ミヤコ「……ここは?」
ユウカ「広い空間に出ましたね……」
ハナコ「あれが淑女なのでしょうか。なんて禍々しい……」
ワカモ「淑女?うふふ……今すぐにでも息の根を止めて差し上げましょう!!」
ノドカ「いえ、あれは淑女ではありません。ずっと先生を見ていたのであんな紫色と接触していませんでした!」
ミヤコ「成程。……ずっと先生を見ていた?詳しくお伺いしても?」
チナツ「尋問は後にして一先ずはあれの対処から始めましょう」
ミヤコ「失礼、取り乱しました。では各自配置に……」
指示を出そうとした直後目の前に存在する異形が指揮を始め周りに居る群勢が奏でる。思わず引き込まれてしまいそうになる音色に抗うように発砲をして戦闘を開始した。
初めの方は善戦出来たものの演奏が長引くにつれて徐々に追い詰められていく。連携も崩れていきやがて曲の終了と共にとてつもない不可ダメージを喰らって全員膝をついてしまった。
ユウカ「まさかシールドを貫通してくるなんて……計算外よ」
ミヤコ「まだ撤退をする訳には……」
チナツ「ハナコさん、この薬剤を霧状にして散布しましょう。一度体制を立て直して再挑戦を」
ハナコ「……そうですね。命が尽きてしまう前に退散するのも手です」
ノドカ「それが良いです……」
ワカモ「情けない方々ですわね。いいでしょう、私は1人でもかの者を滅ぼすまでこの命を燃やしましょう。『私の』先生を傷つけた対価は支払って頂かないといけませんから」
「"気持ちは嬉しいけど死んで欲しくはないよ"」
ユウカ「先生!?どうして此処に……」
「"それは後で話すよ。今は……うん、酷い状況なのは分かったよ"」
ミヤコ「ここから立て直すのは至難です。しかし私は……いえ、私達は先生を信じています」
チナツ「共に試練を乗り越える共同作業を始めましょう」
ノドカ「私も倒れていられません!」
ハナコ「全指揮をあなたに委ねます。信頼出来る大人であるあなたに」
ワカモ「うふふ……愛の前では無力という事をあの醜い化け物に教えて差し上げましょう♡」
ユウカ「……先生、ちょっとお時間いただきます!」
「"……皆いくよ!"」
生徒を指揮する者、先生。異形の指揮者『グレゴリオ』。2人の指揮者が互いに見合う。グレゴリオは何もせずこちらを眺めていたがシッテムの箱を構えた姿を見るとそれに応えるように指揮を始める。
ミヤコ「(……やはり先生の指揮は凄いです。身体が軽く感じます)」
ワカモ「(嗚呼、これがあなた様の愛なのですね。なんて心地よいのでしょう……)」
演奏が、指揮が長引けば長引くほど不利になった先程は違いこちらの勢いが増していく。歪だった連携が先生というピースが揃った事によりシナジーを生んでいるのだ。まるで所属が違う学園でも同じ方向を向いて歩けると証明するかのように息が合っている。
やがて主導権を奪われた異形の指揮者はタクトを床に落とした。その好機を見逃す事なく畳み掛ける生徒達。こうして蒼き指揮者の炎は燃え上がる事もなく塵となって消えたのだった。
「"皆お疲れ様。疲れただろうし休憩でも……"」
ハナコ「『休憩(意味深)』!?まあ♡」
チナツ「先生は私と休憩をするべきです」
ミヤコ「いいえ、ウサギではない私に構ってください」
ノドカ「サインください!」
ワカモ「……目障りな蝿が増えましたね。駆除しなければ……」
「"うんちょっと落ちつこうか"」
ユウカ「……先生。来てくれてありがとうございます。それと……あなたが先生で良かったです」
「"あ、ありがとう"」
ーーー
淑女「ああ忌々しい!何が生徒ですか!所詮使い捨ての道具に過ぎないと言うのに!やはり心臓を貫いておけば良かったですね。……いえ、まだこちらには数千規模の兵士が居ます。疲弊した奴らの元に送ればジリ貧になるでしょう。精々束の間の安息に浸っているといいですよ」