淑女「遂に会えましたね」
「"そんなに長い間会ってなかったっけ?"」
淑女「あなたに紹介したい生徒が居ましてね。ミカ、ご挨拶を」
ミカ「あっ……シャーレの先生……こんなところで会うなんて奇遇だね」
「"あ、ミカ。ベア先生、この子吸っていい?"」
淑女「ええ、構いませんよ」
「"……ベア先生が生徒を私に吸わせる訳がない……貴女は誰ですか?"」
ミカ「……吸ってもいいよ」
「"ミカが言うなら吸うね。あぁ……甘い香りが堪らない……"」
ミカ「……ごめん先生」
「"えっ?あっ、そのタブレットは……"」
淑女「よくやってくれました。これであなたに銃弾が届きますね」
「"ベ、ベア先生?確かに私はいつも生徒にセクハラとかしてるけど……何もそこまでしなくても"」
淑女「黙れ」
「"!?"」
淑女「お前は許さない……あれと同じ姿をしているお前だけは!」
淑女は怒りと憎しみを込めた弾をシャーレの先生に向かって数発撃ち込んだ。生徒達とは違いただの人間であるそれは痛みで暴れ回っている。その姿を見て思わず愉悦に浸ってしまう程満たされていた。そう、その反応が見たかったのだ。
淑女「所詮お前はシッテムの箱が無ければ猿同然。嗚呼、実に気分が良いですね。お前を殺す為だけに用意した特製銃弾のお味は如何ですか?痛いですか?痛いですよねぇ?だから撃ったんですよ」
ミカ「……ねえ、何もここまでしなくても良かったんじゃ……」
淑女「お前は黙って私に従ってろ!!」
ミカ「ひっ……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
淑女「せっかくの良い気分が台無しです。やはり生徒なんて搾取する事以外価値がない屑です」
ミカ「ごめんなさい……もう余計な事は言わないから……」
淑女「次はありませんよ。……さて、この転がっている虫の息であるゴミをもう少しだけ利用させてもらうとしましょう」
ーーー
黒服「ようやくトリニティの自治区に入りましたか」
ホシノ「疲れたね……」
ナギサ「申し訳ありません……まさかほとんどの道が工事中になっているとは思わず……」
黒服「それはナギサが謝る事ではないと思いますよ」
ホシノ「そうだね。こればっかりは仕方ないと思うよ」
ナギサ「アビドスのお方はお優しいのですね……そんな方に私は銃口を……」
ホシノ「な、ナギちゃん……そんな自責の念に駆られなくても……」
ナギサ「ですが……」
ホシノ「大丈夫だって、『先生に銃口を向けた事は絶対に許さない』けど気にしなくていいよ」
ナギサ「う゛っ゛」
ホシノ「うぇぇ!?大丈夫!?」
黒服「ホシノがとどめを刺しているように見えましたが」
黒服とホシノは(シロコのせいで)ナギサの依頼を受ける事になりトリニティに向かっている最中だった。後輩達は準備があるらしく遅れてくるとの事。
ナギサ「……少々取り乱しました。もう大丈夫です、さあ向かいま……ミカさん?」
ミカ「ナギちゃん!?どうしてこんな所にいるの!?」
ナギサ「ミカさんこそ何故このような場所に?」
ミカ「そんな事は後!今大変な事になってるの!お願い、着いてきて!!」
ホシノ「ありゃ、あの子行っちゃったよ?」
ナギサ「明らかに様子がおかしいですね」
黒服「……追いかけてみましょう」
ホシノ「でも……何かの罠だったら危ないよ」
黒服「彼女は胸元にナギサと同じバッジを付けていました。つまりトリニティにおいてはナギサと同等な立ち位置にいる存在なのでしょう。ならば恩を売っておくのがいいと思います」
ナギサ「確かに彼女……ミカさんは私に並ぶ権力者です」
ホシノ「それはいいんだけどさ……胸元、見てたんだ」
黒服「たまたま視界に映っただけですよ」
ホシノ「ふーん……」
ナギサ「(やはり殿方は胸が好みなのでしょうか……)」
黒服「……早く彼女を追いかけますよ」
ホシノ「分かってるよ」
黒服「?」
ホシノ「ナギちゃん、さっさと行こ?」
ナギサ「え、ええ……」
何故機嫌を悪くしたのか理解できていない黒服とちょっぴり不機嫌になったホシノと巻き込まれたナギサはミカの後を追う。そこに居たのは脇腹を銃で撃たれたシャーレの先生となんとか意識を保たせようと奮闘しているベアトリーチェだった。
黒服「これは一体……」
淑女「ミカ、ありがとうございます。連れてきてくださったのですね」
ミカ「うん。3人だけどいいかな?」
淑女「及第点です。では私の邪魔をしないように足止めをしておいてください」
ミカ「おっけー☆」
流れるようにミカはナギサに向けて銃口を向けて引き金を引く。咄嗟の事に身体が固まってしまうナギサとそれを守るホシノ。彼女達はそのまま戦いを始めるだろう。
淑女「黒服……まさか貴方も教師に落ちぶれているとは思いませんでしたよ。しかしそんな事はどうでもいいです。黒服、私はお前が存在しているという事実だけで殺意が湧いて仕方がありません」
黒服「……ほう、私に銃を向けるとは。案外早く結果が出そうですね」
淑女「命乞いをするなら聞いてあげてもいいですよ?」
黒服「ゲマトリアとは対等の関係。貴女に下げる頭など存在していません」
淑女「……実に不愉快です。死になさい」
ーーー
ミカ「(私はどうしてあんな人に従っているんだろう。確かにゲヘナの事は嫌いだったから協力はするけどシャーレの先生を撃つ必要はあったのかな……ううん、今は時間稼ぎをしないと)」
ホシノ「怪我しないうちにやめておいた方がいいと思うけど……」
ナギサ「油断をしてはいけません。ミカさんはトリニティの中でもかなりの実力者です」
ホシノ「そうなんだ。それにしてはそこまで強さを感じないよ?」
ミカ「……ふぅん?そんなに私の本気が見たいんだ。それなら見せてあげるよ」
ホシノ「いいからさっさと終わらせて先生を……」
守らないと、という言葉は発砲音にかき消された。その刹那、動悸と冷や汗が止まらなくなる。心臓の鼓動が早くなる。何処から聞こえたのか、そして誰が誰を撃ったのか。答えを知りたくない。しかし頭では理解している。恐る恐る振り向いた先には高笑いをしている淑女と…心臓を撃たれて倒れている先生の姿が見えた。