどその方法って誰か犠牲にする必要があるんでしょ? もうさ、そういうの求めてないんだよ。誰が犠牲になるとか…」

 

「彼の犠牲が無いと元に戻せないんですよ!?」

 

「…それがおかしいって言ってるの。なんで先生が犠牲にならなきゃいけないの? なんで先生にそこまで背負わせるの? どうして私から大切なものを奪うの?」

 

「そ、それは…その…」

 

「強引に私から先生を奪おうとしているようにしか見えないんだよね。私は貴女が誰なのか知らないけれどやり直し? とか凄い事が出来るのであれば随分と偉い立ち位置にいる人なんじゃないの? ならもっと他のやり方とか思いついてない訳?」

 

「ですので被害を最小限にして1の犠牲で99を救おうと…」

 

「…君話にならないね。犠牲を出した時点で選択肢を間違えてるんだよ。私の尊敬する先生なら全員幸せにする」

 

「…その人自分を犠牲にしようとしてましたよ」

 

「それについては後でわからせるよ。でもそれはそれとして私と先生を引きはがそうとした貴女は絶対に許さないよ」

 

…遠くで盛り上がっている二人を他所にどうしようかと頭を悩ませる。この電車を修理しないとやり直せないのであればすぐに修理を…

 

「させませんよ?」

 

突然背後から声がしたかと思えば腰を掴まれてバックドロップを食らわされる。突然の衝撃に頭が悲鳴を上げている感覚に襲われ暫く思考を巡らせるのが困難になっていった。

 

「今ですアリス!! その電車をこの世から消し去ってしまいなさい!!」

 

「お任せください!! …光よ!!」

 

轟音と一人の悲鳴と共に一本の極太レーザーが電車を灰にし、黒焦げになって倒れた一人の少女が気絶しているのが視界に移った。

 

「ナイス二人とも、これで邪魔者はいなくなったね」

 

「はい! アリス魔王を倒しました!!」

 

「…ホシノ、アリスにケイまで…何を考えているのですか?」

 

「何って…家族である父を犠牲にしたくないから来たんですが?」

 

「……」

 

「先生さあ、ひどいよ。なんで私達に何も言わず犠牲になろうとするのさ。悲しいよ。私も昔似たようなことをした時に先生のほうから「周りを頼って」って言ってたじゃん。なのになんでこんな事したの? 勝手に犠牲になろうとされたらさ、先生の事守ってあげられないよ。もう監禁するしかなくなっちゃったよ。でもいいよね? 私もアリスちゃんもケイちゃんもいるからさ」

 

「現状をどうにか出来るのであれば好きにしていいですよ」

 

メンヘラヤクザみたいなことを言うホシノについそう行ってしまったが彼女は「言質とったよ」と逞しい返事を返してきた。

 

「…で、どうしよっか」

 

「はい? 何も考えずに電車を破壊したんですか?」

 

「だってそうしないと先生が連れていかれちゃうし…」

 

「大丈夫です、私とアリスに任せてください」

 

「策があるんですか?」

 

「あります。上手くいくかは不明ですがまあ何とかなるでしょう」

 

「えぇ…」

 

不安が残る中ケイがアリスに何かを投げて渡すのを見守る。突然オッドアイになったかと思えば何かを投げ渡していたケイのボディーが床に崩れ落ちた。

 

『ぱんぱかぱーん!! 合体アリス再来です!!』

 

「何故合体をしたのです?」

 

『今からアリスはケイの力を借りて王女の力を引き出します。そして世界の法則を崩壊させます!!』

 

「…は?」

 

『母の素晴らしい神秘によって育てられた私たちは通常の5倍は強いです。今なら王女の特権を利用して何でもできそうです』

 

「まるでチートそのものではありませんか…」

 

「流石私達の娘だね、先生」

 

「ホシノはそれでいいんですか?」

 

『…じゃあ、全てを元に戻す為に始めます!! ミレニアムの技術力と王女の力、ママの愛をこの右手に収束させて…!!」

 

「せ、先生!? 合体したアリスちゃんの右手にすごい何かが集まってる気がするけどあれは一体!?」

 

「知りません何ですかあれは…怖…然し興味深い気も…」

 

『生き残った全生徒と他の先生方、パパとママの想いを込めて…行きます!!』

 

右手に力を込めたアリスはレールガンの出力で空を飛ぶといった異常な動きを見せて空高くにある大きなヘイローに向け時計の形をしたエネルギーの塊を放出する。…あれは確か昔ケイの武器に付けた余計な機能のやつに似てる…

 

「…あんなふざけた仕組みを利用して何をするのでしょう?」

 

「…ちょっと不安になってきたね」

 

ホシノと見守っていると世界が白黒に変化していき不思議な感覚に囚われる。宙に浮いているようなふわっとした感覚に身を任せて目を閉じていた。

 

 

…次に目を開けた頃に電話の着信がなっており画面に表示されている『ユメ』の名前を見て慌てながら電話に出た。

 

「もしもし」

 

『あっつ黒服先生? 今電話しても大丈夫?』

 

「え、ええ…」

 

『よかった。…実はね、やっぱり私も祭に参加したいなって思ってさ。暫くシャーレの先生代理を休止する事にしたんだ!!』

 

「…体調は大丈夫なのですか?」

 

『体調? すこぶる元気だよ!! なんか物凄く弱くなった気がするけど元気いっぱい!!』

 

「…そうですか」

 

『…で、私も参加していいの?』

 

「勿論です。いつでもアビドスでお待ちしております」

 

『やったー!! 明日すぐに行くから待っててね!! じゃあお休み!!』

 

「え、ええ。お休みなさい」

 

明らかに覇気のある声でマエストロの嫁であるユメは喋っていた。電話と日付から察するに昨日の夜に時間が戻っている感じだが…

 

「先生!!」

 

「おやホシノ」

 

「アリスちゃん達は何をやったの!?」

 

「私にもあまり理解が出来ていないのですが…時間が戻ってますね。…ホシノは記憶があるのですか?」

 

「あるよ。…そうだ、先生を監禁しないと」

 

「……」

 

余計な事を思い出させてしまい後悔していると大きな足音を立ててアリスが入ってくる。

 

『パパ、ママ!! アリス達の作戦が上手くいきました!! 即刻ほめてください、父母』

 

「まだ合体したままなんですね」

 

『はい!! なので前やった時みたいに分裂させてください』

 

「分かりました」

 

少しばかり懐かしいと思えるミレニアム出張の時のように二人を分裂させた。…手違いか何かでケイの髪が白くなっていたが見分けやすくなったのでいいか、と納得した。

 

「それで…二人は何をしたの?」

 

「まずアリス達は武器に付属されていた機能を拡張して時間を巻き戻しました」

 

「次に原因となったもの…今回だと大きなシロコとマエストロ先生と暮らしてるユメですね。この二人の体をこちらで元気に過ごしているシロコ、ユメの身体を複製して魂を入れ替えました」

 

「流石に都合が良すぎでは?」

 

「エンジニア部、ゲマトリア、王女の権限、母の神秘。ついでに電車の残骸に残ってた変な端末。これらが揃えば不可能ではありません」

 

「そう、でしょうか…? そう、かもしれませんね」

 

色々と言いたいところはあるが誰も犠牲にならないのであればいいか…と納得した。その後ホシノに監禁されつつアリスとケイがご褒美が欲しい、との事なので四人で同じベッドに入り寝る羽目になった。

 

…ただ不思議と悪い気分にはならなかった。




次回最終回です。金曜くらいに投稿します
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