ホシノ「……ん」
先程まで砂漠に居たはずなのにいつの間にか教室に戻ってきていた。夢から覚めたのかな、と辺りを見渡していると疲れているのかいびきをかいて寝ている大人が1人居る。シャーレの先生だ。
ホシノ「夢じゃなかったんだ……」
目の前にいる大人のお陰で一時的に安堵は得られたものの根本的なものは解決していない。それどころか先生に繋がる手掛かりがなくなってしまったようなものだ。それでも何とか見つけ出すしかない。
ホシノ「(だから休んでる暇はないけれど……身体が重い。しばらく動けなさそう)」
普段の自分の身体とは思えないほど衰弱している感覚がある。やむを得ずその場で仰向けに寝転んで天井を眺める事にした。切れかけの電球の光が点灯を繰り返している。付いては消えるその姿を見ていると自身の内側になる不安が大きくなっていくような感覚に襲われたので仰向けになろうと身体の向きを変えた。その時に何か柔らかいものが顔に当たり違和感があったので顔を上げるとそこには……
シロコ「ん、おはよう」
ホシノ「……うわっ!?」
何故か後輩が添い寝をするかのように隣に寝転んでいた。
ーーー
ホシノ「皆帰ってきてくれたんだね。夜まで用事があるって言ってたのに……」
ノノミ「先生からホシノ先輩の様子がおかしいって連絡をもらったので切り上げてきました」
シロコ「ん、残念ながらホシノ先輩はもう1人になれない」
ホシノ「……そっか。よかった、私にもまだ残ってるものがあったんだ。ありがとう」
セリカ「お礼なんていいから話しなさいよ。なんで砂漠に1人で行ったのよ」
ホシノ「先生を探しに……」
「"私を?"」
ホシノ「シャーレの先生じゃなくて……私の先生を探しに行ってたの」
アヤネ「私達の先生はそこに居る先生ですよ?」
ホシノ「えっと……だから……」
上手く伝えられなくて困っていると教室の外から轟音が聞こえた。全員が何事だと慎重に扉を開けた先に居たのは彼女達にとっては先生と真逆ともいえる異形の存在。ゲマトリアの黒服だ。
黒服「あの華奢な身体の何処から馬鹿力が生まれているのでしょうか……おや」
「"黒服……!?まさかまたホシノを狙って!?"」
シロコ「一歩でも動いたら撃つ」
黒服「これは手荒い歓迎ですね。ですが私は敵対するつもりはありません。どうか銃を収めていただけないでしょうか?」
「"………"」
黒服「おやおや。参りましたね……ん?」
ホシノ「……せ……」
セリカ「ホシノ先輩?ちょっと、何してるのよ!」
「"ホシノ、近づいちゃダ"」
ホシノ「先生ーー!!」
「「「「「!?!?!?」」」」」
黒服「……いきなり抱きつかないでもらえますか?」
この時シャーレの先生と後輩たちは目の前にいるホシノが言った言葉と行動が信じられず脳が破壊されたような衝撃を受けた。
シロコは壁を殴りノノミはミニガンを放り投げセリカは飛び跳ねた衝撃で壁に刺さりアヤネは眼鏡が破れシャーレの先生はNTRと同様のショックを受けてその場に立ち尽くしていた。
ホシノ「先生好き好き!もう離れない!」
黒服「たった1日で大袈裟な……とりあえず生きていて何よりです」
「"あ、あの……ホシノ?私の聞き間違いじゃなければ黒服の事を先生って……"」
ホシノ「うん。私の先生だよ」
「"あ゛あ゛あ゛あ゛!!私の生徒が寝取られたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!"」
黒服「ホシノは初めから私の生徒です」
シロコ「ん、ん、ん、ん、ん」
ノノミ「わぁ、壁に穴が開いてますね☆」
セリカ「誰か助けて」
アヤネ「何も見えません」
「"唐突なNTRにより脳が破壊されました。黒服、責任をとってください"」
黒服「先程から理解できない単語を言わないでもらえますか?」
「"NTRは許さん。私自らぶっころ……"」
「うへぇぇぇぇぇぇ!!」
「"んえぶ"」
黒服「ようやく来たようですね」
「"いたた……黒服の野郎、遂に手を出したね。ならば私も大人のカードを使わせてもら……あれ、ホシノ?"」
Aホシノ「えっと……ただいま、先生」
「"……まさかNTR返し!?見たか黒服、やはり正義は勝つんだよ!"」
黒服「さ、帰りましょうか」
ホシノ「うん!」
「"うわぁホシノが誘拐される!?ってホシノが2人居るんだけど"」
黒服「こっちは『私の』ホシノです。あなたのホシノは今抱きついているそれです」
Aホシノ「そういう事みたい」
「"大丈夫?黒服に変な事とかされたりしてない?"」
Aホシノ「何も……それどころか助けてもらったし……複雑な気分だよ」
「"そっか……黒服、ごめん!ホシノを無事に届けてくれてありがとう!この恩は必ず返すよ!"」
黒服「こちらこそ『私の』ホシノがお世話になりました」
ホシノ「『私の』って……も、もう///」
Aホシノ「……そこの照れてる私に言いたいことがあるんだけどさ。娘の教育くらいちゃんとしてよね」
ホシノ「ああ……うん。娘じゃないよ?」
シロコ「ん゛」
ノノミ「シロコちゃんそれは私のミニガンです」
「"黒服、お前……"」
黒服「説明が面倒なのですがどうしましょう」
ホシノ「……帰る?」
黒服「帰りましょうか」
「"詳しく……説明をしてください。今私は冷静さを欠こうとしています"」
黒服「面倒です。それでは」
ホシノ「皆、短い間だったけどありがとうね」
シロコ「あの黒服はホシノ先輩を孕ませた。始末しなければならない」
ノノミ「でも私のミニガンはシロコちゃんが殴って壊しちゃいました」
セリカ「そろそろ助けて」
アヤネ「いった!誰ですがここにガラスの破片を置いたのは!」
Aホシノ「……ところで何が起きたらこんな事態になるのさ」
「"これはね、NTRにより脳が破壊されたからだよ"」
Aホシノ「ごめん先生何言ってるのか分からない」
黒服「では本当に帰りますね。もう会うこともないでしょうが、お元気で」
Aホシノ「……ありがとう。私の知ってる黒服も貴方みたいな性格だったら良かったのに」
黒服「ご冗談を。既に貴女の側にはお似合いの先生が居るではありませんか」
Aホシノ「ま、まあ……そうだけど」
「"大丈夫、こっちのホシノは私が幸せにしてから孕ませ……"」
黒服「言わせませんよさようなら」
ーーー
ケイ「お帰りなさい」
アリス「ホシノママー!」
ホシノ「ぐぇ」
アリス「間違いないです!このホシノはアリスがよく知るホシノです!」
ホシノ「……よかったぁ。帰ってこれて……」
黒服「おっと。だいぶ疲弊しているようですね」
ホシノ「ありがとう。早く家に帰って寝たいなぁ。先生、運んでー」
黒服「今回だけですよ?」
ホシノ「うへへ、ありがと。……やっぱり先生の近くにいると落ち着くなぁ……」
ホシノスワップ 完
ーーー
一連の出来事の中に本編世界で起きた出来事
黒服「……では彼女は追放するという事でよろしいですか?」
マエストロ「異論はない」
ゴルコンダ「消えてもらいましょう」
デカルコマニー「そういうこった!」
ベアトリーチェ「お待ちなさい!この私にそのような無礼な事をして許されると……」
黒服「対色彩用の装置ですが、貴女の愚行に対する罰としては充分でしょう。……起動」
ベアトリーチェ「グッ……ウガァァァァァァァァァ!!」
マエストロ「嫉妬に狂った哀れな婦人よ。さらばだ」
ベアトリーチェ「……許サン。アノ先生モ……オ前ラニモ……必ズ復讐シテヤル!!」
……これは本編世界におけるベアトリーチェが消滅した出来事である。しかしこの物語はここで終わる事なく数奇な運命を辿り淑女はとある場所に降り立った。
ベアトリーチェ「ここは……なるほど、天は私に味方をしたという事ですね。愚かな大人達よ、待っていなさい。……必ずこの手で殺してやる」
淑女は復讐を誓い身を潜める。全ては自分の崇高を満たす為に。
ちなみにタイトルのAとGは
Anotherとゲマトリアの略称でした
明日から3部の始まりです。書くのが今から楽しみです