一般日本人が転生する話。   作:あうん

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ちょっとした復讐心と度胸試し。

マダラのせいですっかりのぼせた俺はマダラの背中におんぶに抱っこだった。

 

「うう……」

「自業自得だバカ」

 

バカって言われた!マダラに!!

 

「バカって言う方がバカなんだが!?」

「お前の方が言ってんだろ!?お前の方がよっぽどバカってことじゃねーか!」

「俺がいつ言ったって!?何時何分何秒!?地球が何回回った時!?」

「だー!ウルセェウルセェ!!」

 

やいのやいの言い合いながら夕飯への道をゆく。

背負われているので非常に楽だ。マダラ号便利。

 

……なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないのだ。

 

「そもそもさあ」

「ん?」

「兄さんが嘘ついたのが悪いんだよなぁ」

「そもそもって……いつ嘘ついたんだよ」

「くすぐったくないって嘘ついたよね」

「いやそれは……」

「嘘つかなかったら、俺はのぼせてないんだよね」

「……俺のせいって?」

「そう言ってんの!」

「……」

「これからは嘘ついちゃだめだよ。兄さん!」

「……」

「ちょっと聞いてる?」

 

マダラは黙った。納得していないご様子。

いじけちゃった……?うざぁ……。

 

 

部屋に戻る。夕飯の準備ができていた。タジマももういる。全く濡れてない。雨の中マダラと修行したはずでは?プロの忍者だから?

マダラから降りて、自分の座布団に飛び乗った。ご飯ご飯〜!お腹空いた!!

ほら早くマダラも座んな。

 

「兄さん早く食べようよ」

「……」

 

無視すんな!

動かないマダラを見かねたのか、タジマが声をかける。

 

「どうしましたマダラ?」

 

むすっとした様子のマダラが口を開く。

 

「イズナが写輪眼使った」

 

!?

 

おまっ!?裏切ったなマダラああああ!!!!

 

 

 

 

俺は弁明した。

 

「違いますマダラの嘘です!!」

「嘘じゃねぇ!使ってたろうが!」

「使ってない!」

「嘘つくな!」

「俺嘘つかない!」

「思いっきりついてるじゃねーか!」

 

「落ち着きなさい!!」

 

一喝。

ううタジマこわ。

 

黙る俺とマダラ。後で覚えてろよ……。

 

「イズナ。どうなんですか」

「……使えません」

「っだから!」

「マダラ」

「!」

「今はイズナに話を聞いています。少し黙りなさい」

「……はい」

 

マダラが今度こそ閉口する。へっ怒られてやんの。

俺が笑ったのを見てマダラが俺を睨んできた。俺も負けじと睨み返す。

なんだよまじこのクソガキ。ちょっと言い負かしただけなのに。あんまりだ!

 

「イズナ」

「っ……」

 

タジマが俺をまっすぐに見る。俺は目を逸らした。

あーもうどうしよう。写輪眼使えるってなったら戦場に行くの早まる気がする。五歳で最低ラインでしょ?どうにかこうにか誤魔化して十歳……いや十五……。できるなら一生戦場なんか行きたくないんだけど。

……無理かなぁ。

とにかく今はタジマだ。なんとかしなくては。

 

「じょ、冗談だったんです。兄さんをちょっと、からかおうと、思って」

「写輪眼が使えると嘘を?」

「……」

「イズナ」

「っはい!そうです!嘘をつきました!ごめんなさい!!」

「そうですか。マダラ、どうなんですか?」

 

タジマはマダラに話を振った。

マダラは水を得た魚のようにベラベラ話し出した。もー黙っててほしい!

 

「イズナが写輪眼を使ったんです!昨日の朝と、今日の風呂でも!」

「なぜ使ったのかわかりますか?」

「朝は、えっと、イズナが泣いて、」

 

泣いてたのはお前の方だろーが!!

 

「泣いてない!」

「イズナ。黙りなさい」

「うっ……!」

「ハッ!」

 

マダラが俺を笑った!許せない……!

 

「マダラ。それで?」

「写輪眼のことを、父上に内緒にするように、って言われて」

「ほう」

「それで、風呂で、俺が水面歩行を見せて追いかけっこになって。その時に、また使ったんです」

「なるほど」

 

全部言うじゃん……。こいつほんと。

タジマが眉間に手を当てた。

 

「どちらが本当のことを言っているのでしょうね?」

「……」

「本当に使ってたんです!風呂で足を掴んできた時に!」

 

マダラまじ黙れ。

 

……まあでも。実はそんなに焦ってない。

マダラがいくら言ったところで。俺が写輪眼を使わなければ。証明できやしないのだ。

もちろん俺は写輪眼を見せる気などさらさらない。

バカだなほんと。

 

「埒があきませんね」

 

タジマはため息をついた。

俺もため息つきたいよ。すみませんねマダラのアホが。

 

「父上。俺が写輪眼を使えるはずないじゃないですか。くだらない話はやめて、早くご飯を食べましょう」

 

俺はお腹ぺこぺこなの!

 

「そうですね。……仕方ありません」

「父上!」

 

タジマは再びため息をついた。マダラは納得してないがこれはもう決まったな。

さあご飯である。

正面に座り直して、手を合わせる。いただきまーー

 

 

瞬き。視界がひっくり返る。

 

「っが!は、?」

 

背中に衝撃。息ができない。

なんだなんだ!?本当に。

 

え?

目の前にタジマが。

赤い。

 

俺の首を掴んでいる。

背中に畳。

は?何で?

ご飯は?

 

「父上!?」

 

マダラの声が聞こえる。

 

タジマの手を掴む。

びくともしない。爪を立てる。変わらない。足をばたつかせる。何も、変わらない。動けない。逃げられない。

赤い目が。俺を見ている。

 

俺の目を覗き込んでいる。

 

視界の端っこに。タジマは懐から苦無を取り出した。

どうするの。それ。

待って。

 

 

 

 

 

 

「っヒ、……」

「マダラが、正しかったようですね」

 

目の前に苦無の切先。目に突き刺さる寸のところで。

黒い目が見える。タジマの目はもう赤くない。なのに。

鈍く光る苦無。赤が。ちらついている。

 

タジマが手を離した。

天井が見える。

頭がジンジンする。

心臓がうるさい。

 

「イズナ」

「……」

「私に嘘をつかないように。マダラにも、です」

「……」

「いいですね」

「……はい」

「この話は終わりです」

「……」

「座りなさい」

 

……。

体を起こした。震えている。手足の感覚が、よくわからない。

よろけて。座布団に戻る。

まだご飯が温かい。手を合わせる。

いただきます……。

箸を取る。うまく掴めない。茶碗が持ちにくい。

こぼさないよう。ゆっくりと食事を口に運ぶ。

口を開いて。

 

ぼたりと。涙が落ちた。

 

「男がすぐに泣くものではありませんよ」

「……申し訳、ありません」

 

喉が引き攣っている。喚き叫び出してしまいそうだった。

瞬きなどしない。早く乾いてくれ。

それでも顎を動かす度に、涙がこぼれ落ちる。

タジマはそれ以上追及しなかった。

 

「マダラ。お前も早く食べなさい」

「……」

 

マダラを見る。立ち尽くしている。涙でぼやけていて、それでも、青褪めているのがわかった。

俺も、きっとそんな顔色だ。

 

「マダラ!」

 

体が跳ねる。

 

「いつまでそうしているつもりですか」

「っ……」

 

動かないマダラ。

俺はマダラに助け舟を出した。ゆっくり、震えないように。

 

「兄さん。ご飯、美味しいよ。……冷めちゃうよ」

「…………あぁ」

 

俺に話しかけられて、やっと動けるようになったらしい。

マダラは自分の席について食事をとりはじめた。

沈黙。

口で呼吸する。

ほんの少しの音も、立てたくなかった。

 

 

食事を終える頃には涙も止まっていた。目が腫れぼったい。寒い。息苦しい。

タジマはいなくなっていた。

女中が食器を下げる。俺の様子を見ても何も言ってこない。

食後のおやつに煎餅が置かれた。三枚。さっさと食べて歯を磨いて寝たい。

煎餅を齧る。

 

……めっちゃ美味しい!!!!!!!?

 

「うま!?」

 

醤油の程よいしょっぱさ最高。泣いたから塩分が効くのよ。硬めの歯応えがたまらん。口の中で砕くたびに鳴る音が心地よい。日本で売ってる煎餅と肩を並べるクオリティである。やばすぎ!!

ちょっと〜こんなに良いものがあるならもっと早く出してよね!毎日食べたいんですけど〜!

俺は鼻をすすった。鼻が詰まってこれなのだから、鼻通りのいい時とかもっと美味しいに決まっているのだ。舌だけでなく嗅覚も食を楽しむには必須なのである。

あ〜あ。こんなに美味しいものがこの世にあるとはなぁ!!まだまだ異世界捨てたもんじゃないぜ!

俺は上機嫌になった。

 

「い、イズナ……」

「んぐ?」

 

そういやマダラがいた。なんだよ。今いいとこなんだけど!

変わらず青い顔。繊細なやつ。

お前も食えよ。飛ぶぞ。

煎餅を飲み込む。もう一枚と皿に手を伸ばすが。空。え。もう全部食べちゃった!?うそ!もっと味わって飲み込めばよかった!がーん!!

 

「わ、悪かった……あんな父上が、するって、思ってなくて」

「いいよ大丈夫許したからその煎餅食べないならちょうだい」

「え」

 

俺はマダラの皿を指差す。ちょっと今の俺は凶暴だぜ。その煎餅よこせ。

五歳児相手と言えどこの煎餅は譲れない。

俺は餓鬼に堕ちた。

 

「うまうま」

「……」

 

計五枚の煎餅を平らげ。

最後にお茶で口をリフレッシュ。ごちそうさまでした〜。いや〜今日はいい日だった〜!

俺は立ち上がって部屋から出た。ん?マダラがついてこない。

部屋に戻ってマダラを呼ぶ。

 

「おい!行くぞ!」

「ど、どこにだ?」

「は み が き!!!!」

 

やっぱダメだな一日じゃ。習慣づけるには毎日引っ張ってかないと。マダラの歯が虫歯まみれになったら可哀想だ。俺が守護らねば……。決意を固める。

 

 

歯を磨いた。マダラの歯磨きが雑なのでめちゃくちゃ指導した。夜は念入りに磨きなさーい!

部屋に戻る。だいぶ時間かかったな。マダラのせいである。

やれやれ。

 

「はぁ疲れた〜」

 

布団にダイブする。冷て〜。

 

「兄さん一緒に寝よ〜」

「あ、ああ……」

 

えらく寒いので、俺はマダラを召喚した。

実質湯たんぽ。しかも冷めない。更に言うなら抱き枕機能付き。

それがなんと、今なら無料!やべぇぇ!!

 

「兄さん最高!」

「何でそうなるんだ……?」

 

俺は眠かったので無視した。

 

「おやすみなさい!」

「おやすみ……」

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