一般日本人が転生する話。 作:あうん
「ーーというわけでして〜」
「……」
母にことのあらましを伝えた。母は微笑んでいる。いやぁ昨日今日ですみません。あはは……。
母は俺の話に頷いて。
「タジマ様はあとでお説教ですね」
俺は聞かなかったことにした。
「肩が痛いのでしたね。かわいそうに。見せてご覧なさい」
はい。
「なんて痛々しい。とても痛かったでしょう。すぐに治してあげますからね」
母は俺の肩に手を当てた。手当するから手を当てたんか?ワハハ。
所詮この時代の医療ではなぁ!
母の手が緑色に光った。
!?!?
痛みが和らいでいく。何その技術!?
母の手が離れた。赤黒かった肩がすっかり綺麗な肌色である。まじか。現代越えじゃん……。
更に俺のほっぺを掴んで。顔面の擦り傷も治してくれた。
「痛みは引きましたか」
「はい!すごいです!母上ありがとうございます!」
母は俺をよしよしした。ママ〜。
「昨日はイズナに悪いことを言ってしまいました。ごめんなさい」
「……」
「また会いに来てくれて母は嬉しいです」
母の微笑みが深くなった気がする。美人ダナ!
「一緒に暮らすことはできませんが、いつでも遊びにいらっしゃい」
「はい!」
え〜もう母優しい好き〜!
俺は欲を出した。
「ハンバーガー食べたいです!」
「それはできません」
昨日はくれる言ってたじゃん
嘘つき!母嫌い!!!!
母の部屋から出る。お腹すいたな……。朝ごはん戻しちゃったし。昼はまた食いっぱぐれるてるし。俺の腹は空っぽのその先に行ってしまいそうだ。
……もう夕飯の時間かぁ。
タジマ、マダラと一緒に食事を摂る。
空腹は最高のスパイス!めちゃうまい!生を実感する。このために生きてきたんだよなぁ!?
美味い飯は元気の源である。
ごちそうさま〜。
マダラがやっぱり話しかけてくる。うんうん。うんうんうんうん。
蓬餅を食べる。もちもちもち。美味しいね。苦味がいいアクセントだ。甘いだけじゃないところがにくらしいぜ。
爪楊枝が欲しいな……。
おっさんくさいが歯を大事にするなら体裁など気にしている暇はない。食後すぐに歯磨きがベストだけどマダラが構って欲しがるからさあ。
「イズナ、今日ちゃんと休めたか?」
「あーそれはねーー」
コホン。
タジマが咳払いを一つ。マダラも俺もタジマの方を見る。タジマは俺を一瞥して茶を啜った。
なるほどね。俺は頷く。そしてマダラの方を向いて。
「実は死にかけてさぁ」
「ゲホっ」
「死に!?」
タジマが咽せた。マダラは顔を青ざめた。
「な、なんで……」
ああマダラよ。
お前のせいって言ったらどうなってしまうんだ。
からかいがいがっあって大変結構。
「それはね、……っふ」
だめだ堪えるんだ。
……いや無理!
「あはは!」
俺は笑った。
マダラはきょとんとした。
タジマはまだ咽せている。
「そんな連日、死にかけるわけないじゃん!兄さん騙されたね〜」
「な!」
「あははは!」
俺は嘘をついた。優しい嘘ってやつだぜ。
マダラは目を白黒させている。
は〜面白い!タンス事件はこれでチャラな!
「イズナ」
「あはは…はい?」
復帰したタジマが俺を睨んでいる。ヒッ。
「タチの悪い冗談を言うのは、禁止です」
「はひ……」
タジマこわひ……。
雨だ。いつの間に降り始めたのだろう。縁側を走る。
俺はマダラを追いかけていた。こいつ足が速い……!
「兄さん、待ってって!」
「ついてくんな!」
「俺に風呂に入るなと!?」
「そうじゃねぇよ!」
「そんなに怒ることないじゃん!」
「怒ってねぇ!」
「怒ってないの!?」
「怒ってる!!」
マダラはおこだった。激おこだった。
まあ俺もあんなこと言われたらキレるよ。わかるぜ。その気持ち。
やれやれ。年上の俺が格の違いを見せてやらないとな……。
「ごめんて!」
「うっせぇ!」
はぁ!?謝ってるのになんだその言い草はァ!
というかまじで足が速い。俺は全力疾走なのにマダラは早歩き程度。身体能力の差がエグい。小さい時の年齢差って残酷……!
「に、兄さん。ほんとにちょっと待って!」
「だから、ついてくんなって言ってるだろ!」
「……」
確かに。追いかける必要ないじゃん。どうせ風呂場で合流するんだし。
無駄な体力使った……。
俺は足を止めた。
マダラは俺を置いて去っていった。と思う。
しゃがみ込んだ。
ま、まずい……。
全力疾走したせいで、吐き気が……!……またかぁ!?
いやいや。ちょっと走っただけじゃん!食後の運動がまずったか。それ朝のタンス事件にも言えますね!?原因を特定できる俺って頭いいにも程がある。これからは気を付けよう!
それはそれとしてどうしよう。この吐き気。
……一日に二回も吐いたらさあ!タジマにまた冷たい目で見られるの!?ヤダァ!!
「……?イズナ?」
「……」
「どうしたイズナ!?」
マダラの声がした。ちょっと返事できないです。
駆け寄ってきた。
俺の肩を揺さぶってくる。お前さァ!!!?
咄嗟に目の前の服を掴む。
マダラのせいでまた吐いてしまいました。あーあ。
「うええ……」
「ごめんな……」
謝んなよ。惨めだ。
俺が落ち着くまでマダラは背中をさすってくれた。
「……もう大丈夫」
「本当か?」
「ぅん」
喉がイガイガする。口を濯ぎたい。
とりま、
「兄さんお風呂、いこ」
「おい……本当に大丈夫か?」
「大丈夫だから、いこ!」
「……ああ」
マダラが悲惨なことになっていることを、解決したい。
浴室に入る。桶で風呂のお湯を汲む。マダラにかけた。
ざばばー。湯加減いかがですか〜。
「……」
「……」
またお湯を汲んで、マダラの悲惨服を桶にぶち込む。洗おう。証拠隠滅だ。
蓬餅の緑色ぉ……。悲しい……。
「はあ……」
「俺が洗うから、風呂入ってろ」
マダラが桶を取り上げた。人のもん勝手にとるな!
「いいって。返して兄さん」
「気にすんな」
気にするわ!嫌だよ俺の不始末をやらせるの!
「いいから返して〜!」
俺はマダラに掴み掛かった。ぐらつくマダラ。
「あっおい!」
マダラの持っている桶の中身が。
「……」
「……悪ぃ」
お互いゲロまみれだな!あはは!!!!
「も〜最悪!」
バシャバシャと全身を洗う。ついでにマダラも洗う。石鹸の質悪ぃ〜!
マダラから桶を取り返して、ゲロを落とす。餅とれね〜!全くも〜!
「兄さん余計なことしないで!」
「悪かったって……」
謝るマダラを無視して泡を落とす。シャワーが欲しいよ〜。
全部終わらせて、マダラを風呂に入れた。俺は浴槽の縁に腰掛けて足湯。熱いし。
はぁ。全く。マダラは手間がかかる。
「兄さんさぁ」
「何だよ……」
「気絶したのも、吐いちゃったのも兄さんのせいじゃないから」
「いや……」
「俺が病弱なのが悪いんだからさ。あんまり気に病まない方がいいよ」
「……」
五歳児には難しいかな?
……そうだ。こいつ五歳なんだよな。よくやってる方だと思うぜ。
「兄さんって俺来る前はお風呂一人で入ってたの?」
急な話題転換。話が弾まない時はこれに限る。
「……ああ」
「いつから?」
「一昨年、か?」
「ええ……」
三歳って、コト!?今の俺と同じ時期から一人って。
俺ならともかく普通のキッズにやらせていいことじゃないと思う!
タジマさぁ!
「父上許せねぇよなぁ!?」
「は?急に何だよ?」
「ネグレクトだよ!」
「ね、ねぐ……?」
「兄さんは父上にキレてもいいと思う!!」
「そうか……?」
「戦いに出るのもさぁ!ありえないよね!?」
「うーん?」
マダラに訴えてもわからんか……。可哀想な子……!俺が守護らねば……。
「五歳で初陣とかバカだよ!」
「バカって……お前なあ」
「タジマのバカ!」
「呼び捨て!?」
「あんなん父親じゃないわ!」
「そんな言うなって!」
毒親を庇うマダラ。もうほんと辛い……!
「無理やり戦いに行かせてんだよ!?兄さんを!カスだよ!」
「そ、そこまで言わなくてもいいんじゃねえか!?俺が戦いに行きたいって言ったからだって!」
「はぁ!?何で!?」
戦闘狂!?
「……兄貴が、死んじまったから……」
「……」
「父上にもまだ早いって言われた。俺が、無理言ったんだ」
あ……兄貴……?俺、次男じゃなくて三男だったんだ……。
し、知りたくなかった……。
「そう……」
「だから、父上のことあんま悪く言うなよ」
いや……!
「いいや、それでも許せん!」
「俺が悪いんだって!」
「何でそこまであいつを庇うの!?」
「お前こそ何でそんなにキレてんだよ!?」
質問に質問で返すなァー!
俺は足蹴りでマダラの顔面にお湯をぶち当てた。
「うぶっ何すんだ!」
「ばーか!マダラのバーカ!!」
「はぁあ!?」
「ハゲ!!」
「ハゲてねぇ!」
バシャバシャと足で攻撃するが、マダラはそれを全て捌いて俺の足を掴んだ。こいつほんと運動神経だけはいいな!
そのまま引っ張られて風呂に落とされる。あっつい!鼻から飲んじゃった!痛い!
「ふざけんな!バカ!」
「俺はバカじゃねえ!」
「バカバカバカバカ!」
「だー!ウルセェ!」
俺はのぼせた。