一般日本人が転生する話。 作:あうん
話の最後に挿絵あります。
ごちそうさまをして。
マダラは張り切って修行に行ってしまった。土砂降りの中の修行。事故には気を付けるように!まじで!!
「お邪魔します〜」
「お待ちしていましたよ。イズナ」
母の引きこもり部屋に来た。
相変わらず薄暗い。
微笑みの母がこちらに手招きをする。
ママ〜。
俺は母に抱きついた。
優しく受け止めてくれる母。バブみを感じぜざるを得ない。
これが三児……そして四児の母になる姿か……?恐ろしい……。
タジマ許せねぇな……。
「イズナ。今日は昨日の続きからですね」
「はい!」
俺はチャクラ糸を出した。
「あら?随分と手際が良くなっていますね?素晴らしいです」
「えへへ〜」
母に頭を撫でられる。もっと撫でてほしい。
「この細さなら、針にも通せそうですね。試しにやってご覧なさい」
針を手渡される。
暗くて見えづらい……。
手で糸を掴んで、穴に通そうとして止められた。
「違いますよ」
「はい?」
「チャクラ糸を操作して針に通すのですよ」
「うええ……」
めっちゃ高難易度じゃん……。
むむむ……。
ま、一発でできちゃうんですけどね。
俺、天才だから!!
「まあ。イズナは本当に優秀ですね」
「余裕ですよ!このぐらい!」
「そんなことありませんよ。イズナは誰よりも才能に溢れています」
「ふふふん」
もっと褒めて!
母は微笑んでいる。
「では早速、試しに縫ってみましょうか」
「は〜い」
「丁度いいのでその着物を直しましょう」
母は俺の服を指差した。
兄貴の服だ。
「これですか?」
「袖が長すぎるでしょう?お前に合わせた長さにするんですよ」
確かに袖が長すぎてクソ邪魔である。幽霊ごっこが出来る長さだ。
デロデロ〜。
「でも、これお兄さんの形見ですよね?いいんですか」
母は首を傾げた。
「ムラシのことですか?タジマ様がおっしゃったのですか?」
兄貴の名前はムラシというらしい。
「マダラ兄さんから聞きました」
「そうでしたか……」
母は考え込んでしまった。どした?
……いや、母の最初の子供のことだもんな。そしてもう亡くなっている。
無神経だったかな。やっちゃった……。
「ごめんなさい……」
「あぁ大丈夫ですよ。イズナ。お前が気にすることではありませんからね」
母は微笑んでいる。頭を撫でられた。
「お前は優しい子ですね。いいのですよ。イズナが着れるようになった方が、着物も喜ぶはずです」
そうかな。そうかも……?
母は俺を脱がせた。
兄貴の服を受け取って畳の上に広げる母。
母は懐からハサミを取り出した。
それで服を裁ち切ろうとする。
俺は慌てて止めた。
「は、母上!待って!」
「はい?」
形見をそんな簡単に切ろうとしないで!?
「そ、その。切る必要あります?」
「イズナには長すぎますからね。多少は仕方ありません」
いや、でもさぁ!
俺は服を母から引ったくった。
「も、もったいないですっ!」
「そうですか?」
「そうです!」
「……そうですか」
母は微笑んでいる。表情は変わらないが、生まれて数年を過ごしてきた俺には分かる。
これ絶対困らせてる……。
母を困らせたいわけではない。でも、形見をいきなりバッサリはどうかと思うなぁ。
裁縫キチの母には分からんのだろうか。
マダラのあの顔が思い浮かぶ。兄貴との思い出の品である。それを次見た瞬間ぶっ壊されてたなら。
きっとショックを受けるに違いない。
それはちょっとまずい……。いや、かなり……。
マダラの体格を思い出す。兄貴の服を見る。
……。
「母上」
「何でしょう?イズナ」
「これ、マダラ兄さんの服にするなら切らなくても大丈夫ですか」
「……えぇ。そうですね」
じゃあそれで!!
俺の発想力が光るぜ〜!!
「では、まずは縫い方ですね」
「はい!」
母は布切れを使って縫ってみせた。
俺に別の布切れを渡してくる
「ではやってご覧なさい」
「母上……」
「いかがいたしましたか」
「一回見ただけでは分かりません……」
しかも母のうっすいチャクラ糸のせいで針の動きしか見えなかったんですけど……。
何縫したのかも定かでない。
あと手際良すぎる。ゆっくりやってよ!
「写輪眼で見れば良いのですよ」
いきなり縫い始めるから間に合わなかったんだわ!
目に力を入れる。
「……もう一回お願いします!」
「はい」
うお。なんかすごいブレる。ブレるのによく見えるという意味の分からない体験。
でも、何となく分かった。
分かったけど。
「これなんていう縫い方なんですか?」
「ぐし縫いです」
知らねぇ!聞いても分かんねーや!
「では今度こそやってご覧なさい」
「はい!」
縫い縫い。
……まぁ、初回にしてはできた方じゃない?
母に布を見せる。
「どうですか!」
「上手にできましたね」
「へへへ」
頭を撫でられる。まじで母の手最高。
「無意識に玉止めまでしてしまうなんて、イズナは裁縫の才能もあるのですね。母は嬉しいです」
だって糸抜けちゃうじゃん。
チャクラ糸だからちょいと先端に塊を作るだけである。簡単簡単。
「当然です!」
「ふふふ」
母は微笑んでいる。上機嫌だ。俺も嬉しくなる。
それから色々と縫い方やら、布の折り目のつけ方とか諸々を教わった。
お、覚えることが多いっ!!
「では一通りできるようになりましたので、着物を直してみましょうね」
そういえばそうだった。
やっとか〜。
……何でここまで時間かかったのに、一番最初に服切ろうとしたの母は。そんなに服直したくてたまらなかったの……?
母は懐から糸巻きを取り出した。
「本物の糸を使って縫ってみましょう」
「あ、はい」
チャクラ糸だと消えちゃうもんね。
針に本物の糸を通す。チャクラと違って光らないし薄暗いしでめちゃくちゃ苦戦した。めんどくさっ!!
「チャクラ糸に慣れてしまうとどうしてもそうなってしまいますよね。玉結びはできますか?」
「できません!」
家庭科でやった記憶はあるが全くやり方を覚えていない。
「こうやるのですよ」
母は指に糸を巻きつけてくるくるとした。
あ〜!それそれ〜!やったことある!
長すぎる袖を内側に折って、待ち針を刺しまくる。
せっかくの形見だ。丁寧にやらんとな。
縫い縫い……。
「イズナ」
「……」
「イズナ」
手を掴まれる。
集中してたんだけど!
「何!?」
「今日はもう終わりです」
「……まだ終わってないです」
片袖分しか終わってない。もう半分残っている。
「明日また続きをすれば良いではないですか」
「でも……」
「マダラが迎えに来ましたよ」
母は襖の方を向いた。その先にマダラが待っているのだろう。
「……帰ります!」
「えぇ。また明日。お待ちしておりますよ」
「はい。また明日〜!」
母は俺にハグをしてからバイバイした。
マダラは父親似ってことでいいですか?
(・o・)<いいですよ
ありがとう……!