リオ「ゲヘナの食堂は思っているよりも空いて……いえ、人が居ないのね」
フウカ「実は本日お休みなんです。さっきの白髪……ハルナがやらかしてしまって」
リオ「彼女はゲヘナの問題児なのね」
フウカ「ええ、ハルナは大問題児です。せっかく新調した業務用冷蔵庫を1日で壊されてしまいまして」
リオ「……何をしたらそうなるのかしら」
フウカ「なので仕方なく新しい冷蔵庫を買いに行こうとしたらハルナに絡まれた……という感じだったのです」
リオ「なるほどね。……ちょっとその冷蔵庫を見せてもらっていい?」
フウカ「あ、はい。こちらです」
リオ「ああ、内側の冷風機が壊れているのね。この程度ならすぐに直せるわ」
フウカ「そんな、申し訳ないですよ」
リオ「無駄な資金をかけるよりいいじゃない。……これで電源を入れたら動くはずよ」
フウカ「う、動いた……貴女は救世主です!どうお礼を申し上げたらいいか……」
リオ「ちょっと弄ったくらいだし気にしなくていいわ」
フウカ「そういう訳にはいきません!一食でもいいので振る舞わせて……あれ、食材が……」
リオ「冷蔵庫が壊れていたなら無いのが普通じゃないかしら」
フウカ「あっ」
ーーー
フウカ「本当に申し訳ありません!」
リオ「さっきから頭を下げられてばかりで周りの視線が困るわ」
フウカ「ですが……」
リオ「恩を感じてくれているならやめてちょうだい」
フウカ「……分かりました。その代わりお世話になった分精一杯おもてなしをさせてください」
リオ「それくらいなら構わないわ。……ところで食堂に変なロボがあるのだけど」
フウカ「ああ、それは前に発注した配膳用のロボなのですが……製作者が『ただの配膳ロボではつまらないので火炎放射器を付けておいたよ★』とか変な要素を付けて届けてきたガラクタです」
リオ「……エンジニア部ね。配膳用のロボという事は貴女の部活は人員が不足しているのかしら」
フウカ「それもありますけど……効率が上がれば美味しく食べれる人が増えるかなって」
リオ「美味しく?」
フウカ「はい。料理を作るからにはなるべく美味しい状態で食べてもらいたいんです。その為なら出来る事はやっておきたくて。……まあ、配膳ロボは発注したのはいいもののかさばるので結局は使い道がなかったんですがね」
リオ「貴女は信念を持っているのね。羨ましいわ」
フウカ「……それでも挫折する事はありますよ。夢を語るだけでは何も達成出来ません。高等部に上がるまではそう思ってました」
リオ「高等部になってから変わったの?」
フウカ「はい。その頃に噂になっていた偉大なる母親という人に出会いまして。さっき話した私の信念を話したら『素晴らしい信念ですね。是非私に手助けをさせてください』って言われて……いつの間にか食堂が改装されていたり設備が整えられていって今に至ります」
リオ「偉大なる母親……私が出会った彼女はただの変態だったけれど」
フウカ「あはは……最初はそう思いますよね。ですが誰よりも生徒に向き合ってくれる大人ですよ。この前だってヘアピンを変えた子を1時間以上褒めていました」
リオ「超が付くほどの馬鹿なのかしら」
フウカ「それは間違いないですね。でも私達はそんな彼女が大好きです」
リオ「(私にもそうやって皆に慕われるような存在になれる可能性があったのかしら……)」
フウカ「さ、出来ましたよ。ちょっと早めのお昼にはなってしまいましたが気合を入れて作りましたので!」
リオ「ああ、ありが……おかしいわね、私の目の前にはフルコースが並んでいるのだけど?数分程度しか話してないわよね」
フウカ「普段から1000人分を作っているので……」
リオ「……ゲヘナは恐ろしいわね」
ハルナ「フウカさん!なんて素晴らしい昼食なのでしょうか!是非私にも振舞ってください!」
フウカ「あんたは出禁だって言ったでしょ。というか休業なんだから入ってこないでもらえる?」
ハルナ「なんて辛辣な!!」
リオ「(……美味ね)」