一般日本人が転生する話。   作:あうん

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攻撃的すぎるタンス。

改めて、改めて。じゃあどうすんのって話。

協力的になったマダラに情報を共有する。

 

「一応、チャクラ糸を使えばタンスは開けられそうなんだけどさあ」

「チャクラ糸?」

「うん」

 

俺は腹からチャクラを練って糸を作り出した。

 

「これ」

「?見えねぇ」

「……」

 

写輪眼がないとなぁ。

 

「兄さんは写輪眼使えないの?」

「……ああ」

 

あ、ちょっとしょげちゃった……。やれやれ。

 

「兄さんもすぐ使えるようになるって」

「……そうか?」

「兄さんは天才だからね!」

「んだそれ」

 

マダラは苦笑した。俺の頭を撫でてくる。気安く触んな。

ま、俺の手にかかればガキの機嫌なぞお茶のこさいさいですわ。

チャクラ糸をマダラの腕に引っ掛ける。

 

「お?」

「チャクラ糸だよ」

「すげぇな」

「えへへ」

 

素直に褒められると嬉しくなっちゃうだろ!

マダラはチャクラ糸を掴んで遊びはじめた。引っ張ったりしている。

ふん。

 

「そんな簡単にちぎれないよ。たとえ天才の兄さんでもね!」

「む」

 

タンスを開けても切れない程度にはチャクラを圧縮している。昨日の特訓の成果だ。

ありがとう糸ようじ。

俺に挑発されたマダラは左右に思いっきり引っ張り始めた。無駄無駄。

 

ぶちん。

 

「えぇ〜!?」

「もっと頑丈に作れるか?」

「と、当然!!」

「ああ。頑張れ」

 

ドヤ顔マダラ。く、悔しい……!!

 

い、今のはちょっと油断しただけだし。

マダラが引っ張ることを想定してなかっただけだし。

こうなるって分かってたならもっとちゃんとチャクラ練ってたし!!

俺はチャクラを練りに練った。お、重……!でも絶対にちぎれない強度を実現しないと!

 

マダラにッ負けたくないッ!!

 

昨日の糸ようじ並の圧縮量で、より長くッ!目指すは完膚なきまでの勝利ッ!!

 

「これで、どうだッ!!」

「これ、昨日のあれか?」

「……あれって?」

「俺の口をなんかしてたやつ。眩しかったんだよな」

「??」

 

ま、眩しかった?なんのことだ?

 

「昨日必死にイズナが作ってただろ。チャクラ糸のことだったんだな。これなら俺も見える」

「へえ??」

 

見えるの?俺は目の力を抜いた。

わあ。青白く光ってる!

すごーい!

 

 

……じゃあ写輪眼いらねぇじゃん!!

普通に見えるんならわざわざ写輪眼を使う必要はない。写輪眼のチャクラ消費量えぐいんだよ。

昨日は写輪眼とチャクラ糸のチャクラ消費量が体感八対二だった。チャクラ糸は一度チャクラを練ればずっと遊べるが、写輪眼は継続的にチャクラを注ぎ込まないといけない。圧倒的に燃費がごみ。

写輪眼使わなくていいならチャクラ切れとはおさらばだ。タジマに嫌味を言われなくて済む!やったー!

 

マダラはチャクラ糸を手に取ってまた引っ張り始めた。今度こそ無駄無駄ァ!!俺の勝ち!!どうだ参ったか!!

何度か引っ張って頷くマダラ。

 

「これならいけそうだな」

「何が?」

「箪笥開けるんだろ?」

 

そういえばそうだった……。

 

 

 

 

では改めまして。タンスにチャクラ糸を伸ばす。引手に引っ掛けて。引っ張った。

 

「あ、あれ?」

「どうした?」

「開けられない……」

 

おかしいな。

 

いや、おかしくない。

 

原因はわかってる。引っ張ってもむしろ俺がタンスに引き寄せられるというか。踏ん張りがきいてない。俺が軽すぎるせいだし、力も足りない。

あと角度。一番下の引き出しと違って、上にある引き出しだとこの位置から引っ張ると真横に滑らない。

つ、詰んだ……。

湿った服を着直さなきゃいけないの……?ヤダァ!

 

「どうしよ〜……」

「……俺が手伝ってもいいのか?」

「え?い、いいけど」

 

別にマダラがいてもいなくても変わらないし、タジマに告げ口しないようにするために巻き込んだだけだ。

なんかできることある?

 

「わかった」

「うん?」

 

マダラはチャクラ糸を掴んで。そのまま後ろに跳ねた。

そこからぐいっと糸を引く。引き出しに水平になるよう完璧な角度で。

がこん。

タンスが開いた。

 

「うおおお!!」

「いけたな」

「兄さんすっごい!!」

「んな褒めても何も出ねーぞ」

 

いらないから大丈夫です。

俺を撫でるマダラ。ぼさぼさになるからやめてほしい。

 

「んじゃあ後は服を取るだけだな」

「うん」

 

下から取るのは難しい。手探りかつ触覚なしで服を漁らなくてはならない。

 

俺は思いついた。タンスが開いたならそのままマダラの超人的な身体能力を駆使してジャンプして取ってもらえばいいのでは?

なんだマダラも役に立ちそうなとこあんじゃん。

 

「兄さん兄さん」

「なんだ?」

「兄さんならひとっ飛びで服取れない?」

「それじゃあ修行になんねぇだろ?」

 

んが!

俺はゴリ押しした。

 

「いいから取って!!寒いの!!」

「……わーったよ」

 

ふふふちょろいぜ。

マダラはまた跳ねて、タンスの中にある服を掴んだ。すげぇ。

感心したのも束の間。

 

 

「ぅぐ!」

「え、兄さん!?」

 

 

マダラは服を掴んで、すぐに離してしまった。

畳に着地してそのまま蹲る。

右手を抑えている。

駆け寄って、マダラの手を見る。

 

うわっ!

 

服を掴んだと思われる部分が真っ赤になっていた。

雷遁のせい!?本触った時は痺れなかったじゃん!威力もこんな強くなかったはず。

 

なんで!?

 

「ちょ、これ大丈夫!?」

「だ、大丈夫だ」

 

んなわけあるか!大丈夫って聞いてもそう返ってくるよな!!俺のバカ!

 

「痛いよね!?母んとこ行こ!」

「こんぐらい、平気だ」

「そんなわけないじゃん!?早く行くぞ!!」

 

なんでこんなことになるんだ。タジマはそんな危険じゃないって言ってたのに!

 

「いい。母上には、迷惑かけらんねぇ」

 

は?

 

「あぁ!?!?」

「それより、服、着ねぇと風邪引いちまうだろ」

 

言うとる場合か!?

マダラは立ち上がってまた跳ねようとする。待て待て待て!!

チャクラ糸でマダラをぐるぐる巻きにした。マダラお墨付きの丈夫さだ。簡単にちぎられてたまるか!

マダラは畳に転がった。

 

「おい!離せ!」

「誰が離すか!!」

 

このまま母の元まで引き摺ろうとする。

重い!!しかもマダラが暴れるのもあって運ぶのには苦労しそう。これじゃ無理だ。

どうしよう!

とにかく、マダラの手をなんとかしないと。赤くなってるから多分火傷だと思う。

火傷になったら冷やせばいいはず、だよな!?

水は。風呂場?厨房か?

暴れ馬を連れてじゃどこも遠すぎる!

 

雨音が聞こえる。

外は雨だ。

 

障子を開けて外に飛び出た。縁側に出る。

寒い!

暴れるマダラを無理くり引っ張る。

 

縁側の戸を開ける。土砂降りだ。

 

好都合。

 

「マダラ!手出せ!!」

「いいから離せ!!」

 

こいつ暴れて話聞いてない!

写輪眼を使う。

一瞬チャクラ糸を緩めて、糸から抜けた右手を引っ掴む。

そのまま雨の中に突っ込んだ。

 

手が冷えて頭も冷えたのかマダラは大人しくなった。

 

「……」

「……」

 

引戸を腕が出るギリギリまで閉じる。これで体には雨が当たらなくなった。

雨の勢いが強い。

何分ぐらい冷水に当てればいいんだっけ?十分とか?一時間ぐらいはやった方がいいのかな。なんも分からん。

 

「……」

「……なあ」

「何?」

「もう、大丈夫だ。手離せよ」

「大丈夫って言うやつは大抵大丈夫じゃないんだよな」

「……本当に大丈夫だって」

「お黙り!」

「……」

「……」

 

時計がない。まだ五分も経ってない、気がする。

 

お腹すいた。

でも俺の腹時計はまだ朝ごはんには早いって言ってる……。

 

上脱いでてよかった。ちょっと戸を開けただけなのに割と濡れた。

何枚も服が濡れてたら怪しいもんな。

タジマにぐちぐち言われるのはごめんだ。

 

「寒ぃんだろ。震えてんぞ」

 

確かに震えている。マダラの腕を伝って水が自分の手に流れてくる。めちゃくちゃ冷たい。隙間に入ってくる風が追い打ちを立ててくる。

が、俺は否定した。

 

「震えてないが!?」

「それは無理があるだろ……」

「これは武者震い!」

「震えてんじゃねーか」

「寒くないつってんの!このバカ!」

「……」

 

火傷って消毒した方がいいの?そもそも電気に触ると火傷になるで合ってる?

包帯とかしないとかな。消毒液も包帯もどこにあるのかさっぱりだ。

消毒液の代わりにお酒かけるとか?酒の場所知らんし。厨房に忍び込むか?タジマの部屋にはなかったような。

雨で冷やしてるけど大丈夫なのか?なんか傷口から感染してたら困る。もう遅いけど……。

 

なんで俺ってこんな考えなしなの?

 

「ごめんなさい。兄さん」

「イズナは悪くねぇよ」

「悪いだろ!!怒れよ!!」

「そんなことねぇって……泣くなよ」

「泣いてない!!雨に当たっただけだし!!」

「……」

「……」

 

……。

 

「……いいからこれ、ほどいてくれ。な?」

「……逃げんなよ」

「逃げねぇよ」

 

俺はチャクラ糸を消した。自由になるマダラ。

マダラは逃げずに座り直した。俺を抱きしめてくる。風が当たらない。

あ、あったけぇ……。

 

「手、冷やせばいいのか?」

「そうだよ」

「どんくらい?」

「……一生かな」

「長すぎだろ!?」

「あはは」




雷遁・雷縛の術

トラップ型の術。
触れるたびに威力が上がる。

タンス以外に使う予定がないので覚えなくて大丈夫です。
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