例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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黒服と対策委員会活動記録#2

 

ーーーアビドス高等学校 武器庫

 

 

黒服「ふむ…」

 

ホシノ「ど、どうしたんですか?さっきからこっちをずっと見てますけど…」

 

黒服「ホシノの武器はショットガンなのですよね。選んだ理由をお伺いしても?」

 

ホシノ「距離を詰めて一撃で相手を倒せるからですね。ユメ先輩が囮になって私が隙を見て…みたいな戦い方をしてました」

 

黒服「とても賢い戦い方ですね。…ですが今は貴女しかこの学園で戦える者は居ません。時間はありますし新しい戦闘スタイルを試してみては如何でしょう?」

 

ホシノ「そうですね…」

 

黒服「ホシノはこう戦いたい、というものはありますか?曖昧なものでも構いませんよ」

 

ホシノ「誰も傷つかないように…私が大切な人達を守れるような…そんな戦い方がしたいです」

 

そう語る彼女の眼は真剣だ。ならばそれに応えるのも大人の仕事だろう。

 

黒服「守りたい、ですか。でしたらこういうのはどうでしょう?例えば…ショットガンを片手で扱いもう片方に盾を持つ、というのは」

 

ホシノ「ショットガンと…盾?」

 

黒服「はい。機動力は落ちますが貴女が倒れない限り戦いを有利に進める事も可能でしょう。味方への攻撃を庇えます」

 

ホシノ「そのような戦い方が私に出来るでしょうか…」

 

黒服「ホシノなら出来ます。それに盾ならそこにあるでしょう?」

 

ホシノ「っ…!?それはユメ先輩の…」

 

黒服「彼女の意思を継ぐならば貴女が使うべきです。さあ、どうしますか?」

 

ホシノ「……そんなの決まっています。私はユメ先輩の意思を継いだのですから」

 

黒服「素晴らしい。ですがそれを使いこなすのは並大抵の覚悟では務まりません。それでもその戦闘スタイルにしますか?」

 

ホシノ「はい。私は皆を護る盾になる為になります!」

 

黒服「良い返事ですね。貴女の今後が楽しみですよ」

 

ホシノ「……とは言ったものの……来年この学校に入学してくれる子は居るのでしょうか…」

 

黒服「……そこばかりは運…でしょうか」

 

ホシノ「……初めて黒服さんが曖昧な返事を…」

 

黒服「大人とはいえ必ずしも答えが出せる訳ではないのです」

 

ホシノ「そうなんですね。あんなに頼りになる黒服さんですら分からない事があるだなんて…」

 

黒服「……気を取り直して特訓の準備を始めますよ。時間があるとはいえ有限である事は変わりがないのですから」

 

ホシノ「はい!黒服さん、ご指導よろしくお願いします!」

 

黒服「まずは盾を持って校庭で走り込みから始めましょう。まだ本調子ではないのですから無理をしない範囲でお願いしますね」

 

ホシノ「分かりました!行ってきます!」

 

健気に特訓を始める彼女を見守る。ホシノはこれから今以上に強くなる。だがそれはあくまで身体だけであり心は弱いままだろう。彼女の心を支えてくれるような存在が必要になるだろう。私のような悪い大人ではない誰かが。

 

ーーーホシノの特訓が始まってから数時間後

 

黒服「お疲れ様でした。初日にしては上出来でしたね」

 

ホシノ「ありがとう…ございます…」

 

黒服「頑張ったホシノにはご褒美が必要ですね。失礼しますよ」

 

ホシノ「えっ…黒服さん!?」

 

黒服「生憎女性の運び方はこのようなやり方しか心得ておりませんので」

 

ホシノ「だからってお姫様抱っこは恥ずかしいです!せめておんぶくらいに…」

 

黒服「いいから行きますよ。早く行かないと店が閉まってしまいます」

 

何故か顔が赤いホシノを抱えて目的の店へ向かう。この辺りでの数少ない飲食店であり評価が高い店、『柴関ラーメン』だ。

 

柴大将「らっしゃい!アビドスの生徒さんが来るとは珍しいな。そっちのイカした兄ちゃんは先生かい?」

 

黒服「そんな所です。さてホシノ、味はどちらにしますか?」

 

ホシノ「じゃあ…この特製味噌ラーメンに炙りチャーシューをトッピングしたものを…」

 

黒服「では大将、そちらを二つお願いします」

 

柴大将「あいよっ!ちょいと待っててくれよな!」

 

黒服「こちらのお店は『良い意味で予想を裏切られた』と評判らしいです」

 

ホシノ「えぇ…大丈夫なんですか…?」

 

黒服「食べてみれば分かることですよ。ほら、到着しまし…」

 

柴大将「お待ちどうさん!特製味噌炙りチャーシュートッピングだぞ!」

 

そう言われてテーブルに置かれたものは山だった。何故?並のはずでは?何故?

 

ホシノ「………」

 

柴大将「ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ」

 

笑いながら厨房へ戻る店主と絶句しているホシノと目の前にある二つの山。

 

黒服「確かに…予想を裏切られましたね…」

 

ホシノ「うへぇ…」

 

明らかに値段と量が見合っていない山盛りのラーメンをなんとか平らげる。後ほどホシノから「この日のトレーニングの中で1番キツかったです」と言われる程だった。

 

柴大将「また来てくれよな!兄ちゃん達ならいつでも歓迎だ!」

 

笑顔で見送ってくれる大将にぎこちない顔で手を振りかえしつつ歩き出した。

 

黒服「……柴関ラーメン…恐ろしい店でした」

 

ホシノ「とんでもない量でしたね…味はとても美味しかったのでまた来ましょうね」

 

黒服「そうですね。次は必ず並盛りで頼むと致しましょう…」

 

ホシノ「賛成です…」

 

この後情けない姿で学園に帰る二人組が目撃されたのは言うまでもない……

ちなみに翌日からの訓練はとても調子が良かった為、定期的に通う事になった。

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