一般日本人が転生する話。 作:あうん
服を脱いで。
タジマも風呂に参戦である。
泥を落としながらタジマを見る。
野郎の裸など露ほどの興味もないが、タジマはすごかった。
すごい引き締まっている。細マッチョってやつだ。
着痩せするタイプ?
とりま褒めておこう。
「父上筋肉すごいですね!かっこいいです!」
「このぐらい普通です」
謙遜すんな!
「そんなことないでしょ!ねぇ兄さん!」
「あ、あぁ」
マダラが同意する。
「ほらぁ!父上はムキムキなんですって!かっこいい!!」
「……千手の方がよっぽどすごいですよ」
誰ぇ!?センジュ!?
「父上の筋肉のライバルですか!?」
「いえ、そう言う訳ではないですが……」
じゃあ何だよ!
妙に筋肉に対して自信のないタジマ。
「センジュ何某よりも父上の方がかっこいいに決まってます!ねぇ兄さん!」
「そ、そうですよ!」
「ふ、」
タジマは笑った。
俺はお世辞を重ねた。
「俺、将来は父上みたいになりたいです!」
「それにはまず頭の方をどうにかしないとですね」
「酷い!!」
「全く誰に似たんだか……」
そりゃ俺は転生者だからね。
タジマにも母にも似てはいないでしょうな。
「お、俺も」
「?」
マダラが話し始めた。
俺といる時と、タジマのいる時で態度が全然違うマダラが。
「俺も父上みたいに、なりたい。です」
気恥ずかしそうに、そう言った。
タジマは目を細めて、穏やかな笑みを見せた。
「……そうですか。きっとなれますよ」
「!、本当ですか?」
「はい」
「へへ……」
タジマはマダラの頭を再び撫でた。
微笑ましい。
俺も混ぜてもらおうかな!
「俺の頭は撫でないんですかぁ!?」
「……」
無言で俺の頭を撫でてきた。そうだ。それでいい。
いや、やっぱり撫でられるなら母がいいな……。
男に撫でられても嬉しくないわ!
泥を落として。
風呂に浸かる。熱い。
「熱すぎる!」
「普通でしょう」
そうかな!?俺が間違ってるの!?
十秒と経たずに縁に腰掛けて足湯状態になる。
これでのぼせまい。
「ちゃんと入りなさい」
「熱いので無理です!」
「我慢しなさい」
「ヤダァ!」
タジマは俺を風呂に引きずり込んだ。
何すんだ!!
「あっつい!離せ!!」
「ちゃんと温まりなさい」
この風呂の熱さはそのレベルじゃないから!?
タジマから逃れようと暴れてもどうにもなりそうになかった。
「死んでしまう!」
「全く。大袈裟ですねお前は」
「いやほんとだってぇ!兄さん助けてぇ!!」
俺はマダラに助けを求めた。
「あ、父上……イズナは本当に、のぼせやすくて……」
「この程度でですか?またイズナに騙されていませんか」
「え!、……」
「ちょっと!?」
マダラはタジマの指摘に返答を窮した。おい!もっと頑張ってよ!役に立たねぇな!!
本当に熱い。まじで無理!
「しばらくこのままでいなさい」
「いやぁあ!!」
詰んだ……。
案の定俺はのぼせた。
「これほどまでに虚弱だとは思いませんでした……」
「……」
タジマに抱き抱えられ、廊下を進む。
もうほんとこいつさぁ。
「母上に言いつけますから」
「それは……」
「絶対言いますからぁ!」
「……私の認識が甘すぎました。これからは気を付けますので、それは勘弁してくれませんか」
前も似たこと言ってたなぁ!?
「前母上に叱られた時から何も学んでないですよね!!」
「……全くその通りです」
タジマは殊勝に反省している。許さないけどね!?
「怒られても学ばないとこ。そーゆーところが俺そっくりですね!あはは!!」
「……」
タジマはガックリと項垂れた。ウケる。
隣を歩く、同じように項垂れているマダラを見る。
「兄さんは悪くないからね!父上が全部悪いんだから」
「いや、でも、」
「父上が悪いもん!ねー父上!!」
「……そうですね。マダラは悪くないですよ」
「……はい」
しょぼくれているマダラ。
まあこれで溜飲は下がった。
のぼせて体はだるいけど、俺の心はご飯でうきうきだった。
運動もしてお腹がぺこぺこなのだ!
女中さんがご飯を運んでくれる。タジマ、マダラ、俺の順番で並べられる。
……いつもなら。
俺の前にだけ食事が置かれない。湯呑みだけ。
女中さんは去っていってしまった。
箸を取るタジマ。
おい待て。
「俺のご飯は!?」
「朝言ったことは覚えてますか?」
何だっけ……?
タジマは箸を置いてお茶を啜った。
「愚問でしたね」
「えぇ……!?」
本当に何だろう。
やばい。俺頭魚かもしれない……!?
「悪いことをしたら食事抜きです」
「!!」
……思い、出したッ……!!
そういえばそんなこと言われてた!!
「随分と箪笥をいじくりまわしたようですね。しかもマダラの方の箪笥は、何ですか?引き出しを全て開けて。遊んでないとは言わせませんよ」
げ!そういえばタンスの引き出しそのままだった。
うわ〜!まずった!!
「い、いやぁ……着替えようと思って……」
「着替えるのと、マダラの部屋の箪笥をひっくり返す必要があるとは、とても思えませんけどね」
「そ、それは……」
「そこで見ていなさい。箪笥で遊んだ罰です」
「そんなぁ!?」
ひどくない!?
キレそう……。
いや、キレてもよくない?
俺はキレた。
そして怒りのままに机を叩いた。
びしり。
机にヒビが入った。
え、ちょっと俺そこまで力入れてないんだけど。
「え、あ。ええと、」
「……」
タジマは驚いた顔をしている。そりゃそうだ。俺もびっくりしてる。
俺は萎みかけた怒りを何とか再燃させた。
「ち、父上のせいです。父上が悪い!!」
「……何が悪いんですか」
タジマは話に乗ってくれた。
「タンスですよ!そもそも何ですかあの電気ビリビリは!!危ないでしょうが!!」
「触らなければ問題ないはずです」
「着替えたい時はどうしろと言うんですか!!?」
「女中を呼べと二度は言ったはずですよ」
い、言ってた!でも、でもさぁ!
「女中呼んで何とかなる問題じゃないでしょ!!女中さんを痺れさせろと!?」
「絶縁体の布を渡しているので痺れません」
そんな!?!?
「そうゆう風に話してくれれば呼んでました!」
「そうですか?怪しいものです」
タジマはため息をついた。
「うぐ……」
怯むな俺!!
えーと、他、他に言うこと。
「タンスのせいで兄さんが怪我したんですよ!!」
「!本当ですか」
タジマが動揺した。反省しろ!!
「そうです!ほら兄さん手見せて!」
「、ああ」
オロオロしていたマダラは右手を開いてみせた。
あれ!?
「兄さん!怪我は!?包帯は!?」
「修行で汚したくなくて……」
「取ったの!?」
包帯の意味なくない!?
でも怪我が綺麗に治ってる!よかった!
いや、よかったんだけど!
「治ってるけど怪我したんですよ!!兄さんが!!あんな危険な術かけないでください!」
「……そうですね。術は解いておくことにします」
「……あ。お願いします」
「……」
「……」
ああ!話終わっちゃった!
だめだって!ご飯!ご飯がぁ!!
お腹が空いて、力がっ……!
「マダラ。なぜ箪笥に触ったのですか」
「い、イズナの修行を手伝おうと思って……」
「修行……?」
!?
タジマは俺をジロリと見た。
まずい!マダラめ余計なことを……!!
「どういった修行ですか?」
「ええと、」
「ちょ、待って待ってください!」
「マダラに話を聞いています。しばらく黙っていなさい」
「いや、フグッ」
いつの間にか背後にいたタジマに口を塞がれる。
瞬間移動!?何が起こった!?
「ンーッ!!」
「それで、どうなんですかマダラ」
「え、」
「正直に答えればいいんですよ大丈夫です」
言うな言うな!
狼狽えるマダラに笑いかけるタジマ。
俺はマダラに念を送った。頼むから言わないでくれ!
念は届かなかった。
「なるほど」
「……」
「術の威力が高くなりすぎていると思いましたが、イズナがチャクラでベタベタと触ったことが原因でしたか」
まじで!?
上から俺を覗き込んできたタジマは俺ににっこりと笑みを見せた。
「マダラを唆したお前には飯抜きが相応しいと思いませんか?」
「……」
俺はさめざめと泣いた。