一般日本人が転生する話。   作:あうん

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バカと天才は紙一重って言うじゃん。

「ううーん」

 

朝だ。寝ていたらしい。天気は雨。

汗をかいたのか服が気持ち悪い。手がベタベタしている。お風呂入りたい〜。

 

寝返りを打って、う、打てない。マダラが俺に組み付いている。動けねぇ。力強くない?びくともしないんだけど。寝ててこの力は事故ると人が死ぬ……。

つまり俺が被害者に!?

 

「兄さん〜」

「……」

 

返事がない。

 

「し、死んでる……」

「……」

「……」

 

冗談はさておき。熟睡しているマダラ。昨日は母の高級膝枕で昼寝も挟んだし、ちょっと早く起きちゃったかなぁ。

暇だなぁ。

本の続きでも読もうかなぁ。

俺は腹でチャクラを練って腕からチャクラ糸を出した。糸でタンスをこじ開ける。

チャクラは電導しないらしい。ふん。雷遁がなんぼのもんじゃい。タジマ破れたり!

 

「雑魚が」

「ほう……?」

 

!?

 

「……」

 

左右を見る。タンスと。マダラのせいで障子側がほとんど見えない。

き、気のせいか……?

俺の顔に影がかかる。タジマが立っていた。

気のせいじゃなかった……。

なんでいるの……?

 

「箪笥に触れるのは禁止と言ったはずですが。チャクラで触れるのも、禁止。分かりませんか?」

 

ゲェ!!バレてる!というか目撃されてる!

 

「う、うう」

「どうなんですか?」

「わ、分かりませんでしたっ!」

 

タジマはため息をついた。

 

「お前は頭が悪いんですか?」

「ひどすぎる!?」

「酷すぎるのはお前の知能です」

「そんなぁ!」

 

すごい傷付いた!!親が子供に言うことか!?毒親にも程がある!

 

「ぐすんぐすん」

「こんなことで泣かないでください」

 

こんなことって!

 

「泣いてないですうっ!」

「……」

「……」

 

無言やめてくんない??

 

「……なぜ父上がいるんですか?」

「マダラからイズナが気絶したと聞きましてね」

 

起きるまで監視していました。

 

「えぇ……」

「……病弱に振る舞えと言いましたが気絶しろとまでは言ってませんよ」

「わ、わざとじゃないんです……!」

「写輪眼を使ってまでチャクラを枯渇させたのがわざとでないと?」

「不可抗力です……!!」

「どう不可抗力なのか説明しなさい」

 

えーと。何があったんだっけ?思い出す。

ああそうだそうだ。

糸ようじをどうしても使いたくてたまらなくなったこと。

糸ようじをチャクラで用意できればいいと思いついたこと。

頑張ったらできたこと。

マダラに糸ようじをしてあげて力尽きたこと。

 

……ってこの手のベタベタもしかしてマダラの涎……!?きもーい!早急に洗いたいんだけどぉ!!

 

「ということで手を洗いたいです!!」

 

マダラを引き剥がしてくれ!

 

「マダラが起きたらにしなさい」

「なんでさ!」

「イズナを心配していましたよ。あまりマダラを困らせないように」

 

……。

 

「すみません……」

「それはマダラに言ってやりなさい」

「はい……」

「……」

「……」

 

タジマはため息を一つ。

 

「お前は言っても言わなくても分からないんですね」

 

待って!?そこまで言う!?

 

「そんなことは!」

「この数日でよく分かりました。お前には説明しても無駄です」

「い、いや父上ぇ!」

「なので」

 

タジマは仄暗い笑みを浮かべた。

えっなに!?

 

「悪いことをした場合、問答無用で食事を抜きます」

 

……。

 

「はあぁ!?!?」

「お前にはこれが一番効果的でしょう」

 

タジマは部屋から去ろうとする。追いかけようにもマダラのせいで体を動かせない!!

 

「まっ、待ってください父上ぇ!!」

「今日の朝食は食べてもいいですよ」

「い、いやっそれはありがたいけど、待てぇ!」

 

俺はチャクラ糸をタジマに伸ばした。

スッスッと避けるタジマ。

なん……だと!?

 

「ほう、一日でここまでできるようになるとは感心です。ですが、雑魚一人捕えられないようではまだまだですね」

 

雑魚って言ったこと根に持ってる……!!?

 

「違うんです!誤解です!!」

「これからも励むように」

 

ピシャリ。障子が閉まった。

 

う、うわぁ〜!!タジマのバカ〜!!

 

 

ううう。とんでもないことになった。

食事にすら不満があるとはいえどこの世界の唯一の楽しみと言っていいのに。それを「悪いこと」をしたら食事抜きだって?アバウトすぎる!タジマの匙加減一つで飯抜き!?くそがぁ!!

なんとか、なんとか打開策をだな。タジマに撤回させないと。ご飯ないとか生きてる意味ないから!

 

「ん……」

「……」

 

もぞもぞとマダラが動き始めた。

あんなに叫んでたのに全く起きる気配なかったのやばいだろ。

こいつのせいで気絶する羽目になったんだ。歯磨きをマダラがちゃんとしていれば。気絶しなければタンスを開けることもなかった!許せない……。

いつまで寝こけてやがる!

 

「兄さん〜!!起きて〜!!」

「んぅ……」

「はよ起きろ!!しばくぞ!!」

「……?ん、?」

 

やっと起きたらしい。拘束が緩んだ。マダラを引き剥がして布団から飛び出す。

 

「おはよう!!」

「ぉ、おはーー」

 

俺は手洗いに走った。手のベタベタが本当に気持ち悪すぎた。

 

はーやれやれ。手を洗ってスッキリである。

部屋に戻るとマダラが布団を畳んでいるところだった。ありがとう。

 

俺はタンスに向かった。

一応手を洗う際ついでに体を拭いた。汗で冷たくなった服を着直す気はない。上裸である。

着替えなくては。

目的の服は上段にある。とてもではないが俺の背丈では届かない。触るとビリビリするので登るのは厳しい。チャクラ糸で開けてもここからでは引き出しの裏しか見えない。適当にチャクラ糸を突っ込んで服を引っ張ればいいかもしれないが……手足と違ってチャクラ糸は触覚がない。死角になってて服を掴んだか分からない。困ったな。

どうしたものか……。タンスを睨みつける。

 

「……」

「どうしたんだイズナ?」

 

布団を畳み終わったマダラが話しかけてきた。

こいつが役に立つとは露ほども思わないが、一応相談してみる。

 

「着替えたくって」

「?着替えればいいじゃねぇか」

 

タンスを指差す。

 

「高いところにあるから取れないんだよね」

「ああ」

 

納得したらしい。

マダラは一つ跳ねてタンスの上に飛び乗った。

まじかよマダラお前すごすぎない!?身体能力が異常すぎる!今のうちにサインもらったほうがいいかな!?

驚いたのも束の間。

 

「っテェ!?」

 

タンスの反撃を喰らったのか、マダラはタンスから即座に飛び降りた。事故ることなく綺麗に着地。

俺があんなに必死こいて上り下りしたのを一瞬で……。

マダラすごーい!

俺は拍手した。

 

「兄さんってやっぱり天才だね!」

「は?何が?」

「将来絶対大物になるよ!」

「??そ、そうか?」

「うん!!」

 

満更でなさそうなマダラ。

まあ服を着替えるのには役立たなかったけど、面白いもん見れたからいいわ。

 

……さてさて。改めてどうするか考えるとしよう。

 

「なあ」

 

なんだよ今集中しようとしてたのに。

 

「ん?」

「この箪笥どうなってんだ?バチっていったぞ」

「あぁ。雷遁の術かかってるんだって」

「ハァ?なんで?」

「タジマに意地悪されて」

「……」

 

全く困っちゃうよね。あいつには本当に。

マダラは俺をじっと見て、

 

「お前がなんかやらかしたんだろ」

 

!?

 

「はあ!?全然違うし!根拠は!証拠はあるの!?」

「この前父上がイズナに『箪笥で遊ぶことは休むに含まない』って言ってたろ」

 

なんて記憶力!?若さ故か!?誤魔化さねば!

 

「言ってないよ!」

「そうゆうとこだぞお前」

「んな!!?」

 

こいつっ!

 

「ウギギ……」

「……父上に頼んで開けてもらえばいいんじゃね?」

 

!!

 

「それはダメ!」

「なんでだよ?」

「そ、それは……」

 

さっきタジマに散々コケにされたのだ。

絶対にあいつにだけは頼りたくない……!

 

俺は自力でタンスを開けてみせるッ!!

 

……それにはマダラがタジマに告げ口することを防がねば……。

なんとか共犯者に仕立て上げるのだッ!!

 

「兄さん……」

「おう」

「これはね、修行なんだよ」

「修行?」

 

マダラが食いついてきた。修行大好きだもんな。

俺は頷く。至極真面目そうな顔で。

 

「父上からの修行。タンス一つ開けられないなんて忍としてどう思う?」

 

マダラは黙って聞いている。

 

「こんなことすらできないなんて、立派な忍にはなれない。そうでしょ?」

 

どうだ?

マダラはじっと考え込んで。

 

 

「……なるほどな」

 

頷いた。

 

マダラバカだね〜!

俺は笑顔になった。

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